練習をさぼっていたアシスタントから、フリーランスの挫折を経て「練習命」に変わるまで「BelleWing」代表・池田翔さん
夜間営業のサロン「BelleWing」を静岡県・浜松市で経営する池田翔さん。オープンから4年が経った今でも人気を集め、名古屋や岐阜など県外から訪れる人も多い。前編ではその「BelleWing」の特徴、夜間営業について詳しく伺いました。ほかのサロンとの差別化、そして経営理念にも掲げている徹底的なお客さまファーストを追求した結果、行き着いた営業スタイルだといいます。
後編では池田さんの転機となった、フリーランス時代の挫折について伺います。アシスタント時代は練習が嫌いだったそうですが、フリーランスになったときに思った以上にお客さまが来てくれず、苦難の日々が続いたそう。お客さまが来てくれるためにはどうしたらいいかを考えた結果、練習がまったく苦にならなくなったといいます。また、どんなに遅い時間まで営業していても次の日のお客さまの準備を怠らないという池田さん。その姿勢で多くのお客さまの信頼を勝ち取っているそうです。
今回、お話を伺ったのは…
池田翔さん
「BelleWing」代表/LUCHENTOPREMIUM認定アンバサダー講師
静岡県西部理容美容専門学校を経て、浜松市のサロンで経験を積む。25歳でフリーランスとなり、その後、浜松市に夜間営業のサロンとして、「BelleWing」をオープン。徹底的なお客さまファーストを掲げ、県外からも多くのお客さまが訪れる人気のサロンとなっている。
池田翔さんのInstagram:@i.tsubaking
練習嫌いから一転。人生を変えたフリーランスへの転向
――お客さまのために努力を惜しまない姿勢でやられてきたようですが、美容師として働き始めたときからずっとその姿勢なのですか?
いえ、全然(笑)。僕が大きく変わったのは、25歳でフリーランスになったときで、アシスタント時代はとくに練習が大っ嫌いでしたね。ウィッグに向かって練習することになんの意味があるんだと思って、先輩から「2時間練習しろ」と言われても、先輩が帰ったのを見計らって、こっそり帰ってしまうような人間でした(笑)。
――フリーランスになったのをきっかけに変わったのはなぜでしょうか?
フリーランスになったとき、お客さまがまったく来てくれなかったんです。前のサロンで働いていたときには、リピート率も80%を超えていましたし、フリーランスになってもきっと大丈夫だと思っていました。でも実際には僕についているお客さまではなく、お店についてくれていたお客さまがほとんどだったんですよね。1日にひとりとかふたりくらいしかお客さまが来てくれず、それがすごく悔しかった。どうしたらお客さまが来てくれるかを日々考えました。
そこで行き着いたのが、技術をあげることでした。言われた通りに施術するだけでなく、感動を与えなくてはいけない。そのためには今のままではだめだなと。「お客さまのために」を意識するようになったら、練習がまったく苦ではなくなりましたね。今では練習をしないと不安になるくらいです(笑)。
どんなに遅い時間でも、次の日のカルテチェックと準備は欠かさない
――技術があがっていくにつれて、お客さまもついてきたのでしょうか?
それもありますし、並行してインスタを活用した集客もするようになりました。 お客さまを施術したらかならず動画を撮って、ストーリーにあげるようにしたんです。お客さまのタグ付けをして、アップすると、お客さまがそこに「かわいくしてもらえました」などひと言添えて、シェアしてくれるようになって。これが生の口コミとなって、拡散されるようになっていき、徐々にお客さまが増えていきました。動画をストーリーに投稿するのは、今でも続けています。
――練習以外にも技術力をあげるために、やってきたことはありますか?
お客さまを迎えるにあたって事前の準備を怠らないことです。どんなに遅くまで営業をしていても、次の日に予約が入っているお客さまのカルテを見て、その方がやりそうな髪型やカラーを実際にやってみてから帰ります。うちのサロンは紹介新規が多く、紹介してくださった方の顔に泥は濡れないので、絶対に失敗できないんです。1回準備をしておくだけでも失敗する可能性がすごく低くなると思います。
あとはインスタでカラーがうまい美容師さんを見つけたら、その方に連絡して個別で有料の講習をお願いしたり、オンラインサロンに入ってうまい人のレシピを研究したりもしていましたね。まず1回は言われた通りにやってみて、それから自分がやりやすいように改良をするようにしています。
必要なのはモチベーションではなく、覚悟
――技術習得など高いモチベーションを維持されているようですが、コツはありますでしょうか?
よく聞かれるのですがモチベーションは元々ないです。最終目標、僕の場合はいつか「情熱大陸」に出るのが夢なのですが、その目標から逆算して、今日できることを考え、行動するだけですね。モチベーションに行動を左右されるようではだめで、覚悟を決めたらあとはやるしかないんです。
そして行動してもすぐに結果が出るわけではないと、ちゃんとわかっていることも大切だと思います。継続する大切さはみなさんわかっていると思うのですが、成果が出るまでには思っている以上に時間がかかると思うんです。大体3か月ぐらいで諦めてしまう人が多いですが、僕のインスタ集客も1年経ってやっと少し効果が出たくらいでした。でも3年、4年と続けていくと、それが確実に形になっていきます。とにかくあきらめないで続けるしかないのかな、と。
僕も4年間サロンを続けてきて、たくさんのつながりができたので、前からやりたいと思っていた、美容好きな人たちとチームを組んで、美容イベントを仕掛けることがようやく実現しそうです。浜松を美容の力でもっと盛り上げたいですし、地方でも可能性があることを示していきたいですね。
池田さんの高い技術を実現した3つのポイント
1.お客さまに来てもらうために、練習を重ねるようになった
2.次の日に来店するお客さまを想像し、事前の準備を怠らない
3.モチベーションに左右されず、夢に向かってその日できることに集中する
フリーランス時代の挫折があったからこそ、お客さまが来てくれることがとてもうれしいし、そのお客さまのために自分ができることはなんでもしたいという池田さん。どんな挫折もバネにし、前向きに行動する池田さんに、お客さまからの信頼も厚いのだと感じました。美容師としてもっと活躍したい方はぜひ参考にしてみてくださいね。