得意分野を伸ばすため「ABBEY GINZA」馬場さんがした3つのアクション

丸みのある可愛らしいショートボブの投稿が、Instagramを中心に大きな評判となっている「ABBEY GINZA」副店長の馬場竜也さん。ここ3年近くご指名で訪れるお客さまは、ほぼ全員ショートボブをオーダーしているそうです。単純計算で年間3500カット、3年で1万カットにも及ぶほど。さまざまな髪質の方を担当しながら、技術的にも成長を続けています。

そんな得意分野が見つかるまで「約30人のスタイリストがいるなか、営業成績は最下位でした」という馬場さん。右肩上がりで成績は伸び続け、いまでは月間の個人売上が300万円を突破するまでに。今回はその成功の秘訣を教えていただきました!

今回お話を伺ったのは…

馬場竜也さん

1992年生まれ、福岡県出身。学生時代から美容師に憧れ、大村美容専門学校を卒業して美容業界へ。現在スタイリスト歴は10年。2019年には「AREA CIRCUIT(東京大会)」や「DREAM BRIDGE PROJECT」といったガモウグループ系のカットコンテストで準優勝。2022年4月から「ABBEY GINZA(アビーギンザ)」の副店長に就任している。得意としているスタイルは丸みのある可愛い系のショートボブ。Instagramのフォロワーは約1.7万人。

Instagram:@baba_abbey_ginza

よき指導者のもと、ライバル同士で競い合いながら成長を続けるために

独学で技術を磨いても限界があると話す馬場さん。より良い環境を求めることが成長につながったそう

――Instagramの投稿を遡ると、2019年ごろからショートボブの投稿が中心になっていますね。それ以前からショートを得意としていたのでしょうか?

もともとショートは苦手でした。アシスタントをしていた頃から「他の美容師さんが切ってるショートは、なんだか全然かわいくない」なんて、偉そうなことを考えていて(笑)。ウェイトが高いせいで「大人の女性のための髪型」という印象を受けていたんです。

そこでInstagramで見かけたカットなどを参考に「自分がかわいいと思うショート」を目指し、独学で練習を続けたのですが……まったく思い通りに切れませんでしたね。ちょうどその頃、自分の理想に近いカットを、同じグループの先輩が切りはじめて「この人のもとで学びたい!」と思って「同じ店舗で働かせてほしい」とアビーグループの社長に直訴したんです。

――その要求は受け入れられたのでしょうか?

しばらくして、その先輩はニューオープン予定だった「ABBEY GINZA」の代表に抜擢され、私も念願かなってオープニングスタッフとして一緒に働けることになりました。集まった他のスタイリストも、パワーがみなぎっているメンバーばかり。いつも閉店後にはInstagramで評価がよいカット写真をお題にして、皆で一斉に模倣し、出来栄えではなく、写真の善し悪しで競い合っていました。誰がカットした写真なのかは明かさずに投票制でランキングを決める、Instagramでの投稿を見越した実戦形式の勝負です。

カットが好きになるほど、より高まっていく「負けられない」という想い

馬場さんの相棒は日本刀の技術をベースとしているハサミ。切れ味がよすぎるので扱いには注意が必要

――なるほど。切磋琢磨できる環境に身をおいたことが成長につながったのですね。

そう思います。「負けても、その分だけ明日がんばろう」なんて甘い考えのスタイリストはおらず「絶対に1位をとってやる!」という負けず嫌いばかりでした。成長できたきっかけとしては、心から「可愛い」と思えるショートボブのイメージが固まってきたのも大きいですね。目標としていた先輩からベースとなる技術を学べたことで、現在の得意分野となっている「丸みのある可愛らしいショートボブ」が切れるようにもなったんです。そうした経験を通して、よりカットが好きになった分だけ「ほかのスタイリストには絶対に負けたくない」という思いも強くなりました

――2019年にはヘアコンテストで2度も準優勝されていますが、銀座店での経験が生かされたのでしょうか?

「ABBEY GINZA」のオープンは2020年なので、コンテストで勝ち上がったのは得意なスタイルを確立する前の段階です。理想とするショートボブが切れずに試行錯誤を続けていましたが「ハサミ1本だけで勝負する」といった大会の触れ込みに惹かれて、腕試しに挑戦しました。

――スポーツ漫画のような熱い展開ですね。コンテストでのエピソードも詳しく伺いたいです。

記憶が確かであれば、開始5分前に課題の「洋服」と「前髪あり、前下がり、左右非対称」といった条件が提示され、それに合わせたカットを披露するのがコンテストのルールだったと思います。みなさん技術力の高い出場者ばかりだったのですが、ふと周りを見渡したときに、自分も含めたほとんど全員が同じようなカットをしていたんです。そこから咄嗟に路線を変更したのがよかったのでしょう。残念ながら準優勝でしたが、東京代表として全国大会にも出場できました。

ヘアコンテストで培った技術を生かし、新しい環境で大躍進

ヘアコンテストに参加したことでショートに対する苦手意識を克服できたと話す馬場さん

――総数1500人以上のスタイリストが参加するなか、全国大会でもファイナリストに選ばれたそうですね。

入賞者以外の順位は明かされないのですが、後で審査関係者から聞いたところによると、評価点では5位くらいだったそうです。優勝できなかったのが悔しくて、もう一度ルールが似ているヘアコンテストに参加したのですが、そちらも準優勝で……。その後は新型コロナウイルスの影響が大きくなり、ヘアコンテストへの出場が難しくなって現在に至ります。

――「ABBEY GINZA」での経験を生かせば、次こそ優勝できるのではないでしょうか?

それはどうでしょうかね。普段の仕事で使う技術とヘアコンテストで認められる技術は別物ですから。もちろん練習を続ければカットのバリエーションが増えるため、日々の仕事に落とし込める部分も多いのですが、大会を勝ち抜いたからといってお客さまが増える訳でもありません。当時、約30人のスタイリストがいるなかで、私の営業成績は最下位でした。ヘアコンテストでの経験は、得意分野の技術を伸ばすきっかけにはなりましたが、やっぱり「自分が好きなスタイル」を見つけたことの方が、その後の成長に結びついていると思いますよ。


得意分野を伸ばすために大切な3つのポイント

今回の馬場さんから伺ったエピソードをまとめると、以下の3つの要素が重要であることが分かりました。

1.周りに流されることなく「自分の好きなスタイル」を見つけることが最も大切

2.もしも独学で壁にぶつかったら環境を変えて、経験豊富な相手から基本を学ぶ

3.技術の高さを広めるためには写真も重要。切磋琢磨しながら総合力も鍛える

ヘアコンテスト出場のために磨いた技術が下地となり、現在得意としている「丸みのある可愛らしいショートボブ」をカットできるようになった馬場さん。後編ではSNSの活用術をはじめ、これまでに1万カット以上も同じスタイルを切り続けるなかで発見したことについてを深堀りします。次回もお楽しみに!

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Salon Data

ABBEY GINZA(アビー ギンザ)
住所:東京都中央区銀座3-5-6 マツザワ第6ビル8F
電話:03-5579-5678
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