技術はあれど成績は最下位。「ABBEY GINZA」馬場さんの最大の転機とは!?

2019年、全国規模のヘアコンテストで優秀な成績を残すも、店舗での営業成績は最下位だったという「ABBEY GINZA」の馬場竜也さん。前編では、得意分野を伸ばすために実践したという3つのアクションについて詳しく伺いました。

とくに印象的だったのは、ライバルのスタイリストたちと切磋琢磨しながら、技術力を高めていく前向きな姿勢。そうして確立した得意分野を武器に、いかにして人気スタイリストにまで上り詰めたのでしょうか!?

後編ではInstagramの運用や日々のカットで意識しているポイント、売上の伸ばし方など幅広い内容をインタビュー。2022年4月、副店長に就任したことで考え方にも変化が生まれているようです。

今回お話を伺ったのは…

馬場竜也さん

1992年生まれ、福岡県出身。学生時代から美容師に憧れ、大村美容専門学校を卒業して美容業界へ。現在スタイリスト歴は10年。2019年には「AREA CIRCUIT(東京大会)」や「DREAM BRIDGE PROJECT」といったガモウグループ系のカットコンテストで準優勝。2022年4月から「ABBEY GINZA(アビーギンザ)」の副店長に就任している。得意としているスタイルは丸みのある可愛い系のショートボブ。Instagramのフォロワーは約1.7万人。

Instagram:@baba_abbey_ginza

Instagramの投稿をきっかけに右肩上がり。月の売上は300万円越えに!

得意分野の魅力がひと目で分かる馬場さんのInstagramの投稿一覧

――得意分野を確立するまで営業成績は最下位だったというお話でしたが、そこからどのように脱却したのでしょうか?

Instagramの内容を「丸みのある可愛らしいショートボブ」に統一して、投稿に力を入れはじめたら、その翌月には売上が約10万円アップしました。その翌月も、翌々月も、現在に至るまで毎月同じくらい営業成績が伸び続けて、先月はじめて月間売上が300万円を越えました。それでも約30人の所属スタイリストなかでは6〜7番目くらいの成績です。

――月に300万円以上を売り上げるスタイリストが、そんなに所属されているんですね。

そうですね。カットの技術では誰にも負けないように努力を重ねていますが、営業成績に関しては「年間平均で月300万円の売上」を目標に、現状を安定させることに注力したいと考えています。

――技術売上と店販売上の比率はどのくらいなのでしょう?

ほとんどが技術売上です。「丸みのある可愛らしいショートボブ」を得意分野にしてから約3年、カットの精度だけでなく、スピードに関しても技術を磨き続けてきました。現在は1日12〜15人くらい、ほぼ全てのお客さまから「Instagramの投稿と同じカットにしてほしい」といったオーダーをいただいています。

――単純計算で年間3500カット、3年で1万カットになりますから、とてつもない経験値が得られそうですね。

そうですね。得意分野を確立してから約3年間「先月よりカットが上手くなっている」と毎月のように実感しています。具体的には、お客さまをカットする前に自分が思い描いていた「完成形のシルエット」と「実際の仕上がり」のズレが少なくなっている部分です。理想的なゴールを定めて、スピーディに一発で決める。その成長を判断できるのは自分だけなのですが、結果的には営業成績にも反映されていると思います。

技術力をどのようにして伝えるか、お客さまとのコミュニケーションが鍵

「イットオールナチュラル ライヴリーオイル」が馬場さんのおすすめ

――Instagramで技術力をアピールできたのが、現在の成功につながっているのだと感じていますが、何か特別な投稿はされたのでしょうか?

ほかのサロンでカットされたショートボブを修正する投稿が当たりました。そもそも僕がInstagramで投稿した写真を参考にしても、同じような「丸みのある可愛らしいショートボブ」には仕上がりませんから。ほかのスタイリストが失敗したカットを、僕がリカバリーしてイメージ通りのショートボブに仕上げたら、技術の証明になる訳じゃないですか。「私はカットが上手です」なんて自画自賛をせずに、いかに技術があるか伝えることを大切に考えています。

――お客さまへの「伝え方」って難しいものですよね。SNSだけでなく、実際の接客などでも苦労していることはありますか?

カットの技術を売りにしていることもありまして……「カットだけではどうにもならないことがある」というのをご説明できるようになるまでが大変でした。お客さまそれぞれの髪質もございますので、カットだけで理想的な「丸みのある可愛らしいショートボブ」に仕上げるのは難しい場合があります。髪を切った翌日も、髪が伸びた後も、やはりお客さまご自身のスタイリングは欠かせません

――おすすめのスタイリング方法はありますか?

ドライヤーやアイロンの使い方などをご説明していますが、もっとも重要なのはオイルでのスタイリングです。カカイナッツオイルという天然のスキンケア成分をはじめ、アルガンオイルやホホバオイルなどを配合した、肌にやさしく全身に使用できる植物由来100パーセントのスタイリングオイルをおすすめしています。

副店長に就任後は、自らの技術をどう伝えていくか教育にも情熱をもやす

技術面でもまだ越えられない存在は多いと語る馬場さん。後輩と共に成長することを望んでいる

――2022年4月から「ABBEY GINZA」の副店長としてご活躍されていますが、大きな変化はありましたか?

以前までは技術の向上に没頭しているだけでよかったのですが……また違った大変さがありますね。たとえば、スタイリストはお客さまを満足させることに注力していますが、いっぽうで店長は経営を意識しなければいけません。そこで生じている誤差を埋めることが、副店長に求められている役割なのだとは思います。とはいえ、正直に言えば自分自身もまだ「副店長とは何なのか?」と頭にハテナマークがある状態です。

――なるほど。これまで磨いてきた技術を後輩たちに伝えるのも重要そうですね。

まずは、しばらくお休みしていたスタイリスト同士がお店の閉店後にランキング方式で技術を競い合う練習法を、来週から復活させる予定です。今の店長と僕が、いつもランキング1位を競い合っていたので、伝えられることは多いのではないかと思います。後輩たちが僕らと同じレベルまで技術を磨けるように、「指示を出して育てる」のは好きではないため「いかに一緒なって成長できるか」を提案していくのが今後の目標ですね!


得意分野を伝え広めていくために重要な3つのポイント

今回の馬場さんから伺ったエピソードをまとめると、以下の3つの要素が重要であることが分かりました。

1.言葉以外の手段でいかに自分の技術力をアピールするか意識する

2.カットの技術に誇りを持ちながら、店販など苦手な分野もフォロー

3.技術力を磨いてきた経験を生かして、後輩たちの成長も見守っていく

「僕は現状には満足してない!」「まだまだ目標としている先輩がたくさんいる」と、ご自身の成長に対して非常にストイックな馬場さん。そのカットに対する熱い思いは、後輩たちの成長を導く原動力にもなりそうです。馬場さんのお話しには、美容師として活躍するためのさまざまなヒントがありました。技術の向上に伸び悩んでいる方も、技術のアピールに苦心している方も、ぜひ今回のお話しを参考にしてみてください。

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Salon Data

ABBEY GINZA(アビー ギンザ)
住所:東京都中央区銀座3-5-6 マツザワ第6ビル8F
電話:03-5579-5678
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