ライフステージに合わせて働き方を変更。3児の母とサロン経営、講師業を両立 ネイリスト・山内亜巳さん
愛知県豊田市でネイリスト兼講師として活躍する山内亜巳さん。自宅でのネイルサロン開業や店舗経営、ブランディング講師などライフステージにあわせてネイルに関するさまざまな働き方を経験し、活躍を続けています。
前編ではそんな亜巳さんに、働き方を変えてもお客さまの支持を失わないためのポイントや、子育てと仕事を両立するために心がけていることについて伺いました。
今回、お話を伺ったのは…
山内亜巳さん
ネイリスト、美容サロンビジネス講師
愛知県豊田市出身。ネイリストとして複数のサロンでの勤務を経て2010年に独立。自宅にてプライベートネイルサロンをオープンする。その後は店舗を構えオーナーとして経営を行ったり、ビジネス講師としてサロンの経営者にアドバイスを行ったりとネイルに関するさまざまな働き方を経験。現在は愛知県豊田市にある自宅にてサロンワークを行いながらオンラインで講師していたが、2023年6月に新店舗をオープン。3人の子どもを育てながらネイリスト、経営者、ビジネス講師として活躍する。そのほか、保育士の美容をサポートする「保育士ネイリスト協会」の理事も務める。
ライフステージに合わせた働き方を選択し、ネイリストとして活躍を続ける
――サロン勤めから始まり、自宅サロン、店舗の経営、ビジネス講師とさまざまな働き方をされていますが、多岐にわたる仕事を行ってきた理由を教えてください。
ライフステージに合わせて働き方を変えてきました。結婚を機に勤めていたサロンを退職し、自宅にてプライベートネイルサロンを開業。軌道にのったタイミングで店舗を構えて本格的に経営を行うことにしました。
3人目の出産の際に、育児の時間を確保するためにサロンを譲渡。出産後は自宅でのサロンを再開したのですが、突然ネイルアレルギーになってしまい、施述ができなくなってしまったんですよ。
ネイルの仕事から離れることは考えられなかったので、講師の仕事を始めることにしました。その後アレルギーが完治し自宅のサロンも再開したので、現在はスクール7、サロン3くらいの割合で動いています。さらに子どもが大きくなって自立してきたため、新しいサロンのオープンに向けて準備中です。
――講師業ではどのようなことを教えているのですか?
講師業を始めた当初は私がネイルアレルギーになったこともあり、ネイルケアの技術を広めることに注力していました。ネイルケアは単価が安く売上につながらないと考える方も多いのですが、ネイルの基礎になる部分で、しっかり知識と技術を身につけることで、高額でも集客ができるんです。
爪の悩みは栄養が足りていなかったり、ストレスがかかっていたり体や皮膚の悩みとつながる部分があるので、来店時だけではなくお客さまの健康に寄り添うことでもあると思います。私自身、知識を深めていくことで絶対に治らないと言われていたネイルアレルギーが治ったんですよ。おかげさまで今は施術も復活できてよかったです。
――現在の講座の内容も教えてください。
現在はサロン経営のノウハウを伝えるスクールや講座を行っています。ネイルの学びを深めていくにつれて、今度は同じ技術や知識を持っていても集客ができる方とできない方の差が気になるようになったんです。私自身独学で経営を行っていたために店舗の譲渡の際にトラブルになったこともあり、これを機に改めてビジネスを学ぶことにしました。そこで学んだ知識を生かして多くのネイリストさんがサロン運営を成功させるお手伝いをしています。
ポジティブなマインドで悔しさも成長の糧にする
――働き方を度々変えるということは大変な思いもされてきたと思うのですが、どのようにしてすべてを軌道にのせてきたのですか?
なんでもポジティブに捉えるようにしています。サロンの譲渡やネイルアレルギーなど悔しい思いをしたこともたくさんありましたが、怒りの感情だけを抱えたままでは前に進めません。アレルギーのおかげでネイルケアに出会えたし、サロンを一度手放すことで改めてビジネスを学ぶきっかけとなりました。
働き方を変えるたびに自分の未熟さに気がついて、足りない部分を学びながら成長できていると考えて、すべての出来事に感謝しながらネイルに関わってこれたのは大きいと思います。
――すてきなマインドですね。売上の面ではいかがですか?
経営者として未熟だったという話をしたのですが、売上に関してはずっとある程度の水準をキープできているんです。最初のサロンも予約が埋まっていることが多く、働き方を変えても多くのお客さまがついてきてくださっています。それは私なりにお客さまを第一に考えて、絶対満足させるという気持ちをつねに持っているからだと思います。
高い技術力をもったネイリストはたくさんいるのでうえを見るとキリがありません。技術があるのは当たり前。プラスで自分のファンになってもらうことをつねに考えています。お客さまからは「亜巳ちゃんと話したくて来た」「ここに来ると元気をもらえる」と言ってもらえることが多く、長く通ってくださるお客さまには感謝の気持ちでいっぱいです。
いつまでも美しい女性を増やすことを軸に、多くの仕事を成功に導く
――それではビジネスを学んで亜巳さん自身が変わったことを教えてください。
経営者として自分がなにを一番大切にするべきかという軸がぶれなくなりました。昔は他人軸で動くことが多くて、スタッフにもお客さまにもみんなに好かれようと立ち回ることが多かったんです。しかしビジネスを学び、自分がどう未来を描いていて、お客さまにどうなってほしいかという軸を一本決めたんですよ。そうすると私の考えに合ったスタッフやお客さまが自然と集まってくれて、みんなで同じゴールを目指せるので無理にみんなにいい顔をしなくても良好な関係性を築けるようになったと思います。
――亜巳さんが大切にしている軸とは?
すべての仕事に共通して「女性がいつまでも輝くことを失わない」ということです。女性はライフステージが変わることで子どもや仕事など、自分以外に力を入れなければいけないタイミングがたくさんあると思います。しかし、どんな方でも自分を大切に、いつまでも生き生きと働いたり、おしゃれを楽しんだりしてほしいんです。サロンもスクールもお客さまやスタッフにはそんなすてきな女性でいてほしいという思いから続けています。
――3人のお子さんを育てながら自分らしく働く亜巳さんだからこそ説得力がありますね。子育てをしながら働くポイントは?
都度働く環境を変えてきたのはポイントのひとつですね。ただし、私はネイルが好きでお客さまを美しくしたいという思いはかわっていません。環境を変えるのは勇気がいることですが、自分の軸となるぶれない思いを持ち続けていればどんな環境でもやっていけると思いますよ。
それから精神面では自分時間を取ること、自分にごほうびをあげることを意識しています。自分の美容や趣味にお金も時間もきちんとかけて、そこに罪悪感をいだくことは一切ありません。ママの気持ちが満たされているといつも機嫌よくいられて、子どもとの接し方もい方向に変わるんですよ。子どもや家族と同じように、自分自身も大切にすることが一番のポイントだと思います。
亜巳さんが子育てをしながらネイルの仕事を続けるために行った3つのポイント
1.お客さまを第一に考えて信頼関係を築く
2.自分の置かれた立場によって仕事の環境を変える
3.家族と同じように自分のことも大切にする
後編ではビジネス講師としても活動する亜巳さんに、人気ネイリストになるためのノウハウを伺います。新しいサロンにも取り入れているお客さまへの徹底した気遣いについてお話ししてくれました。