「2店舗年商1億円」サロンを率いる父の背中を追って「Bamboo Calm八柱店」浦畑侑弥さん
千葉に2店舗を展開する「Bamboo」の、二代目である浦畑侑弥さん。前編では、現在では人気美容師となった浦畑さんの転機となった、2度の挫折についてお話を伺いました。
後編では、2店舗で年商1億円をあげている「Bamboo」が、どのようにして高い売上水準をキープしているのかを掘り下げます。そのキーマンといえるのは浦畑さんの父であり、現社長の浦畑建司さん。64歳という年齢ながら、社内売上1位をキープし続け、社員はその背中に刺激を受けているようです。
今回、お話を伺ったのは…
浦畑侑弥さん
美容師/「Bamboo Calm八柱店 」所属スタイリスト
専門学校卒業後、カット技術が高いことで有名な表参道の美容室に入社。10年経験を積み、その後父親が千葉で経営する「Bamboo」に入社。丁寧なカウンセリング、高い技術力に定評があり、2カ月先まで予約が取れない人気美容師。売上は常に100万円を超える。
64歳でも現役。いまだに追い抜けない背中
――浦畑さんのお父さんがまだ社長を務めているとのことですが、背中を見て学ばれたことはありますか?
はい、たくさんあります。前編でお話したカットの技術も、父が確立したものです。父は有名店の出身ではありませんが、「PEEK-A-BOO」の講習に何度も通ったりしながら、技術を高めてきたようです。スタッフの努力ももちろんありますが、その技術を教えることもうまいと思いますし、技術的なベースをきずけているのも父の力が大きいのではないかと。
あとはお客さまときずいている関係値も、今の僕には真似できないと思っていることのひとつです。40年近く付き合っているお客さまと父の会話を聞いていると、周りの人がまったく入れない、100%の信頼関係が見えるんですね。その関係性は父が積んできたキャリアや、お客さまのことを大切にしてきたからこそ生まれたものなのだろうと思い、素直に尊敬しています。店販売上は僕の方が上なのですが、実は純粋な売上ではまだ一度も父を抜いたことがないんです。
――そうなんですか!?
はい。父は今年で64歳になるのですが、お客さまの数を一切セーブしておらず、フルでお店に立っています。そして営業後は20代のスタッフに技術指導もしていて。さらには毎日のように遊びまわってますしね(笑)。そういう背中の見せ方が一番格好いいなと思います。
――年齢を重ねてもこのまま働けるか分からないと心配する美容師が多いなか、そのバイタリティーは素晴らしいですね。
だから僕は将来を不安に思ったことはないですね。老後にお金がなければ働けばいいと思っています。僕を含めてスタッフのことをよく見ていて、励ましたり、認めてくれたりする、大きな存在です。
ベースカットのコンテストに毎年出場。挑戦を止めない。
――美容室運営に大切な要素は、何だと思いますか?
スタッフがいなければ何もできないですし、いい店にならないと思うのでスタッフのマンパワーが一番大切な要素だと思っています。そしてスタッフを大事にしていないお店だということを、お客さまは簡単に見抜きます。そういうお店にお客さまは集まりません。スタッフの笑顔を見てもらうことが、リピート率が上がる一番の要因だと思うので、スタッフが望む方向に進んでいくことがとても重要だと思っています。
――ほかにも大切にしている要素はありますか?
挑戦することです。挑戦というとコンテストに出るとか大きなことを考えてしまいますが、新しいメニューを作る、お店の内装を変える、社員旅行の場所を変えるなど、小さなことでも挑戦だと僕は思っています。たとえば去年、新しいヘッドスパのメニューを作ったときも、スタッフみんながこんな手技がいいんじゃないかと試行錯誤する、いい空気が生まれたんです。その技術に値段がつき、お客さまにおすすめできる価値になっていく。現状維持ではなく挑戦することは、会社にとてもいい影響があると思っています。
――浦畑さん自身も挑戦をし続けていますか?
僕は6年前から毎年、ベースカットのコンテストに出ています。モデルを使うのではなく人形を使って、カッティングシザーだけのカット技術を競うコンテストです。人間のカットに慣れると人形のカットに戻るのはすごく難しいんですよね。でもコンテストのために練習するのでベースカットの力は確実にあがります。基礎の力は定期的に立ち返る時間を作らないと軸がぶれてきてしまうので、このコンテストに出場することで、毎年、修正ができていると思っています。
実は2日前に今年の大会があったばかりで。残念ながら千葉の代表には選ばれませんでしたが、来年こそは結果を出したいですね。
美容師オーナーだからこそできる、背中を見せること
――最後に、今後の目標を教えてください。
いずれ会社を引き継ぐことになると思うので、経営にも力を入れていきたいです。父は会社の規模を拡大することに興味がなかったようなのですが、僕としては年商2億円を目指して動いていきたいと思っています。そのために店舗展開や求人に、これまで以上に力を入れていく必要があると思っています。
今、業界には美容師がオーナーではないサロンが増えてきています。ホワイト経営ができる美容室が徐々に増えてきていて、そこで働きたいと考える美容師が多いのはとてもよく分かるんです。でも僕は美容師を続けながらオーナーになっていく立場なので、自分の挑戦し続ける背中をスタッフに見せていくこと、みんなを鼓舞していくことが自分の役割なのかなと思っています。そして派手に活躍することより、自分の技術をさびないように磨き続けていきたいです。
「Bamboo」が経営に成功している3つの理由
1.高いカット技術の基盤を、スタッフで共有している
2.64歳の社長自ら先頭に立ち、社員を引っ張っている
3.上に立つ人間が背中を見せる風土がある
実の父である社長を尊敬しながら、その背中をいつか超えたいと実直に努力する浦畑さんのお話がとても素敵でした。もっと成長したいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。