1000円優待券の配布で来店サイクルの短縮化を実現 美容師 庄司琢麻さん
町田市の鶴川でサロン「Clip Clap」を経営する庄司琢麻さん。ハイクオリティな施術が支持を集め、地元で27年間愛されるお店となっています。庄司さんは「店販」に力をいれてきたことで、長い間安定した経営を続けてこられたと話します。その手腕は話題を呼び、共同著書『今までのビジネス人生で最高に売れた最強販促事例を全て包み隠さずお話しします。』を上梓するほど。前編では、顧客の方にもメリットを提示しつつ店販を行うノウハウや、ワンランク上のクロージングの仕方をお伺いしました。
後編では、町田市というサロン激戦区の街で、27年間愛されるサロンを作るための秘訣を伺います。長くお店を存続させるためには売上の確保が必須。Clip Clapさんでは毎年年末に感謝祭を実施し、翌年6月まで有効の1000円優待券を配布しています。その優待券により顧客の来店サイクルが早まり、結果的に売上が向上しているのだそう。サロンが躍進を続ける秘訣を伺いました。
今回、お話を伺ったのは…
庄司琢麻さん
町田市の美容室「Clip Clap」を27年間経営。カウンセリングや予約をつめこみすぎない、余裕のある施術で95%のリピート率を誇る。Xでは、毛髪や薬剤に関する豊富な知識を発信中。自社ブランド「gokigen」のコスメアイテムの開発・販売も手掛ける。共同著書『今までのビジネス人生で最高に売れた最強販促事例を全て包み隠さずお話しします。』を上梓するなど、店販を活用した経営にも定評がある。
OEM商品の開発で利益率アップ！サロン使用で在庫リスク減
自社ブランド「gokigen」は、髪によい成分をふんだんに使用しているそう
――庄司さんが経営されているサロンはOEM商品も発売しているそうですね。
自社ブランド「gokigen」を立ち上げて、4種類のシャンプーと洗顔、クレンジング、オールインワン美容液とボディーソープをサロンで販売しています。お客さまの悩みを解決する製品を作りたいという想いがあったので、小ロットでも製品を作ってくれるメーカーを知人に紹介してもらい、試行錯誤を重ねて完成に至りました。
OEM商品は広告宣伝費にお金を掛けない分、原価に資金をつぎ込むことができるのがメリットです。大手メーカーが同じものを販売したら、おそらく3倍以上の値段になってしまうのではないでしょうか。成分を考えるととてもお値打ちなアイテムなうえ、わたしたちサロン側もディーラーを通さない分だけ利益率も高くなりますし、お客様にとってもサロン側にとってもwin-winなアイテムなんですよ！
――なるほど！商品開発には憧れるけれど、在庫を持つのが不安という美容師さんの声も聞きます。
そういった心配を持った方の声、私も耳にしたことがあります。在庫を持つというのはリスクですので気持ちはとても理解できます。
ただシャンプーやトリートメントなどはサロンでのシャンプーとしても使用できるので、そんなに心配はいらないのかなと思います。施術時に使用すると仮定して、1年ほどで使い切れる量の生産から始めてみると安心してチャレンジできるのではないでしょうか。
毎年恒例の「感謝祭」で、1000円優待券を発行
明るく清潔感あふれるサロン店内
――Clip Clapさんは鶴川という土地で、27年もの長い間愛されてきました。売上を立てるために、意識して行っていることがあれば教えてください。
毎年恒例の「年末感謝祭」を行っています。お客さまからは「今年もやるよね？」という声があがるほど、楽しみにしていただいているんですよ！
感謝祭の期間中に商品を購入していただいた場合、次回以降の来店時に商品購入と施術に利用できる「1000円優待券」をプレゼントして、店販を盛り上げています。そうすると普段小さなサイズのシャンプーを買っていた人が、大容量のサイズのシャンプーを買ってくれることも。小さなサイズで購入すると、もったいないという気持ちから少しずつ使うので、商品本来の効果を実感しにくいんですよね…。大きなサイズのアイテムを買って、適正量を使って貰えると効果がわかりやすく伝わり、セールが終わったあとのリピート買いにまで繋がるんですよ！
「1000円優待券をたくさん配布すると赤字にならないの？」とよく心配されるのですが、しっかり回収ができるんですよ。
――「1000円優待券」で売上を作る仕組み、気になります！
私のサロンは40～60代の女性のお客さまが多いんです。毛周期的に、3週間に1度の白髪染めが理想なのですが、日常の忙しさや経済的な問題から1ヶ月～1ヶ月半くらいで来店される方がほとんど…。そんな状況の方に1000円優待券を配布すると、「あと半月我慢して美容室に行こうと思ったけれど、1000円オフだし少し早めに白髪染めしに行こう！」ということになるんです。結果、来店サイクルが早まり、１年間のうちの来店回数が増加するので、サロン側も利益が上がるという仕組みになっているんです。
お客さまからしても安価に白髪染めができ、わたしたちも利益が上がる相互にうれしい仕組みなんですよ！
ペルソナに刺さる施策だけを徹底的に実行！
十年以上通う顧客の方もいらっしゃるそう
――Clip Clapさんのリピート率は95%ということですが、リピーター創出のために特別にしていることがあれば教えてください。
サロンの売上やコンセプト、自分の働き方を考えたうえで、「ペルソナ」と呼ばれる理想的なお客さま像を想定するようにしています。驚かれるかもしれませんが、理想的なお客さまにしか刺さらない施策やサービスを展開するということを徹底しています。
私のお客さまは多くが40代以上。ですから最近では、ターゲット層の方々が興味を持っているであろう「アンチエイジング」について「予防美容」と名を打ち、いつまでもキレイでいるための提案をしています！またOEM商品の開発時にも、「ターゲット層の世代のお客さまは毎日忙しいだろう」と想定し、オールインワン美容液を作るなどしました。
ペルソナ設定の成果か、2ヶ月先までは予約が常にぎっしり埋まっている状態です！
――庄司さんの今後の目標を教えてください。
今後は、技術での売上と店販での売上の割合を同じくらいの比率にしていきたいと考えています。美容師ですが、ノマドワークができるくらい経営が安定するような仕組みを整えられればと思っています。
提供しているメニューやアイテムの品質の高さをお客さまに理解していただくために、顧客向けセミナーなどを開き、「学びの機会」を設けたいと思っています。より多くのお客さまに届くように、YouTubeでの発信にもチャレンジしていきたいです！
庄司琢麻さんのサロンClip Clapが長年売上を上げ続けている3つの秘訣
1.顧客にとってもサロンにとってもメリットのあるOEM商品を手掛けている
2． 毎年年末に「感謝祭」を実施し、1000円優待券を発行して来店サイクルを早めている
3．設定したペルソナ層だけに刺さる施策やサービスを展開する
明るく爽やかな笑顔で、経営手腕を赤裸々に語ってくださった庄司さん。同じ土地で27年もの間愛されるサロンの裏には、庄司さんの経営努力がありました。今後サロンの売上を伸ばしていきたいとお考えのオーナーさんは、参考にされてみてはいかがでしょうか。
