熱量の高さで人を惹きつけ、巻き込んでいくのが成功の秘訣【ラブライフアドバイザー®OliviAさん】#2
独立という目標を叶えるために、起業家として成功を遂げた方の経験談をお届けする本企画。前編に続いて、性に関する総合アドバイザーとして、カウンセリングやスクール運営、企業研修、商品開発に携わっているラブライフアドバイザー®、OliviAさんにお話しを伺います。
後編では、起業してから大病を乗り越えたこと、結婚と出産を経て変わったこと、今後の展望について語っていただきました。
お話しを伺ったのは…
ラブライフアドバイザー®
OliviAさん
2007年より性の総合アドバイザーとして本格的に活動をスタート。アロマセラピストとラブライフアドバイザー®の経験からスキンシップ・コミュニケーション「LOVEもみ®」を考案。現在は著述、講演、カウンセリング、スクール運営、企業研修、商品開発など多岐にわたって活躍している。
「OliviA」のブランディングも周りの引き立てがあってこそ
――セラピストとしていろいろな技術を学んでいたとき、どんな将来像を描いていましたか?
今から20年ほど前から女性用のプレジャートイは進化して、機能的かつ安全性も高いものが出ていました。こうした情報を発信したり、グッズを開発したりできれば…と考えていました。
あと、「anan」のセックス特集に識者として載りたいという野望もありました(笑)。この特集が組まれるたび、多くの高校生や大学生が手に取るほど、欲しい情報が集約されているんですよね。おかげさまで今は特集が組まれるたび、声をかけていただけるようになりました。
――マスコミに取り上げられるために、何か特別なことをしたんですか?
私個人では何もしていません。SNSで情報を発信している頃から、レコード会社の元宣伝マンや広告代理店に勤務している友人ができたんです。彼女たちが私のことを「面白いことをやっている」と認めてくれて、「この人を世に出そう!」と動いてくれたんです。周りが盛り上げてくれたんですね。知り合いに雑誌社の人がいれば紹介してくれたり、本が出れば出版記念イベントを企画してくれたり。テレビ出演のオファーがあったときは、友人たちが「番組を選ばずに出演すると、OliviAとしてのブランディングに影響する」と言って、出演する媒体を精査するだけでなく、取材にも立ち会ってくれました。
もし、あのまま求められるままいろいろな媒体に出演していたら、色物的な扱いになっていたかもしれません。守ってくれたおかげです。メンター的な人を雇いませんでしたが、とても心強かったですね。
――マネージャーのような感じですね。
「女性目線で性の情報を発信することは大事なこと」という志だけは強かったのですが(笑)、それを周りも分かってくれたのでしょうね。私の仕事はほとんど、どなたからかの「ご紹介」でつながっています。
文化人・クリエーター向けのマネージメント会社に所属していたこともありますが、今はマネージメント会社を通していないので、取材の受付もカウンセリングの予約、イベントのお問い合わせもすべて公式サイトで受け付けています。自分から営業したことがないので、よく驚かれるんですよ。
――取材の受付だけでなくカウンセリングの予約もサイトからですか?
公式サイトでは私の志をはじめ今までに取材を受けたメディアの紹介をしています。私は医療従事者ではなく、医学的な学位を持っているわけではないので、自分のメディア実績が信頼の証。私のサイトを見れば、すべてが分かるようにしています。それを見て、何をやってきたのか、どういう想いでやってきたのか、人となりや世界観に共感した方しかコンタクトを取りに来ません。お申し込みの段階から、ふるいにかけられて残った1人になっているので、ミスマッチが少なくなりました。
――SNSを活用すると、ハラスメントの問題がありませんか?
性の情報発信をしていると、性に寛容で、性的な発言はすべて受け入れられると誤解を招くようですね。同業の女性の中には男性器の写真を送りつけられたり、直接的に誘われたりするようです。私の場合、相互フォローにしないとSNSがつながらない状態にしてあります。この工夫で気分がめげないようにしているんです。コラムに関するコメントは編集部でチェックしてくれているので助かっています。
困ったことが起きたら、工夫をして細々とでも続けること!
――公式サイトのプロフィールに、脳出血を発症したと書かれていました。
今から5年ほど前のことです。セミナーが終わった後、急に具合が悪くなって救急搬送されました。出血した部分がほんの少しでもズレていたら、半身麻痺になって要介護の生活だったそうです。処置をしてくださった先生にも神さまにも感謝しています。日常生活に影響はないとは言っても、入院中にリハビリしている間は身体の動かしにくさを感じていました。そのとき、「あぁこれで、セラピストとしての生活は終わったな」と思ったものです。施術はできなくても、片手でも文章は書ける。カウンセリングもできる。器用貧乏みたいにいろいろやってきて良かったと思いました。
――OliviAさんはお子さんがいらっしゃいますが、産休・育休はどうなさったんですか?
講座はほぼオンラインになっていたので、産前産後2か月はアシスタントにお任せして、対面のセッションはお休みしました。
まだ子どもが小さくて手がかかるのですが、オンラインの仕事は継続して絶やさないようにしています。ゼロにすることは簡単。でも子どもが大きくなって、本格的に復帰したいと思ったときにゼロから始めるのは大変。「まだ業界にいますよ」というアピールしています(笑)。
――どんなことも前向きになれるところが強いですね。コロナ禍はどう乗り越えましたか?
次世代を育てるための講座を始めていて、ずっと対面で行っていました。でもコロナで難しくなり、すべてオンラインに切り替えたんです。でもそのおかげで、海外からのお問い合わせが増えました。先日も台湾の方が受講してくれたんですよ。内容は日本在住の日本語話者のための講座ですが、受講してみて「すごく参考になった」そうです。
この講座は下は20代から上は60代まで幅広い年代の方が受講しています。今の若者たちの性事情や年代が上がると感じる性の悩み、海外の性事情など、いろいろ教わることが多いので、常にフレッシュでいられます。
――すごい! マイナスに思えることもプラスになっているんですね。
経験も失敗もすべて吸い尽くしてやろう!と思っています(笑)。
私がやっていることは目新しい分、新規事業の立ち上げに携わることが多いんです。でも実際に立ち上げてみたものの、半年も経たないうちにサービスが取りやめになったり、企画が立ち消えになったりすることも多々ありました。表に出ていることの10倍以上、ウラで仕事をしていると思います。かけた時間と労力がもったいない…と感じることもしばしばですが、「次の肥やしにしよう!」と思っています。
――OliviAさんがブレずにここまで続けられた秘訣はなんでしょうか?
腹をくくっているからでしょうか。私がやっていることは社会に必要なことだと信じているので、ライフワークになっています。これから売上が大きくなくなっても、情報を発信し続けていくと思います。
そうは言っても、気分的に落ち込むことはあります。そんなときに限って、相談者や受講者から「相談していたパートナーとの関係を見直し、結婚できました」とか「セックスレスを解消して子どもを授かりました」、「講座で学んだことは仕事に役立っています」という報告があるんです。みなさんの成功体験に救われて、ここまでやってこられたのだと思います。
――OliviAさんが今、考えているこれからの事業展開を教えてください。
人生100年時代になりました。更年期や閉経後の性生活、セクシュアリティに関してもっと勉強したいですね。コンテンツも考えています。子育てが終わって自分の価値観が下がると、幸福度も下がるもの。自分の生と性にどう向き合うのか、自分自身の課題としても探求していきたいですね。
――これから起業する方に、メッセージをお願いします。
世の中をよりよくする自信、確信を持つこと。大変でしょうけれど、「自分のアイディアをローンチすることで世の中がよくなる」という志をもってください。私の周りにいる起業家で成功している人たちは、ゴールが見えないほど志が大きい。壮大な志の人ほどブレないですね。工夫しながら貫いてください。
OliviAさん流! 起業を継続させるための3つのポイント
1.できることを1つに絞らず、多方面に増やしておく。
2.ライフステージに合わせて仕事を減らしても、ゼロにしないこと。
3.ブランディングを考えて、イメージを大切に守ること。
大病を乗り越え、しなやかに年齢を重ねているOliviAさん。フェムテックの展示会などで、「10年前にOliviAさんの講習会を受けました」とか、「本を読みました」という女性たちからよく声をかけられるとか。講演会や講座を通して、着実に次世代を担う女性たちが台頭しているようです。今後は40代以降の女性たちにむけたコンテンツを温めているとのこと。ますますOliviAさんから目が離せません。
撮影/森 浩司