お客様の特別な瞬間に携わりたい。ブライダルやヨガなど多岐にわたって活動する理由【美容師/アイリスト・石井絵理さん】#1
美容師だけでなく、アイリストやブライダルのヘアメイク、ヨガインストラクターなど、多岐にわたって活躍する石井絵理さん。その明るい人柄で多くのお客様を笑顔にする石井さんは、サロン勤務、フリーランスを経て、現在は東武練馬の「ビアンカ」で活動しています。
前編では、美容師を目指した理由についてはもちろん、アシスタント時代に学んだこと、マルチに活動を始めたきっかけなどについて伺いました。
教えてくれたのは…
美容師/アイリスト・石井絵理さん
美容サロン「ブランコ」でスタイリスト・アイリストとしてデビューした後に、フリーランスとして中目黒のサロンへ。現在は東武練馬にあるサロン「ビアンカ」にて活躍中。
ISHII’S PROFILE
- お名前
- 石井絵理
- 出身地
- 神奈川県
- 年齢
- 32歳
- 出身学校
- 国際文化理容美容専門学校
- プライベートの過ごし方
- 朝瞑想から始まり、ヨガ、筋トレをして、読書をしたり映画を観て、サウナいくのが定番のルーティーン
- 趣味・ハマっていること
- ヨガ、筋トレ、サウナ、料理作ること、旅行
魔法のような施術に感動し、美容師の道へ
――まずはじめに美容師になったきっかけを教えてください。
私のお母さんが美容師で、高校生までは家で髪をカットしてもらったり、縮毛矯正やカラーをしてもらっていたんです。でも高校生のときに、初めて地元の美容室に行って理想のヘアスタイルにしてもらって、それが本当に魔法みたいで感動して。それが美容師を目指すことになった一番の理由ですね。
あとは昔から友達の髪をアレンジしてみたり、中学生のときは肌荒れに悩んでいたのでスキンケアについて研究したりしていて、美容やメイクにも興味がありました。専門学校も地元の神奈川県内でも探したんですけど、全然しっくりこなくて。渋谷や原宿にある学校も見に行ってみたら、そのときの自分にはすごくキラキラして見えて、国際文化理容美容専門学校の渋谷校に入学しました。
先輩から得た美容師としての心構え
――専門学校を卒業し、都内のサロンに就職したという石井さんですが、今も大事にしている「アシスタント時代に得た教訓」はありますか?
今は店舗がなくなってしまっているのですが、卒業後は原宿店の「ブランコ」に就職しました。
一番覚えているのはシャンプーですね。基本アシスタントがお客様のシャンプーに入るんですけど、率先してシャンプーに入る大先輩のスタイリストの方がいたんです。その先輩から、「シャンプーはお客様の肌に直接触れるから、自分の気持ちが全部伝わる。アシスタントとしてシャンプーをし始めた今の気持ちは忘れない方がいいよ」って言われて。
その先輩はずっと初心を忘れずにシャンプーをしていました。当時はわからなかったんですけど、今では先輩の気持ちがわかりますし、誰よりも気持ちの良いシャンプーをしている自信がありますね。
あとは当時個性的なメイクをしていたら、ある先輩にメイクを直してもらったんです。何で私がやりたいメイクで仕事をしちゃいけないんだろうって不満に思っていたんですけど、「自分のメイクはどんなお客様をつけていきたいかの指標になる」と言われて。ファッションも見るからにアシスタントっぽい格好をしているよりも、ジャケットとかを羽織ったりするだけでピシッと見えるから、第一印象で「この人になら任せて見たい」と感じてもらえる。そういった印象づくりも大切な接客だと学びました。今でもその日来るお客様に合わせて、ファッションやメイクを変えたりしていますね。
それからコップや雑誌の置き方に対して、色々言い続けてくれた先輩がいて。当時は不貞腐れていたんですけど、自分が年下の子と一緒に働くようになってから色々言うのって本当に疲れるなって思ったんです。言ったところで聞いてくれないだろうし、伝えても跳ね返されたりして言い続けられなかったんですよね。でもブランコで出会った先輩は私が嫌な顔をしていても言い続けてくれていたし、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
あらためて振り返ってみて、尊敬できる先輩がたくさんいる場所で働けたことにすごく感謝しています。
――先輩の存在や言葉ってずっと心に残りますよね。
そうですね。あとアシスタントのときに専門学校の友達のDJを見に行ったのがきっかけで、私もDJを始めたんですね。それから月1で美容師ナイトをやることになって、25歳くらいまではDJと美容師をやってました(笑)。
でもそこで本当に色々な人に出会ったんです。当時はインスタもなかったですし、テレビや雑誌に出ている「カリスマ美容師」と気軽に出会えていましたし、年齢もバラバラだけどみんなで遊びに行ったり、アシスタント時代につらいことがあっても同じ境遇の仲間で楽しんで、「また明日から頑張ろう」って切り替えていました。今はそんな生活はできないけど、そこで色々な人に出会えたのでやっていて良かったなと思いますね。
お客様の特別な瞬間に携わるため、幅広く活動
――アイリストとしても活躍する石井さんですが、美容師以外のスキルを身につけようと思った理由を教えてください。
アイリストに関しては、アシスタントをしているときにブランコでマツエクの事業を始めることになったのがきっかけです。スタイリストとしてデビューするために、カットの練習もしなきゃいけないなか、マツエクの勉強や100人のモデル練習もこなさなきゃいけなかったので本当に大変でした。
でもアイリストとしてデビューしてからは、正規のお客様として入らせてもらっていたので、普段であればシャンプーでしか関われないようなお客様と関わることもできて、貴重な経験でしたね。それとお客様の雰囲気やヘアとのバランスを見て、似合うようにデザインをするのに自信がありました。さまざまな面でヘアの他に、まつげもできるっていうのはプラスでしかないなって今ではやらせてもらって良かったなと思っています。
それから、ブライダルのヘアメイクやヨガインストラクターとしても活動しました。
――たくさんのスキルを身につけようと思ったのはなぜですか?
アシスタントの頃は「原宿で一番の美容師になるぞ」という夢を抱いて美容師になったけれど、ブランコでスタイリストデビューをしてすぐに退職しました。サロンはもちろん、お客様も先輩も後輩も本当に大好きで、「このお店のために頑張りたい」と思って働いていました。
フリーランスになってからは、「お客様とよりパーソナルに付き合っていきたい」と思うようになって。もっと自分の学びを増やしたいと思ったのと、今来てくれているお客様の特別な瞬間にも携われるようなパートナーになりたいと思い始めたんです。
それからフリーランスで美容師をしながら、1年くらいブライダルのヘアメイクのアシスタントとして学んで、デビューしてからはヘアメイクとアテンドもやりました。自分のお客様の結婚式のヘアメイクも何度も担当したことがあって、自分の夢が叶った瞬間でした。
そのあとに趣味でヨガを始めたんですけど、あらためて美容師って黙々と目の前のことに集中していて、体がボロボロだなと感じて。体ももっと労ってほしいと伝えたくて、ヨガインストラクターの学校に1年通い、1年半はインストラクターの仕事も美容師と両立してやっていましたね。
美容師だけでなく、さまざまなことに挑戦し続ける石井さん。後編ではその原動力や今後の展望についてお伺いします。
取材・文/菊地菜々