柔道整復師と整体師はどう違うの?それぞれの資格を取得するメリット・デメリットや求人の探し方を紹介!
手技を用いて患者にリラクゼーションを提供したり、体の不調を改善したりする職業のなかに、柔道整復師や整体師があります。柔道整復師と整体師は、同じ「整」という文字が使われており、患者に対し似たようなアプローチをすることから、違いがよくわからない、という人も多いのではないでしょうか。しかし、柔道整復師と整体師には、実は大きな違いがあります。
そこで、柔道整復師と整体師に焦点を当て、2つの職業の違いを詳しく解説します。また、資格を取得するメリット・デメリットや求人の探し方も紹介しますので、参考にしてください。
柔道整復師と整体師の違いとは?
柔道整復師と整体師は名称が似ていることから、混同されることが多い職種です。柔道整復師と整体師の違いについて解説します。
1. 資格にはどんな違いがあるの?
柔道整復師と整体師の資格には、それぞれ異なる特徴があります。大きな違いである資格・施術・勤務先について確認しておきましょう。
柔道整復師は国家資格|3年以上の勉強で受験資格取得
柔道整復師の資格は国家資格で、柔道整復師国家試験に合格すると取得できます。受験資格は、文部科学大臣の指定した学校、または都道府県知事の指定した柔道整復師養成施設で、3年以上知識と技能を修得したものに付与されます。
柔道整復師法が改正される前に知識と技能を修得したものや、改正法施行の際に知識と技能を修得中で改正法施行後にその修得を終えたものも対象です。
試験は毎年3月におこなわれ、試験科目は解剖学、生理学、運動学、病理学概論、衛生学・公衆衛生学、一般臨床医学、外科学概論、整形外科学、リハビリテーション医学、柔道整復理論、関係法規です。2023年の合格率は新卒が84.0%、既卒が35.9%でした。
引用元
公益財団法人 柔道整復研修試験財団|1.柔道整復師国家試験の実施
整体師は民間資格|所定の条件をクリアで取得
整体師は、カイロプラクティックやリフレクソロジーなど民間資格取得者の総称です。民間資格は民間の各団体が定めた条件や試験をクリアすることで取得でき、資格がなくても整体師を名乗ることができます。
2. 施術内容はどこが違うの?
柔道整復師と整体師では、資格だけでなく施術内容にも違いがあります。違いについてみていきましょう。
柔道整復師の施術とは
柔道整復師の施術では骨、筋、関節などの運動器系疾患を手技で治療します。おもにおこなわれるのは3つの施術で、医療行為のできる点が特徴です。
・整復法
骨や関節をもとの位置に戻す操作
・固定法
三角巾や包帯を用いて患部を固定
・後療法
電気を使い、損傷箇所を回復させる物理療法や筋力のトレーニングをおこなう運動療法
治療には保険診療が適用され、患者の自己負担額は1~3割ほどになります。ただし、慢性的な疾患の施術に対しては、保険診療が適用されません。
整体師の施術とは|カイロプラクティックやリフレクソロジーなど
整体師はセラピストの役割が大きく、施術では手技で骨格の歪みを調整して体の不調を改善させます。たとえば、カイロプラクティックでは手技で背骨や骨盤の歪みを矯正し、リフレクソロジーでは独特な指使いで足を刺激して自然治癒力や免疫力を高めるなどです。整体師の施術は民間療法に位置づけられていて、保険診療は不可能となっています。
3. 勤務先に違いはある?
柔道整復師と整体師は所有する資格や施術内容が異なるため、勤務先も違います。それぞれのおもな勤務先をみていきましょう。
柔道整復師|整骨院・接骨院・整体院など
柔道整復師の勤務先は、整骨院や接骨院などがおもです。なかには整体院の名称の院で働いている場合もあり、介護福祉施設や医療施設で働くこともできます。
整体師|整体院など
整体師の勤務先は、整体院やリラクゼーションサロン、カイロプラクティック施術院などです。国家資格が必要な場所では働けません。
なぜおすすめ? 柔道整復師の資格を取得するメリットとは?
国家資格の柔道整復師を取得することには、大きなメリットがあります。柔道整復師の資格を取得する具体的なメリットについてご紹介していきましょう。
1. 幅広い場で活躍できる|医療現場や介護施設でも
柔道整復師の資格を取得すると、幅広い場で活躍できます。働き先は整骨院や接骨院のほか、医療現場や介護施設などさまざまです。緊急であれば、医師の許可がなくてもケガの治療をおこなえるため、あらゆる場面で資格が役立つでしょう。運動療法をおこなうので、スポーツトレーナーとしても働けます。
機能訓練指導員としても働ける!
介護保険法により定められた職種である、機能訓練指導員として働くことができます。機能訓練指導員になるためには、柔道整復師やはり師・きゅう師などの医療系国家資格の資格取得が必要であり、柔道整復師になれば自然と条件をクリアできるでしょう。
機能訓練員の役割は、利用者の状態に合わせて機能訓練をおこない、利用者が自立した生活を送れるよう支援するものです。
機能訓練指導員の働き先は、介護福祉施設や医療施設です。需要が増加していることもあり、働き先の選択肢が広がるのはメリットといえます。
2. 保険診療ができる
柔道整復師は医療行為ができる国家資格で、保険診療をおこなえます。保険診療は患者の費用負担が少なく済むため患者が通いやすく、柔道整復師側は集客がしやすいです。保険診療と自費診療を両方おこなうことで、安定した収入が得られます。
3. 独立開業ができる
柔道整復師と同じ医療系の国家資格である理学療法士や作業療法士は、医師の指示がないと治療できないので独立開業はできません。一方の柔道整復師は自分で判断して治療ができるため、独立開業が可能です。独立開業には大きな責任がともないますが、すべてにこだわりを反映させて大きなやりがいを持てるメリットがあります。
頑張りにより収入アップを見込める点も、独立開業のメリットです。技術向上や患者への対応、院の雰囲気などさまざまなところを工夫して自分次第で好きにできます。
4. 女性の柔道整復師も需要が高い
女性の患者のなかには、女性に施術されたい方もいます。女性の柔道整復師は同姓の安心感があり、女性ならではの気遣いもできるので需要は大きいです。女性の患者や女性ならではの気遣いを求める男性の患者が増加すれば、今後さらに需要は高まるでしょう。
整体師の資格を取得するメリットはあるの?
柔道整復師が国家資格が必要であるのに対し、整体師には必須の資格はなく、多数の民間資格が存在します。しかし、民間資格だから取得する意味はないと考えてはいけません。整体師の資格を取得することにも、いくつかのメリットがあります。
ここからは、整体師の資格を取得するメリットについて見ていきましょう。
1.スキルが身に付く
資格を取得するメリットの一つは、スキルが身に付くことです。
多くの資格は、試験に合格することだったり、指定の講座を修了することだったりといった取得条件が課されています。そのため、資格を取得する過程でさまざまな学習が必要です。学習することによって、整体の知識や技術など、スキルを身に付けることができます。
また、整体に関する資格にはさまざまな種類があります。資格によって必要なスキルが異なるため、複数の資格取得を目指すことで幅広いスキルが身に付くでしょう。
2.信頼が得やすくなる
資格を取得すると、信頼性にもつながります。資格を持っている、ということは、一定以上の整体のスキルを持っている証明になるからです。
そのため、資格を所持していることで初めての患者でも信頼を得やすくなるでしょう。
3.就職に有利になる
資格を持っていると、就職に有利になる可能性があります。
前項で紹介したように、資格を取得していると信頼性につながります。この信頼は患者相手だけでなく、求人に応募する場合も同様です。
求人を出しているサロンや治療院は、応募者がどんなスキルを持っているかわかりません。その際資格を持っていれば、一定のスキルを持っていると判断できるためです。
また、整体の資格は種類が多いため、就職先のメニューに沿った資格を所持していると、より一層有利になることも考えられます。
4.独立開業を目指せる
整体師も、柔道整復師と同じく、独立開業を目指すことができる職業です。独立開業をする際にも、資格は役に立つでしょう。患者がサロンや整体院を選ぶ際、施術者が資格を取得していると「ここの施術は効きそうだ」といった判断材料になり、集客につながる可能性があるからです。
また、無資格で確かなスキルを持たずに独立開業すると、患者にケガをさせてしまったり、かえって症状が悪化してしまったりするリスクもあります。独立開業に限らず整体師を目指すなら、資格の取得をおすすめします。
柔道整復師の資格取得にデメリットはある?
柔道整復師の資格取得にはさまざまなメリットがある反面、デメリットもあります。どんなデメリットが考えられるのか、例を紹介します。
1.時間と費用がかかる
柔道整復師の受験資格を得るためには、柔道整復師養成施設で3年以上知識と技能を修得しなくてはなりません。専門学校や大学に3年以上通う必要があり、受験資格の取得に時間と費用がかかる点はデメリットです。
一般的に専門学校の学費は200~600万円、大学の学費は400~700万円ほどかかるとされています。
2.試験が年に1回しかない
試験が年に1回しかないのも、デメリットといえるでしょう。不合格になった場合、もう1年勉強をするのは精神的な負担が大きいです。勉強をおこなう際は、資格の質向上を目指して試験内容が改定される可能性も考慮しなくてはなりません。
また、試験地が限られている点も、デメリットといえるかもしれません。
第32回柔道整復師国家試験を見てみると、試験地が「北海道、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県」とされています。近隣に住んでいる場合は問題ありません。しかし、たとえば山口県に住んでいる場合は、試験のために広島県か福岡県まで出向かなければならないため、やや負担が大きくなってしまいます。
整体師の資格を取得するデメリットは?
柔道整復師と同じく、整体師の資格取得にはメリットがある一方でデメリットもあります。ここからは、整体師の資格を取得する際の注意点を見ていきましょう。
1.時間と費用がかかる
資格を取得するデメリットは、時間と費用がかかってしまうことです。国家資格である柔道整復師と比較すると、比較的短期間・安価の資格が多いものの、学習する時間や講座を受ける費用、試験費用などのコストが必要です。
2.働きながらだと生活サイクルに影響が出るリスクも
整体師の資格は、民間のスクールや通信講座で取得できるものも多く、社会人からでも目指しやすいです。
反面、柔道整復師のような大学・短大・専門学校に通学して取得する国家資格と比較すると、生活サイクルに影響が出るリスクも考えられます。
仕事と両立することができるというのはメリットですが、そのためにスケジュールが過密になったり、生活リズムが崩れてしまったりしやすい点に注意しましょう。
3.実務経験を重視する企業だと就職に有利とはいえない
メリットの項で、資格取得は就職に有利になると前述しました。しかし、整体師の求人は「経験者優遇」「経験者のみ」が条件となっていることもあるため、資格を持っているから就職に有利になる、とはいい切れません。
もちろん、「未経験歓迎」の求人も数多くあります。求人サイト「リジョブ」はウェルネス業界に特化した求人サイトで、「未経験歓迎」の整体師の求人も掲載しています。
【8月最新】未経験歓迎 整体師の求人・転職・募集│リジョブ
柔道整復師や整体師の求人を探すには?
柔道整復師や整体師として働くには、求人を探す必要があります。しかし、どうやって探せばいいのかわからず、なかなか行動に出られないという人もいるでしょう。
ここからは、柔道整復師や整体師の求人を探す方法を紹介します。
就職・転職エージェントを利用する
柔道整復師や整体師の求人を探す方法には、就職・転職エージェントを利用するという方法があります。
就職・転職エージェントでは、アドバイザーが担当につき、就職活動をサポートしてくれます。希望する職業や労働条件、自分の強み・人柄・持っている資格などを考慮し、条件に合った求人を紹介してくれるサービスです。
求人サイトで探す
就職エージェントは担当アドバイザーと相談を重ね就職活動をするため、自分の好きなタイミングで就職活動をしたい、という人には利用しづらいかもしれません。
そんな人には、求人サイトの利用がおすすめです。求人サイトにはさまざまな求人情報が掲載されており、インターネットを通じていつでもどこからでも、求人情報をチェックすることが可能です。
求人サイトのなかには、リジョブのようなウェルネス業界に特化したサイトもあります。現在別の職業で働いているためまとまった時間がとりづらく、スキマ時間に求人情報を集めたい、という方はぜひリジョブにアクセスしてみてください。
サロン・治療院のホームページやSNSをチェックする
就職エージェントや求人サイトを利用した就職活動は、求人情報のなかから就職したいと思えるサロンや治療院を探すところからはじまります。しかし、働きたいサロン・治療院が決まっている場合は、まずお店のホームページやSNSをチェックしてみるとよいでしょう。
お店によってはそういった媒体に求人情報を掲載しておらず、自社WebサイトやSNSのみで直接求人を発信していることもあります。
柔道整復師や整体師の履歴書の書き方のポイント
就職活動において、履歴書は欠かせません。ここからは、履歴書を書く際のポイントについて見ていきましょう。
書き始める前に気をつけたいこと
まず、履歴書を入手しなければなりません。履歴書は、一般的には文具を取り扱う店舗で購入することができます。また、求人サイトや就活エージェントなどでは履歴書のテンプレートが用意されていることもあるため、ダウンロードでも入手できます。
履歴書には厚生労働省履歴書様式・一般用・転職者向けなどの様式があるため、自分に合った様式のものを選びましょう。
履歴書の基本のマナー
履歴書の書き方には、書き方にはいくつかの決まりがあります。たとえば、鉛筆や消せるボールペンは使用せず黒インクのボールペンを使用する、間違えても修正ペンなどで修正せず新しい用紙に書き直すといった、使用する筆記具に関するマナーです。
また、西暦・和暦はどちらを使用しても問題ありませんが、履歴書内では統一させましょう。ほかにも、略称・略字は使用せず、正式な名称・文字を使用して下さい。
こういった履歴書のマナーは、柔道整復師や整体師に限りません。しっかりと覚えておきましょう。
提出する時のポイント
履歴書の提出方法は、主に手渡し・郵送・データをメールで送付するといった方法があります。手渡しする場合は、履歴書が折り曲がらないようクリアファイルなどに入れたうえ、さらに封筒に入れて持参しましょう。
郵送する場合は、封筒に赤字で「履歴書在中」と記載し、中身が履歴書であることをわかりやすくしておきましょう。
データで送付して欲しい、と指定された場合は、メールで送付してください。履歴書送付の件であることがわかるようにメールの件名を書き、さらにファイルを開くためのパスワードを設定するなど、簡単なセキュリティ対策もしておきましょう。
柔道整復師や整体師の志望動機を書くコツ
多くの人が履歴書で悩みがちなのは、志望動機の書き方ではないでしょうか。ここからは、志望動機を書く際のコツについて見ていきましょう。
なぜ柔道整復師・整体師になりたいと思ったのか
まず、なぜ柔道整復師・整体師になりたいと思ったのか、過去を振り返ってみましょう。そのきっかけを具体的に、もしも何かエピソードがあるのならそれもまじえて記載すると熱意が伝わりやすくなります。
なぜそのサロン・治療院で働きたいと思ったのか
そのサロン・治療院の求人に応募した理由も、具体的に記載しましょう。この部分が曖昧だと、「うちでなくてもよさそうだ」「他の面接でも同じことをいっているのでは?」といった悪印象を与えてしまうかもしれません。
サロン・治療院の経営理念やコンセプトなど、特色をあらかじめ把握しておき、働きたいと思った理由と絡めて記載しましょう。
また、志望動機は結論から書くと伝わりやすくなります。「私が貴社を志望した理由は◯◯です。」など、シンプルかつ的確に書きましょう。
柔道整復師と整体師、自分に合う資格を取得して就職を目指そう!
柔道整復師と整体師には、大きくわけて資格、施術、勤務先に違いがあることがわかりました。柔道整復師は国家資格であり、施術では運動器系疾患の治療をおもにおこない、勤務先は整骨院や接骨院が中心です。
一方整体師は、整体をおこなう民間資格取得者の総称で、施術では体の不調改善をはかります。勤務先は整体院などで、国家資格が必要な場所で働くことは不可能です。
柔道整復師の資格取得には時間と費用が必要ですが、活躍の場が広がり保険診療ができるなど資格取得によるメリットはいろいろあります。自分に合う資格を選ぶようにしましょう。
柔道整復師・整体師の求人を探すなら、リジョブの利用がおすすめ。ウェルネス業界に特化した豊富な求人が掲載されており、未経験OKの求人もあります。転職満足度98%※と非常に高いリジョブを、チェックしてみてください。
※リジョブ経由で採用された1,242名を対象に実施した満足度自社調査より(実施期間:2023年2月8日〜2023年3月8日)