新人薬剤師が一人薬剤師として働くのは可能?不安を安心に変え、成長につなげるためのヒント
薬剤師免許を取得したばかりの時期は、調剤の基本動作や膨大な薬の知識を身につけるだけで精一杯ですよね。そんな中で、「もしかして自分も近いうちに一人で現場を任されるのでは?」と不安に感じる方も多いかもしれません。
一般的に「一人薬剤師」は経験豊富なベテランが担う印象がありますが、実際には入社後数ヶ月で任されるケースも中にはあるようです。
本記事では、新人薬剤師が一人で現場に立つ背景を整理し、その経験を成長につなげるための具体的なヒントを丁寧にお伝えします。
一人薬剤師とは「店舗に薬剤師が自分一人だけの状態」のこと

結論からお伝えすると、一人薬剤師とは、「その店舗内において、薬剤師の資格を持つ人間が自分一人しかいない状態」で勤務することを指すのが一般的です。
薬剤師の配置に関する基準は法律で定められており、薬剤師1人あたり1日の処方箋枚数の上限も目安として設けられています。
なお、具体的な基準や取り扱いは改定される可能性があるため、最新の通知を確認することが大切です。なぜこのような体制が選ばれるのか、その背景にあるルールや勤務形態の違いを確認しておきましょう。
法律上の定義とよくある勤務形態
薬剤師の配置は法令等にもとづき、前年の一日平均取扱処方箋数などから必要人数を算定します。
「1人あたり概ね40枚」という目安が知られていますが、これは その日の処方箋が40枚を超えたら直ちに違反という趣旨ではなく、人員配置を検討するための目安です。
最新の運用は自治体や企業の基準も含めて確認しましょう。
参照:厚生労働省 | 薬どらくらい事法施行規則及び薬局及び一般販売業の薬剤師の員数を定める省令の一部改正について
例えば、1日の処方箋枚数が20〜30枚程度の小規模な店舗であれば、運営の観点から「薬剤師1名 + 調剤事務スタッフ」という体制が選択される傾向にあるようです。
そのため、配属される店舗の規模によっては、新人であっても一人薬剤師としてシフトに入る可能性は十分に考えられます。
調剤薬局とドラッグストア、それぞれの違い
勤務する環境によって、一人薬剤師に求められる立ち回りには細かな違いがあるかもしれません。
【勤務形態による特徴の例】
調剤薬局(門前薬局など) 扱う薬がある程度決まっている場合が多く、特定の診療科に関する深い知識が求められます。患者さんが集中する時間は、受付から投薬までの一連の流れを自分一人で管理する力が大切になるでしょう。
ドラッグストア(調剤併設) 調剤業務に加えて、OTC薬やサプリメントの相談対応も求められることがあります。調剤室だけでなく、店舗全体の「薬の専門家」として立ち回る柔軟性が鍵となります。
新人薬剤師が一人薬剤師になるケースはあるのか
「新人にいきなり一人は無理では?」と悩む方も多いかもしれませんが、実際の現場では新人が一人で働く場面も想定されます。
新人でも一人薬剤師を任される背景
主に地方の小規模店舗や、慢性的な薬剤師不足に悩む薬局では、入社数ヶ月から半年程度で一人薬剤師を任されるケースも少なくありません。
経営側としては「簡単な処方箋が中心の店舗だから」「事務員さんがベテランだから大丈夫」と判断することが多いのかもしれません。
しかし、経験の浅い新人にとっては、たとえ処方箋が1枚であっても「責任の重さ」は変わらないという不安に寄り添うフォロー体制が求められます。
管理薬剤師との関係性と責任範囲
一人勤務の時間帯があっても、店舗には通常、管理者(管理薬剤師)が定められています。
なお管理者の選任については、法令上「必要な能力・経験を有する者」とされており、国のガイドラインでは、管理者に求められる目安として「薬局での実務経験(例:5年以上)や研修・認定等」を原則として示しています(※法律上の一律要件ではなく、運用は状況により異なります)。
そのため、新人が一人で店舗対応をする時間帯がある場合は、実務上の体制として、トラブル時に誰へ報告し、誰が判断を支援するのか(連絡手段・対応フロー・応援体制)を事前に明確にしておくことが重要です。
一人薬剤師の主な業務内容
一人薬剤師の現場では、普段は複数人で分担していた業務を、自分一人のリズムで組み立てて完結させる必要があります。
調剤・監査・服薬指導におけるセルフチェック
一人薬剤師において最も重要なのは、自分で行う「セルフチェック(自己監査)」の徹底です。通常は別の人が行うダブルチェックができない分、仕組みでミスを防ぐ工夫が有効となります。
【業務を安全に進める工夫の例】
ミス防止の記録は、薬局の手順書・システム(薬歴・調剤記録・秤量記録等)に沿って行いましょう。
写真を用いる場合も、個人端末での撮影・保存は避け、法人のルールに従った方法(専用端末・保管先・アクセス権限)で実施します。
疑義照会・在宅対応・電話対応の優先順位
調剤以外のイレギュラーな対応も、全て自分一人に集まってくる可能性があります。これらを落ち着いて処理する能力は、日々の経験を通じて少しずつ磨かれていくものです。
【対応が必要な主な業務の例】
・疑義照会: 処方内容の疑問を医師に直接確認する。
・電話対応: 患者さんからの問い合わせや、卸業者とのやり取り。
・在宅対応: 店舗の運営状況を確認しながらの訪問調剤。
在宅対応は、薬剤師が店舗を離れる時間が発生します。
一人薬剤師体制の店舗では、訪問時間帯の受付停止・営業時間調整・交代薬剤師の手配など、薬剤師不在にならない運用設計が不可欠です(在宅の実務は「訪問薬剤管理指導」等の枠組みで行われます)。
新人一人薬剤師のメリット
「大変そう」というイメージが先行してしまいますが、実は一人薬剤師を若いうちに経験することで得られる、ポジティブな側面も存在します。
短期間で幅広いスキルが身につく
最も大きなメリットは、店舗運営の「全体像」が見えるようになることかもしれません。
調剤の技術はもちろん、在庫管理のタイミング、レセプトの修正、さらには患者さんとの信頼関係の構築まで、全てを自分の手で行うため、業務の習得スピードは数名体制の店舗に比べて早まる傾向にあります。
判断力・責任感が鍛えられる
「隣にすぐ聞ける人がいない」という環境は、あなたを急速にプロの薬剤師へと成長させてくれる土台となるはずです。
わからないことがあれば、必死に添付文書やDI情報を調べ、自分なりに根拠を持って医師や患者さんに説明する。
この「自分で考え、解決する」というプロセスの積み重ねが、一生モノの判断力と責任感を養ってくれる助けになるでしょう。
職場の人間関係に左右されにくい
意外なメリットとして挙げられるのが、人間関係のストレスの少なさです。
調剤室という狭い空間で、相性の合わない先輩や上司と一日中顔を合わせる必要がありません。
自分のリズムで作業を進め、自分なりの工夫で効率化を図れることに、居心地の良さを感じる薬剤師も少なくないようです。
新人一人薬剤師のデメリットとリスク
成長の機会がある一方で、まだ経験が浅いうちに一人で立つことには、慎重に見極めるべきポイントも存在します。
調剤過誤・監査体制への不安
最も注意を払うべきなのは、「思い込みによるミス」の可能性です。
新人のうちは、知識の絶対量がまだ不足していることもあります。そのため、本来は疑問を持つべき処方内容であっても「こういうものだ」と思い込んでスルーしてしまうリスクが潜んでいるかもしれません。
ダブルチェックの機能が働かない環境では、一歩立ち止まって確認する慎重さが大切です。
相談相手がいない精神的負担と体制の問題
「この薬の組み合わせで本当に大丈夫かな?」と不安になった時、その場で意見を交わせる同僚がいないことは、心細さを感じさせる要因となります。
一人で全ての責任を背負い続けるのではなく、必要に応じて組織としてのバックアップを求めていく姿勢が大切です。
休憩・体調不良時の対応問題
一人薬剤師の店舗では、休憩時間中であっても状況に応じた対応が求められる場面があるかもしれません。
だからこそ、事務スタッフと連携して休憩時間を工夫したり、意識的に心身をリフレッシュさせる時間を確保したりするセルフマネジメントが重要になります。
また、急な体調不良に備えて、エリアマネージャーや近隣店舗にヘルプを相談できる体制を事前に確認しておくことで、一人で抱え込みすぎず、安心して業務に臨めるようになるでしょう。
新人が一人薬剤師を避けた方がよいケース
「成長のため」といっても、無理に飛び込む必要はありません。以下のような兆候がある場合は、環境改善を検討するか、より教育体制の整った環境を考慮すべきかもしれません。
【慎重に判断すべき職場の例】
フォロー体制の欠如「マニュアルがない」「本社の指示を仰げない」など、孤立無援になりやすい職場。
過度な業務量 一人あたりの処方箋枚数が常に上限近く、安全性よりもスピードが最優先される環境。
責任の押し付け トラブル時に現場の判断ミスとして片付け、組織として守ってくれない風土。
新人が一人薬剤師として働く場合の対策
もし現在、一人薬剤師として奮闘している、あるいはその予定があるなら、自分と患者さんを守るための「マイルール」を確立しておきましょう。
ミスを防ぐための業務ルール作り
「自分はミスをするものだ」という謙虚な前提に立ち、仕組みでカバーする工夫を習慣化してみましょう。
【ミスの防止策の例】
タイムラグ監査 調剤直後ではなく、あえて一度会計などの別作業を挟み、頭を切り替えてから監査を行う。
指差し呼称の徹底 薬品名、規格、数量を指で指しながら声に出して確認する習慣をつける。
証拠を残す 特殊な調剤や散薬の秤量などは、必ず記録や写真を残し、後から振り返れるようにしておく。
外部に相談できる環境の確保
物理的には一人でも、精神的に一人にならないためのネットワークを活用することが大切です。
【相談先の例】
連絡先の交換 エリアマネージャーや近隣店舗の薬剤師と連絡先を交換し、すぐに相談できる体制を整えておく。
DIセンターの活用 DI(医薬品情報)センターの番号をすぐにかけられる場所に貼り、専門的な知見を借りられるようにする。
積極的な疑義照会 疑義照会を躊躇せず、少しでも不安があれば処方医に確認して疑問を解消する。
この経験があなたのキャリアを輝かせる
一人薬剤師としての経験は、将来のあなたを力強く支える「強力な武器」になります。
転職市場での評価
「一人で一通りの業務を回せる」という実績は、転職市場においてポジティブに評価されるポイントとなることが多いようです
その責任感とマルチタスク能力、そして判断力の高さは、理想のキャリアを描く際の大きな自信に繋がるでしょう。
特に、即戦力を求める職場では、待遇交渉がスムーズに進む場合もあります。
将来のビジョンを広げる
一人の環境で培った「店舗全体の流れを見る力」は、将来的に管理薬剤師やエリアマネージャー、さらには独立開業を目指す際にも欠かせない素養となります。
将来的に店舗運営や経営に関わりたい人にとって、この経験は非常に大きな財産となるはずです。
新人薬剤師が職場選びで確認すべきポイント

納得のいく環境で働くために、求人票や面接では以下の点に注目してみるのがおすすめです。
一人薬剤師体制かどうかの見極め方
求人票に「少人数でアットホーム」「自分のペースで働ける」というキーワードがある場合は、一人体制の時間がある可能性を念頭に置いておくとよいでしょう。
また、店舗見学の際には調剤室にあるパソコンの数を確認してみてください。端末が1台しかなければ、基本的には薬剤師1名体制であることを示唆しているケースが多いようです。
求人票・面接で確認すべき質問
不安を解消するために、面接では前向きな姿勢を見せつつも、具体的なサポート体制を質問してみましょう。
【面接での質問例】
・「入社後、どのくらいの時期から一人体制になる可能性がありますか?」
・「一人勤務中に判断に迷った場合、どなたに相談するのが正式なルートでしょうか?」
・「急な体調不良や冠婚葬祭などの際、どのようなバックアップ体制がありますか?」
これらの問いに具体的に答えてくれる職場であれば、一人薬剤師であっても安心して挑戦できる環境だと言えそうです。
一人薬剤師としての経験を、確かな成長の糧に
新人時代に一人薬剤師として立つことは、確かに大きな挑戦であり、時には心細くなることもあるかもしれません。
しかし、その環境を「孤独」と捉えるか、「自分を磨く舞台」と捉えるかで、得られる経験の価値は大きく変わる可能性があります。
もし、今のあなたがミスの不安で押しつぶされそうになっているなら、それはあなたが薬剤師として誠実に向き合っている証拠でもあります。一人で抱え込みすぎず、時には周囲のサポートを賢く頼りながら、一歩ずつプロとしての階段を登っていってくださいね。あなたのこれからの活躍を、心から応援しています。
薬剤師の仕事探しなら「ファーマキャリア」
一人薬剤師としての経験は大きな成長に繋がりますが、自分に合ったサポート体制や教育環境が整った職場を見極めることは簡単ではありません。
もし今の環境に不安を感じたり、より理想に近い働き方を探したいと考えたりしたときは、プロの力を借りてみるのも一つの手です。
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監修者
原瑞希
薬剤師専任キャリアアドバイザー
薬剤師免許保有
【経歴・実績】
・ドラッグストアチェーンにて薬剤師として3年間従事
・2024年度 新人賞(銀賞)受賞
【プロフィール】
元薬剤師として現場の空気感やストレスを肌感覚で理解しているため、悩みへの深い共感が可能です。
求人紹介だけでなく、入社後の教育体制まで徹底確認して提案。生活の変化を具体的にシミュレーションし、不安のない転職を支えます。
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