薬剤師を辞めたい人は多い?キャリアアドバイザーが語る転職相談の実態
薬剤師として働く中で、「転職したほうがいいのだろうか」と悩んだ経験がある人も多いのではないでしょうか。人間関係や業務量、キャリアへの不安など、悩む理由はさまざまです。ただし、感情だけで判断してしまうと後悔につながることもあります。
今回は、薬剤師の転職支援を行う「エニーキャリア」のキャリアアドバイザー、原瑞希さんにインタビュー。日々、多くの転職相談に向き合うプロの立場から、実際の転職相談についてお話を伺いました。
今回、お話を伺ったのは…
「エニーキャリア」キャリアアドバイザー
原 瑞希さん

都内のドラッグストアチェーン店にて薬剤師として3年間従事。2024年に「エニーキャリア」へ入社し、キャリアアドバイザー業務をスタート。現在3年目でこれまで約101名の就職・転職活動に伴走。薬剤師経験を活かしたサポートで、2024年に社内表彰にて新人賞銀賞を受賞した実績を持つ。
「辞めたい」という声は少ない。転職相談で最も多い悩みとは?

――「薬剤師を辞めたい」という相談者はどのくらいいるのでしょうか?
あくまで私の感覚にはなりますが、とても少ないと感じています。ここ2年間で100名以上の相談者と向き合ってきましたが、そのなかでも1名しかいませんでした。薬剤師を辞めたいというより、環境を変えたい、別業種に挑戦したいといった相談のほうが多いですね。
――最も多い相談理由は?
人間関係と、残業など業務量に関する相談がとくに多いです。具体的には、全体の4〜5割が人間関係、約3割が残業など業務量に関する相談になります。
――職種や環境によって、抱えやすい悩みは変わるのでしょうか。
組織の規模によって、悩みの傾向が変わると感じています。
薬局では人間関係、病院では残業や業務内容、給与に関する悩みが多い印象ですね。薬局は少ない人員で構成されているうえ、比較的狭いスペースのなかで働くため、苦手なタイプの方とも必然的に関わる必要があります。さらに処方箋枚数が多い職場ではスピード感と正確さが求められ、張り詰めた雰囲気が漂うことも少なくありません。そのため人間関係の悩みを抱えやすく、問題が大きくなりやすい傾向があるんです。
一方で病院は、入院患者の調剤から、注射薬の調製、当直、オンコール対応などと業務の幅が広い特徴があります。体力的に負担を感じやすい割には給与が上がりにくい。そうした背景から、業務量に不満を感じる方が多い印象です。
キャリアを大事にしたい人ほど短期離職は避けるべき

――一時的な感情で相談に来る方も多いのでしょうか?
たまにいらっしゃいます。ただ、ほとんどの相談者は長期的に問題を抱えており、コップの水があふれるように耐えられなくなったことをきっかけにご相談をいただくケースが多いです。
残業を理由に転職活動を始めた方の場合、約半年から1年ほど、ほぼ毎日のように残業が続いた末に、ようやく動き出したというケースが多く見られます。
――実際には転職しない方がいいケースもありますか。
あると思います。いまの職場で働き始めて半年から1年ほどの場合、とくにキャリアを大事にしたい方は転職を避けた方がいい傾向にあります。ほかの職種と比べると短期退職は経歴上の傷になりにくいですが、ある程度の勤務年数を積んでいた方が、キャリア面での不安を持たれづらいです。
実際、過去に業務量の多さをきっかけに転職相談に来られた方がいました。ただ、その方はキャリアアップも目指されていたんです。相談を重ねるなかでキャリアアップの優先度が高いとわかり、最終的には転職をしないと決断されたケースもあります。
――職場を変えずに改善できるケースは?
上長や会社に、まだ相談やアプローチを行なっていない場合は、改善できる可能性があると思います。まずは上長に直接相談してみたり、複数店舗がある場合は異動を打診してみたりする方法もあります。それでも改善が難しい場合は、転職活動を視野に入れてみるのもひとつの選択肢ではないでしょうか。
感情だけの退職はNG? 後悔しない転職の考え方
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――感情だけで退職を決めてもいいのでしょうか。
感情だけで決めてしまうのは、あまりおすすめできません。どの職場にも、少なからず気になることはあるものです。そこだけに目を向けて退職してしまうと、短期離職が続きやすくなったり、キャリアを築きにくくなったりする可能性があります。だからこそ、状況整理をしたうえで慎重に判断することが大切だと思います。
――1年未満で辞めることのリスクは?
短期離職は、次の転職先で評価されにくくなる可能性があります。たとえば「またすぐ辞めるのでは」と懸念を持たれたり、退職理由をうまく説明できない場合には、社会人としての耐性や環境への適応力を不安視されたりすることもあります。さらに、現場経験が浅いと判断され、転職先が決まりづらくなるケースも少なくありません。
――最後に、「転職しなければよかった」と後悔する人の特徴を教えてください。
転職活動を始める段階で、理想の働き方や条件、転職の軸を明確にできていない人は、後悔するケースが多いです。転職を考えた背景には、現状を改善したいという思いがあるはず。その目的を見失ったまま転職してしまうと、入社後にギャップを感じやすくなり、結果として後悔につながってしまいます。
薬剤師として働くなかで悩みや迷いを感じることは、決して珍しいことではありません。ただ、感情だけで退職を決めるのではなく、自分が何を改善したいのかを見つめ直すことが大切です。今回のお話は、転職を考えるときに一度立ち止まり、キャリアを冷静に考えるきっかけを与えてくれる内容でした。
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原瑞希
薬剤師専任キャリアアドバイザー
薬剤師免許保有
【経歴・実績】
・ドラッグストアチェーンにて薬剤師として3年間従事
・2024年度 新人賞(銀賞)受賞
【プロフィール】
元薬剤師として現場の空気感やストレスを肌感覚で理解しているため、悩みへの深い共感が可能です。
求人紹介だけでなく、入社後の教育体制まで徹底確認して提案。生活の変化を具体的にシミュレーションし、不安のない転職を支えます。
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