DMATにおける薬剤師の仕事内容とは?資格取得要件もあわせて紹介

薬剤師として働くなかで、「DMAT」に興味を持つ人もいるのではないでしょうか。DMATは災害時に現場で医療任務を遂行するチームで、チームの一員として「災害医療認定薬剤師」と呼ばれる薬剤師が活躍しています。

そこで今回は、災害医療認定薬剤師の概要や業務内容、資格取得方法についてくわしく解説します。災害医療に携わりたい人は、ぜひ参考にしてください。

災害医療認定薬剤師とは

「災害医療認定薬剤師」とは、大規模災害時に医療チームの一員として医薬品管理や薬物療法を担う専門性を有していると認められた薬剤師のことです。一般社団法人日本災害医学会が資格認定を行っています。

地震や豪雨などの災害現場では、通常の医療体制が機能しにくくなるため、制限のある厳しい状況下で適切な医療提供を行わなければなりません。

災害医療認定薬剤師は、そのような現場で医薬品の供給や適正使用の確保、患者の服薬状況の把握など、医療の質を維持することが求められます。DMAT(災害派遣医療チーム)の一員などとして被災地内の病院・救護所・避難所などに赴き、現地の医療活動に貢献します。

一般的な病院や調剤薬局とは異なった緊張感のある場で、医師や看護師と連携し、医薬品に関する専門知識を提供しながらチーム医療を支える、災害現場において非常に大切な存在です。

引用元
日本災害医学会:災害医療認定薬剤師 新規申請受付のご案内

災害派遣医療チームでの薬剤師の役割(CSCA)

災害派遣医療チームにおける薬剤師は、「CSCA」と呼ばれる方針に基づいて活動を行うのが原則です。

CSCAは、Command and Control(指揮と連携)、Safety(安全)、Communication(コミュニケーション)、Assessment(評価)の頭文字を取った概念です。薬剤師はこの原則にのっとって行動し、チーム全体の機能維持に貢献します。

まず、責任者の指揮を理解し、出動に際しては各職種や所属長との連携を図ります。安全面では、危険箇所や感染症などのリスクを考慮しながら慎重に活動しなければなりません。

さらに、卸業者・薬局・薬剤師会などへの情報伝達も重要です。通信手段を複数持ち、機器は正常に使えるようにしておくことが欠かせません。また、専用の「広域災害救急医療情報システム(EMIS)」への入力も必要です。

随時EMISへの入力を行うとともに、ハザードマップの確認・資材の過不足確認・現場の状況チェック・チームメンバーの状況確認などを行いながら、対応について検討します。

このような原則に従って行動することにより、災害時でも質の高い医療を提供できるでしょう。

引用元
厚生労働省:薬剤師のための災害対策マニュアル
日本職業・災害医学会:災害拠点病院の薬剤師の役割
大阪府病院薬剤師会:DMAT隊員からの伝達事項

災害派遣医療チームでの薬剤師の仕事内容(PPP)

災害現場におけるDMATの一員としての薬剤師の業務は、「PPP(Pharmaceutical Triage、Preparation、Provide Pharmaceuticals)」という考え方で示されます。それぞれの具体的な内容を以下でくわしく見ていきましょう。

引用元
厚生労働省:薬剤師のための災害対策マニュアル
日本職業・災害医学会:災害拠点病院の薬剤師の役割
大阪府病院薬剤師会:DMAT隊員からの伝達事項
茨城県薬剤師会職能対策委員会:災害の基本 CSCA-TTT(PPP)
熊本県病院薬剤師会:薬剤師に求められる災害時のミッション

1. Pharmaceutical Triage|薬事トリアージ 

薬事トリアージとは、医療の活動場所を確保する(HeLP-SCREAM)とともに、必要な薬物療法(患者や使用する薬剤)の優先順位を判断する業務です。

災害時にはすべての患者に十分な医療資源を提供することが難しいため、緊急度や重症度に応じた対応が求められ、限られた医薬品を誰にどのように配分するかを判断しなければなりません。

ほかにも、被災地内外からの人員要請について都道府県薬剤師会などの現地対策本部と協議したり、ニーズに対応する処方箋の確認や場所を決めたりする必要があります。

さらに、医療用医薬品・一般用医薬品・医療機器・衛生材料などの分類や在庫量の把握を行い、現地で適切な医療を提供できるよう薬剤面で尽力する役割を担います。

2. Preparation|準備・調剤

医薬品の準備や調剤業務を行うステップです。災害現場では通常の薬局設備が整っていないことも多く、限られた環境で迅速に対応しなければなりません。近隣の医療機関や卸業者、薬剤師会などと連携しながら、必要な医薬品などを準備します。

被災地内の診療状況・薬局の調剤状況などの情報収集を行ったり、医薬品や衛生材料などの需給状況を把握したり、薬事支援による医薬品使用動向情報の報告を受けたりすることも重要な任務です。

さらに、調剤や服薬説明では、安全管理として妊婦や授乳婦、アレルギーのある患者などに特に慎重な配慮が求められます。理解力に応じた服薬支援なども業務の一環です。

なお、医薬品や関連資材は、最低限3日分程度の在庫を維持するよう努める必要があります。

また、災害発生時に薬剤師が不在でも医師や看護師が医薬品を使用できるよう、保管場所や常用量などに関するマニュアルも用意しなければなりません。

3. Provide Pharmaceuticals|供給

供給は、ライフラインの状況に応じた医薬品の保管・管理方法や医薬品等の調達ルート、医薬品の不足状況などについて助言を行う段階です。

また、保冷庫や調剤機器など業務継続に必要な機器への電力供給がきちんと行われるように体制を整えておく必要があります。非常用電源確保体制も確認しましょう。

必要に応じて、薬剤師チームの管理状況へのアドバイスや、撤収時期に関する上層部との協議も実施する必要があり、現場の状況を冷静な目線で判断する能力が求められます。

災害医療認定薬剤師の資格取得方法

被災地における薬剤師の業務は、災害によってケガを負った人や病気の人を普段とは異なる緊張感のなかで薬事面からサポートする、非常にやりがいのある仕事です。

では、災害医療認定薬剤師になるにはどうすればいいのでしょうか。資格認定を受けるための要件や申請方法について解説します。

引用元
日本災害医学会:災害医療認定薬剤師 新規申請受付のご案内
日本災害医学会:災害医療認定薬剤師 申請受付のご案内

申請要件

認定を受けるには、薬剤師免許を持ち実務経験があることはもちろん、災害医療に関する研修の受講または実災害での対応経験が求められます。また、申請の時点でPhDLS(災害薬事研修)の世話人、もしくはインストラクターかつ実災害での対応経験があることも要件の一つです。

また、認定を行う日本災害医学会の正会員であり、会費2年分を完納していることも欠かせません。

PhDLS世話人・PhDLSインストラクターの要件とは

PhDLSの世話人の要件には、以下のようなものがあります。

・日本災害医学会の会員であること
・職種を問わず何らかのインストラクターであること
・PhDLSの目的に賛同し、事業の推進に意欲的であること など

また、PhDLSのインストラクターの要件は、下記のようなものです。

・プロバイダーコース・インストラクターコースを修了していること
・プロバイダーコースに2回以上モニタータスク参加していること
・世話人からインストラクターとして推薦されていること など

さらに、いずれも災害薬事研修委員会からの承認を受けなければなりません。

申請方法と認定

資格認定を受けるためには、申請手数料5,000円を支払って所定の書類を提出することにより申請を行い、年に一度の災害医学会総会で審査を受けることになります。

審査に通過し、災害医療認定薬剤師として認定されたのちは、認定手数料10,000円を収めると認定証が交付されるという流れです。認定後は、災害時の医療活動に参加する機会が広がり、専門性を活かしたキャリア形成が可能になります。

更新申請の要件と方法

災害医療認定薬剤師の資格は、取得後も継続的な更新が必要です。更新は1年ごとで、新規の申請時と同様、申請手数料5,000円を支払い、書類を提出して審査が行われます。

更新要件はポイント制で、日本災害医学会の学術集会総会・WADEM・APCDMなどへの参加や発表、所定の研修会・災害訓練・講習会などへの参加にポイントが設けられており、3項目以上かつ50ポイント以上獲得していなければなりません。

一度認定されたら終わりではなく、常に新しい知識やスキルを維持するための継続的な学習と実践が重要です。更新(審査通過)後の認定手数料は5,000円です。

資格を取得して災害派遣医療チームで貢献しよう

災害医療認定薬剤師は、災害時に医療を支える重要な専門職です。CSCAやPPPといったフレームワークに基づき、現場の状況を常に把握し、臨機応変に対応・判断しながら医薬品の管理や供給、患者対応を行うことで、被災地の医療体制を支えます。

資格取得には勉強や努力が必要ですが、その分やりがいも大きく、社会貢献性の高いキャリアを築けるでしょう。災害医療に関心がある方は、まずは研修参加から一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

なお、せっかく身につけた専門性を活かすには、適切な職場選びも重要です。災害医療に理解があり、スキルを発揮できる環境を探すなら、薬剤師専門の転職支援サービスを活用するのも一案です。

なかでも「ファーマキャリア」は、希望条件に合わせたオーダーメイド求人サービスを提供しており、自分に合った職場で薬剤師としての夢を叶えている人もたくさんいます。

災害医療というフィールドで活躍するために、資格取得とキャリア選択の両面から準備を進めていきましょう。


監修者

この記事の監修者

森正弘
薬剤師専任キャリアアドバイザー
社内MVP受賞

【経歴・実績】
・北海道大学大学院(修士)修了 / 元大手インフラ企業 研究職
・社内受注金額MVP / 成約率41%の実績

【プロフィール】
理系院卒の深い理解と論理的交渉で、週休3日や高年収など他社が敬遠する難条件も実現。
深層心理まで掘り下げ、客観的な利点と欠点を提示します。意見を押し付けず、最終的にはご本人の意思決定を最優先に尊重します。

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くの薬剤師求人をリジョブで探す

株式会社リジョブでは、美容・リラクゼーション・治療業界に特化した「リジョブ」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄