老健(介護老人保健施設)の薬剤師の仕事内容とは?薬局薬剤師とはどこが違う?

薬剤師の活躍の場は多様化しており、調剤薬局や病院といった薬剤師の主な職場以外の選択肢に目を向ける方も増えています。そのなかで注目されているのが、これまでとは異なる環境で経験を積める職場です。

勤務リズムや職場の雰囲気、人との関わり方などが変わることで、仕事への向き合い方も変化するかもしれません。

今回は、このような選択肢の一つとして関心を集める老健での働き方について、薬局薬剤師との違いや老健で働くメリット、向いている人物像などを解説します。今後のキャリアを考える材料として、ぜひ参考にしてください。

老健で働く薬剤師の主な業務内容

老健とは、「介護老人保健施設」の略称で、病状が安定している高齢者が在宅復帰を目指して入所し、さまざまな支援を受けられる施設です。

主な対象者は、65歳以上かつ要介護認定1〜5を受けた方で、介護保険を利用して入所します。また、40〜64歳の方でも、特定疾病により要介護認定を受けている場合は利用可能です。

医師や看護師、介護職、リハビリ職などが連携し、医療ケア・日常生活支援・リハビリテーションを提供する点が特徴で、薬剤師は、施設利用者の薬物療法を支える専門職として重要な役割を担います。

では、老健で働く薬剤師の主な業務内容を下記で見てみましょう。

薬剤管理業務

老健の薬剤師は、利用者が入所する際に持参する、かかりつけ医が処方した薬の内容・服薬状況・管理状態などを確認します。重複や過量投与の有無、相互作用のリスクなどをチェックすることも重要な業務です。

また、内服中の薬剤による体調変化などを観察し、現在の処方内容が利用者に適しているかを継続的に確認します。必要に応じて、減薬や他の薬剤への切り替えを医師へ提案するケースもあるでしょう。

入所中に新たな薬を処方されることもあるため、持参薬と施設での処方内容を比較しながら、処方内容の見直しや提案を行うこともあり、薬物療法の安全性と継続性を支える役割を担います。

調剤業務

施設の利用者を対象とした調剤業務も、老健で働く薬剤師の主な仕事の一つ。利用者の生活リズムや服薬状況に合わせて、一包化や別包などの対応を行うことも少なくありません。

また、単に薬を用意するだけでなく、処方内容をもとに、用法・用量に誤りがないか、重複投与や相互作用の問題がないかといった処方監査も重要な業務です。

さらに、利用者の状態悪化により内服が難しくなった場合には、服薬継続の必要性を確認しつつ、必要に応じて剤形変更や粉砕可能な薬への切り替えを医師に提案します。高齢者特有の身体状況を考慮した対応力が求められます。

老健と薬局での薬剤師の働き方の違い

同じ薬剤師という立場でも、老健で働く薬剤師と調剤薬局で働く薬剤師では、働き方において違いがあります。それぞれの特徴を理解しましょう。

働く場所

まずは「働く場所」の違いです。老健薬剤師の勤務先は、当然のことながら介護老人保健施設です。前章でも見たように、主に高齢の入所者を医療と介護の両面からサポートする施設内で、関連する多職種と連携しながら、調剤業務や入所者が服用する薬の管理などを行います。

一方、薬局薬剤師の職場は調剤薬局です。近隣の医療機関から発行された処方箋に基づいて、調剤や患者への服薬指導などの業務を遂行します。

施設内で高齢者を相手に働く老健と、地域の幅広い世代の人々の医療を支える調剤薬局では、環境が大きく異なることが特徴です。

対象者

もう一つは対象者の違いです。老健薬剤師が業務を提供する対象者は、施設を利用している入所者です。日常的に同じ利用者たちの状態を確認し、継続的な薬剤管理を行います。

対して、薬局薬剤師の業務の対象者は、周辺のクリニックや病院を受診した患者たちです。日々異なる患者に対応する必要があり、来局した短時間の間に素早く相手の状況や体調などを把握して、適切に調剤や服薬説明を行う力が求められます。

薬剤師が老健で働くメリットとは?

薬剤師が老健で働くことには、調剤薬局や病院での勤務とは異なるメリットがあります。働き方や業務環境を重視したい方にとって、魅力的な選択肢となる可能性があるので、下記でチェックしましょう。

1. 余裕を持って働ける

老健では調剤や投薬業務が決まった時間内に行われることが多く、勤務スケジュールが比較的安定しています。急な対応が発生しにくいため、シフトの融通がつきやすく、時間に余裕を持って業務に取り組める職場が多い点が特徴です。

職場や体制によりますが、常勤でフルタイムで働く方法のほか、非常勤という形での勤務もできるかもしれません。

2. 業務量が安定している

老健は業務の対象者が施設利用者に限定されているため、病院外来や調剤薬局のように、日によって患者数が大きく変動することがありません。そのため、業務量が安定しており、計画的に仕事を進めやすいでしょう。

気持ちにも余裕を持ちやすく、一人ひとりの入所者と、よりていねいに向き合いながら働ける可能性があります。

3. 残業が少なめ

老健での勤務はあらかじめ決められたスケジュールに沿って行われることが多く、定時のうちに仕事が終わり、残業が発生しにくい傾向があります。

自分の時間や家族・友人との時間を大切にしたい、ワークライフバランスを重視する薬剤師に向いているといえるでしょう。

4. スキルアップできる

老健では、医師・看護師・介護職など、施設に関わる他の多くの職種と連携しながら業務を行うため、チーム医療の経験を積めます。また、高齢者への薬物療法や服薬支援に関する知識や対応力を深められる点も大きな魅力です。

薬局ではなかなか体験できない環境に身を置けるため、施設という場所の特性に対し、薬剤師としてのスキルアップに期待できるでしょう。

老健にはどんな薬剤師が向いている?

老健での勤務では、調剤や服薬指導のスキルだけでなく、人との関わりや姿勢も重要です。では、どんな薬剤師が老健には向いているのでしょうか。以下で、老健勤務が合っていると考えられる薬剤師の特徴を紹介します。

1. お世話やサポートにやりがいを感じる

他人のお世話やサポートにやりがいや魅力を感じる方には向いています。在宅へ戻ろうと努力している入所者たちと日々関わり、薬剤面から支えることで、サポートしているという実感を得られて満足度も高まりやすいです。

人のためにかいがいしく動ける人材は、職場でも重宝されやすいでしょう。

2. コミュニケーション能力が高い

老健では利用者との距離が近く、声かけや会話など、直接ふれあう機会も多くあります。そのため、人と接することが好きでコミュニケーション能力が高い方や、入所者たちにていねい・親切な対応ができる方にも適した環境です。

3. チーム医療に関わりたい

老健では、薬剤師のほかにもさまざまな医療や介護関係職が働いています。さまざまな職種と協力しながら業務を進めていくため、チームの一員として経験を積みたい方にも向いているでしょう。情報共有や意見交換を通じて視野を広げられ、スキルアップできます。

4. 向上心がある

老健での勤務においては、向上心も重要です。現状に満足せず、目標や課題を見つけながら積極的に動き、よりよい薬物療法や支援方法を考えながら行動できる方は、業務を通じて成長しやすいでしょう。

老健での薬剤師の待遇や採用条件の実例

老健薬剤師の待遇や採用条件は施設によって異なりますが、一般的には常勤(正職員)の募集のほか、場合によっては非常勤というケースもあるかもしれません。

給与水準は勤務先などによって差がありますが、月給が25万円を超え、手当などが加算されることも多く、比較的安定した収入が見込めるでしょう。賞与も年2回受け取れる可能性が高く、月給の4.7カ月分という募集も見られました。

勤務時間は8時台から17時台くらいまでの日勤帯が中心で、夜勤がない、もしくは少ない施設が大半です。休日はシフト制が一般的で、年間休日数が比較的多めに設定されている場合もあります。

採用条件として、薬剤師免許の所持が前提で、選考では、面接や適性検査などが行われることが多いようです。経験や自分の強みが重視される可能性もあるので、中途採用を狙う方はこれまでのキャリアなどを存分にアピールしてみましょう。

引用元
医療法人 慈照会グループ 【介護・看護・老人保健施設・クリニック・託児所・名古屋市西区】:薬剤師【常勤】 
きつこう会ヘルスケアシステム:法人職員募集要項 薬剤師
社会医療法人北九州病院 リクルートサイト:薬剤師 療養型病院(あけ-既)

老健の薬剤師は利用者の調剤や薬剤管理業務を行う

老健には、再び自宅で安定した生活を送りたいと考え、リハビリや機能回復などに懸命に取り組む利用者たちが入所しています。

老健で働く薬剤師は、そのような入所者を対象に、調剤や薬剤管理業務を行い、医療と介護の両面からサポートする大切な存在です。薬局薬剤師とは働き方や役割が異なり、チーム医療に貢献しながら経験を積めます。

残業が少なく定時で上がりやすい勤務形態に加え、高齢者の医療と介護を目の前で支えながらスキルアップを目指せるなど、老健は薬剤師にとって魅力的な職場の一つです。待遇も比較的よいため、選択肢の一つとして考えるのもよいでしょう。

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監修者

この記事の監修者

森正弘
薬剤師専任キャリアアドバイザー
社内MVP受賞

【経歴・実績】
・北海道大学大学院(修士)修了 / 元大手インフラ企業 研究職
・社内受注金額MVP / 成約率41%の実績

【プロフィール】
理系院卒の深い理解と論理的交渉で、週休3日や高年収など他社が敬遠する難条件も実現。
深層心理まで掘り下げ、客観的な利点と欠点を提示します。意見を押し付けず、最終的にはご本人の意思決定を最優先に尊重します。

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