人間関係に疲れた薬剤師へ。辞めたいと思う前に試してほしい対処法と会話術

日々の業務、本当にお疲れ様です。調剤や監査といった緊張感のある業務に加え、職場での「人間関係」に心をすり減らしている薬剤師の方は少なくありません。

閉鎖的な空間で少人数が長時間過ごす調剤薬局や、多職種との連携が求められる病院など、薬剤師の職場は構造的に人間関係の悩みが生まれやすい環境にあります。

この記事では、明日からすぐに使える具体的なコミュニケーション術や、万が一のトラブルへの対処法を解説します。

少しでも気持ちを楽にして働くためのヒントとして活用してください。

1. 薬剤師が人間関係で悩む典型パターン

1-1. 陰口・派閥・役割あいまいさが生む摩擦

なぜ職場で陰口や派閥が生まれてしまうのでしょうか。

多くの場合、狭い空間で固定されたメンバーが顔を合わせ続ける環境的要因が影響しています。特に調剤薬局などの小規模な店舗では、逃げ場がなく、特定のスタッフの影響力が強くなりすぎる傾向があります。

「自分だけ情報が回ってこない」「特定の誰かの機嫌を損ねると仕事がしづらくなる」といった悩みを抱える方も多いかもしれません。

【よくある摩擦の例】

・管理薬剤師と古株パート薬剤師の間で板挟みになる。

・「それは私の仕事じゃない」と業務範囲の線引きで揉める。

・休憩室での特定のスタッフへの不満の不満の言い合いに巻き込まれる。

まずは「この悩みは自分個人の問題ではなく、環境が生み出している構造的な問題だ」と捉え直すことが、精神的な負担を減らす第一歩です。

1-2. 指示系統の混線と責任の所在不明

「管理薬剤師の指示通りに動いたのに、エリアマネージャーから注意された」という経験はありませんか? 

指示系統が一本化されていない職場では、誰の言葉を信じればよいのか分からず、無用なストレスが発生します。

特に、現場のルールと会社の方針が食い違っている場合、板挟みになるのは現場の薬剤師です。

【指示混線の例】

・Aさんは「先に予製を作って」と言うが、Bさんは「監査を優先して」と言う。

・店舗独自のローカルルールが強く、マニュアルが形骸化している。

・ミスが起きた際、「誰が指示したか」の犯人探しが始まる。

こうした状況では、指示を受けた際に「〇〇さんからは〜と伺っていますが、どちらを優先すべきでしょうか?」とその場ですり合わせを行う確認作業が身を守る術となります。

1-3. 他職種連携(医師・看護師・事務・登録販売者)で起きやすい誤解

病院やドラッグストアでは、薬剤師以外の職種との連携が不可欠です。

しかし、それぞれの専門性や優先順位が異なるため、「話が通じない」と感じてしまう場面も多々あります。

「薬剤師は細かすぎる」と誤解されたり、逆に「医師への確認が遅い」と急かされたりすることは、職種間の「常識」のズレから生じます。

【他職種とのズレの例】

医師・看護師 治療スピードを優先するため、疑義照会を「手前」と感じることがある。

事務スタッフ 患者さんの待ち時間を気にするあまり、監査中の薬剤師にプレッシャーをかけてしまう。

登録販売者 医薬品の知識レベルに差があり、説明の意図が伝わりにくい。

相手の立場を尊重しつつ、薬剤師としての「安全性確保」という譲れないラインをどう伝えるかがカギとなります。

1-4. 人手不足・シフト不均衡・評価不透明が招く不満連鎖

慢性的な人手不足は、心に余裕をなくさせ、小さなミスや言葉のトゲを生む土壌になります。

「あの人ばかり休み希望が通る」「忙しい時間帯に限って人がいない」といった不公平感は、人間関係を急速に悪化させます。

【不満が溜まる状況例】

・急な欠勤が出た際、特定のスタッフにしわ寄せがいく。

・時短勤務者とフルタイム勤務者の間で、業務量の不均衡について話し合いがなされていない。

・頑張っても評価されず、楽をしている人と給与が変わらないと感じる。

これらは個人の努力で解決するのが難しいため、事実を記録して管理者に改善を求める材料にする視点を持つことが大切です。

1-5. 患者・顧客対応のストレス(クレーム・カスハラ)

対人業務において避けて通れないのが、患者さんやお客様からのクレームです。

中には理不尽な要求や暴言(カスタマーハラスメント)も含まれ、一度の対応で深く傷ついてしまうこともあります。

厚生労働省の調査やマニュアルでも、医療現場におけるハラスメント対策の重要性が指摘されています。

【ストレスフルな対応例】

・「待ち時間が長い」と怒鳴られる。

・説明しても「前の薬局ではもっと安かった」と納得してもらえない。

・個人的な連絡先を聞かれるなどのセクハラ行為。


これらは「自分の説明が悪かったからだ」と抱え込まず、組織として対応すべき課題です。毅然とした態度と、周囲へのヘルプ要請が重要になります。

参照:厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル

2. 【相手別】コミュニケーション術(言い回し・距離感)

2-1. 医師・看護師:アサーティブに疑義を通すフレーズ

疑義照会は薬剤師の重要な責務ですが、伝え方一つで相手の反応が大きく変わります。相手の専門性を尊重しながら、こちらの主張もしっかり伝える「アサーティブ(自他尊重)」な表現を心がけましょう。

「間違っています」と指摘するのではなく、「確認させてください」というスタンスで入るのがポイントです。

【疑義照会のフレーズ例】

基本形 「〇〇先生、処方について一点確認させていただきたいのですが、今よろしいでしょうか?」

配合変化等の懸念 「こちらの組み合わせですと沈殿が生じる可能性があるため、変更をご検討いただけないでしょうか?」

用量確認 「患者様の体重からすると、通常より多めの設定とお見受けしますが、このまま調剤してよろしいでしょうか?」

最後に「ご確認ありがとうございます」「変更いたします」と感謝を伝えることで、次回以降のコミュニケーションもスムーズになります。

2-2. 登録販売者・事務:分担の明確化と依頼の型

薬局内の連携では、「誰がやるか」のボールが落ちてしまうことが揉める原因になります。特に事務スタッフや登録販売者にお願いをする際は、指示ではなく「依頼」の形をとると協力が得やすくなります。

「やっておいて」ではなく、「助かります」という言葉を添えるだけで印象が変わります。

【スムーズな依頼の例】

ピッキング依頼 「今、投薬が立て込んでいるので、こちらのピッキングをお願いしてもよろしいですか? 助かります。」

電話対応 「今手が離せないので、電話のお名前だけ聞いておいていただけますか?」

情報共有 「先ほどの患者さん、お薬手帳を忘れたそうなので、次回お持ちいただくようメモを残しておきますね。」

役割分担を明確にしつつ、感謝の言葉をセットにすることで、チームとしての連帯感が生まれます。

2-3. 患者・家族:デリケートな話題の切り出しと火消し

残薬確認や副作用のチェックなど、患者さんにとっては「触れてほしくない話題」に踏み込むこともあります。唐突に聞くのではなく、クッション言葉を使って心理的なハードルを下げましょう。

【話題の切り出し例】

残薬確認 「お家に残っているお薬の整理もお手伝いできるのですが、飲み忘れなどはございませんか?」

副作用確認 「新しいお薬ですが、お腹が緩くなるなどの変化はございませんでしたか?」

クレーム初期対応 「不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。詳しく状況をお聞かせ願えますでしょうか。」

相手の話を否定せず、まずは「そうだったんですね」と受け止める姿勢を見せることが、トラブルの火消しには有効です。

3. その場で使える実践対処法

3-1. ミス発生時の初動(謝罪→再発防止→合意)

ミスが起きたとき、動揺して言い訳をしてしまうと事態が悪化します。信頼を取り戻すためには、迅速かつ誠実な対応が求められます。まずは事実を認め、謝罪することから始めましょう。

ただし、ただ謝るだけではなく、再発防止策を提示して相手に納得してもらうことがゴールです。

【ミス対応のステップ】

1.謝罪と事実確認 「大変申し訳ございません。確認したところ、入力ミスがございました。」

2.原因と対策の提示 「今後はダブルチェックを徹底し、同様のことがないようにいたします。」

3.合意形成 「今回はこちらで対応させていただきますが、この内容でよろしいでしょうか?」

ミスを隠さず報告し、チームで共有することで、個人のミスから組織の改善点へと昇華させることができます。

3-2. 角を立てない指摘・注意のテンプレ

同僚や後輩に注意をする際、感情的にならずに伝えるのは難しいものです。「あなた」を主語にすると攻撃的に聞こえるため、「私(I)」を主語にする「アイ・メッセージ」を活用すると効果的です。

また、事実のみを伝え、人格否定をしないように心がけましょう。

【指摘のフレーズ例】

・遅刻が多い場合 「(あなたが)遅刻すると困る」ではなく、「(私が)朝の準備に一人で対応するのは不安なので、時間通りに来てもらえると助かります。」

・ミスがあった場合 「なんでこんなミスするの?」ではなく、「ここの記載が違っていたので、次は確認をお願いできますか?」

「〜してくれると嬉しい」「〜だと助かる」というポジティブな表現に変換することで、相手も素直に受け取りやすくなります。

3-3. 意見相違の合意形成ステップ(事実→影響→提案)

業務の方針で意見が食い違ったときは、感情論ではなく「事実」に基づいて話し合うことが大切です。「どちらが正しいか」ではなく「どうするのが患者さんや店舗にとって最善か」という共通の目的に立ち返りましょう。

【話し合いの進め方】

1.事実(Fact) 「現在、待ち時間が平均30分発生しています。」

2.影響(Impact) 「そのため、クレームが増え、監査の集中力も低下しています。」

3.提案(Proposal) 「ついては、予製業務の時間を1時間早めたいのですが、どう思いますか?」

客観的な状況を共有してから提案に移ることで、建設的な議論ができるようになります。

3-4. 苦手な相手との境界線設定と距離の取り方

どうしても相性が合わない相手とは、無理に仲良くする必要はありません。業務遂行に必要なコミュニケーションだけに絞り、心理的な距離(バウンダリー)を保つことも、自分を守るための立派なスキルです。

「仕事上のパートナー」と割り切り、プライベートな話には深入りしないようにしましょう。

【距離を取るための具体策】

・挨拶や報告・連絡・相談(ホウレンソウ)は丁寧に行い、隙を見せない。

・雑談や悪口には「そうなんですね」と相槌を打つにとどめ、同調しない。

・休憩時間をずらす、視界に入らない位置で作業するなど、物理的な距離を工夫する。

冷たくするのではなく、「礼儀正しい他人」としての距離感を維持することがポイントです。

4. ハラスメント/トラブルの法的・制度的対応

4-1. パワハラ・カスハラの初動(安全確保・記録・エスカレーション)

ハラスメントを受けた際、我慢してしまうのが一番のリスクです。特に暴力や暴言を伴うカスタマーハラスメント(カスハラ)の場合は、直ちに対応を中断し、身の安全を確保してください。

医療現場であっても、理不尽な暴力に耐える義務はありません。

【トラブル発生時の初動】

安全確保 興奮している相手からは物理的に距離を取る。カウンター越しや、必要ならバックヤードへ退避する。

応援要請 一人で対応せず、すぐに上司や他のスタッフを呼ぶ。

記録 可能な限り、発言内容や時刻をメモに残す。防犯カメラの位置を確認する。

厚生労働省のマニュアルでも、組織として毅然とした対応をとることが推奨されています。

4-2. 証拠化のポイント(記録・メール・第三者)

「言った・言わない」の水掛け論を防ぐためには、客観的な証拠が不可欠です。パワハラの場合も同様で、日記やメールの履歴が重要な証拠となります。

【有効な証拠の残し方】

詳細なメモ(日記) 日時、場所、誰が、何を言ったか、周囲に誰がいたかを具体的に記録する。

メール・LINE 指示内容ややり取りの履歴は削除せずに保存する。

録音 カスハラなどの緊急性が高い場合や、執拗なパワハラがある場合、会話の内容を記録しておくことで事実関係の整理に役立つことがあります。

状況を客観的に説明するための重要な手がかりになります。

4-3. 相談窓口・社内規程・外部機関の使い方

解決が難しい場合は、抱え込まずに外部の力を借りましょう。まずは就業規則を確認し、社内のハラスメント相談窓口へ連絡します。社内での解決が望めない場合は、公的な機関への相談も検討してください。

【相談先の例】

社内窓口 コンプライアンス部門や人事部。

総合労働相談コーナー 各都道府県の労働局に設置されており、職場のトラブル全般について相談できます。

法テラス 法的な対処が必要な場合の相談窓口です。

相談するだけでも、状況を整理し、客観的なアドバイスをもらえるため、心の負担が軽減されるはずです。

5. 改善しないときの選択肢(異動・転職を検討する前に)

5-1. 上司・人事への相談と事実ベースの整理

今の職場で働き続けたい意思があるなら、まずは上司や人事に環境改善を相談しましょう。その際、「あの人が嫌いです」という感情論ではなく、「事実」と「業務への支障」を伝えることが重要です。

【相談の伝え方例】

・「〇〇さんからの高圧的な指導により、チーム内の連携が取れず、調剤ミスが起きやすい状況になっています。」

・「現在の業務量が一人に集中しており、残業が常態化しています。人員配置の見直しをお願いできませんか?」

具体的なデメリットを提示することで、会社側も動かざるを得ない状況を作ることができます。

5-2. 異動・配置転換を打診する際のポイント

チェーン展開している薬局や、複数の部署がある病院であれば、異動によって環境を変えられる可能性があります。転職活動のリスクを負わずに環境を変えられる有効な手段です。

打診する際は、「現在の部署では適応が難しいが、別の環境であれば貢献できる」という前向きな姿勢を示しましょう。

【異動願いのポイント】

・現在の部署での努力と限界を正直に伝える。

・他の店舗や部署で活かしたいスキルや意欲をアピールする。

・「人間関係」だけでなく、「キャリアアップ」などのポジティブな理由も添える。

5-3. 転職判断の基準(人間関係の見極め指標)

あらゆる手を尽くしても改善が見られない、あるいは心身に不調が出ている場合は、転職を視野に入れましょう。以下の基準に当てはまるなら、環境を変えるべきタイミングかもしれません。

【転職を検討すべきサイン】

・ハラスメントが横行しており、会社も黙認している。

・出勤前に吐き気や動悸がするなどの身体症状が出ている。

・信頼できる上司や同僚が一人もいない。

・給与や待遇が見合っておらず、将来の展望が見えない。

「逃げる」のではなく、「より良い環境を選ぶ」という前向きな選択として捉えてください。

6. 転職で同じ悩みを繰り返さないチェックポイント

6-1. 職場見学で見るべき行動サインと現場ルール

次の職場で同じ悩みを繰り返さないためには、事前の情報収集が命です。面接時には必ず職場見学をさせてもらい、現場の空気を肌で感じましょう。

【職場見学のチェックリスト】

・挨拶 スタッフ同士で挨拶が交わされているか、外部の人に対しても明るく挨拶するか。

・整理整頓 調剤室や休憩室が片付いているか(乱雑な職場は心に余裕がない場合が多い)。

・表情 働いているスタッフの表情は明るいか、ピリピリしていないか。

・会話 業務連絡以外のちょっとした会話があるか、あるいは私語が多すぎないか。

違和感を感じたら、その直感は当たっていることが多いものです。慎重に判断しましょう。

6-2 面接での質問例(評価/連携/指示系統/クレーム対応)

面接の逆質問は、自分に合う職場かどうかを見極める最後のチャンスです。人間関係や業務体制に関する質問を投げかけ、その回答や反応を観察しましょう。

【逆質問の例】

・「もし調剤過誤が起きた場合、どのようなフローで対応・再発防止を行っていますか?」

・「事務スタッフや他職種の方とは、普段どのように連携を取られていますか?」

・「以前働いていた方が退職された理由を、差し支えない範囲で教えていただけますか?」

・「配属予定の店舗の人数構成と、平均的な残業時間を教えていただけますか?」

誠実な職場であれば、これらの質問にも具体的な数字や事例を交えて答えてくれるはずです。

7. まとめ

薬剤師の仕事は専門性が高く、責任も重いものです。だからこそ、人間関係のストレスで本来のパフォーマンスが発揮できなくなるのは、あなたにとっても、患者さんにとっても大きな損失です。

今の悩みが「自分のコミュニケーション工夫」で解決できるものなのか、それとも「環境を変えなければ解決しない」ものなのか、一度立ち止まって整理してみてください。時には「逃げるが勝ち」という選択肢も、あなたの人生を守るためには必要です。

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この記事の監修者

原瑞希
薬剤師専任キャリアアドバイザー
薬剤師免許保有

【経歴・実績】
・ドラッグストアチェーンにて薬剤師として3年間従事
・2024年度 新人賞(銀賞)受賞

【プロフィール】
元薬剤師として現場の空気感やストレスを肌感覚で理解しているため、悩みへの深い共感が可能です。
求人紹介だけでなく、入社後の教育体制まで徹底確認して提案。生活の変化を具体的にシミュレーションし、不安のない転職を支えます。

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