「観察力」を十分に磨いて、お客さまの気持ちをガッチリと「キャッチ」!
技術面は自信があるけれど、接客は苦手という方も多いのでは?お客さまに喜んでいただくためには、接客もマストです!
今回は、接客に欠かせないスキルである観察力について、元国際線キャビンアテンダント(以下CA)で現在は医療コンシェルジュとして活躍されている永田潤子さんにレクチャーしていただきます。
愛される接客をするためには、お客様がどんな気持ちでどんなことを望んでいるのかを察知することが必要です。元CAで現在は医療コンシェルジュとして活躍されている永田潤子さんに、観察力の重要性や具体的に観察するべきポイントなどをうかがいました。
接客のプラスアルファは観察から
「おもてなしとは、サービスで感動を与えることだと思います。そのためには、決められたことを丁寧に行うだけでは足りません。例えばエステサロンですと、お客様をお出迎えしてご案内して……という一連の流れがあり、その流れを滞りなく感じ良く行うことがおもてなしの土台になりますが、大事なのはそこにどうプラスアルファをしていくかだと思います。そのプラスアルファはお客様によって異なり、お客様を観察して、その方が望むサービスをすることでしか得られないものです。ですから観察力はとても重要なスキルだと思います」
感動を与えるサービスは観察から生まれる
「感動を与えるサービスの例として、私の父の体験をお話しますね。あるとき、父はいつも通っている病院の受付で何かを言われたのですが、耳が悪いので聞き取れませんでした。でも『まあいいか』と思ってそのまま立ち去ったら、その受付の人が追いかけてきて、父がちゃんと聞こえるようにもう一度話をしてくれたそうです。きっとその人は父の様子を観察していて、聞き取れていない、理解していないということがわかったので、これではいけないと思ったんですね。『わざわざ追いかけてきてくれたんだよ!』と父が感動していました。私もそういうサービスがしたいなと思います」
小さな積み重ねがプラスアルファに
「観察をしているといろいろなことがわかります。例えばお客様が時計をちらっと見たら、時間を気にしていますよね。そんなときは、『このあとご予定がおありですか?』とか『お急ぎでしょうか?』と声をかけると、『言わなくてもわかってくれているな』という良い印象を与えられます。ポスターを見ていたら、さり気なくその内容を説明してみましょう。お客様は、『興味があると気づいてくれたんだな』と、少しうれしい気持ちになるはずです。本当に小さな積み重ねですが、そういったことがプラスアルファになっていくと思います」
声のトーンと視線で気持ちを察知
「私の場合、来院された方に『こんにちは』と挨拶したときに、声のトーンが沈んでいたり目を合わせてくださらなかったりするとちょっと心配になります。そこでいきなり『何かありましたか!?』と聞くのは急すぎるので、ちょっとした会話を試みます。お天気のことでもいいですし、電車やバスなどの交通状況のことでもいいでしょう。そうすると、『実は電車でこんな嫌なことがあって……』というふうに教えてくださって、私としてはホッとする一方で会話も弾む、ということがあります。挨拶のときに何か気になったら、さりげなく第二声、第三声をかけてみましょう。そうやって観察しながら、話を聞くことで気分を和らげたり、あるいはこちらに原因があるのならそれを解消していくことが大事だと思います」
医療コンシェルジュとしての観察ポイント
「病院は基本的に具合の悪い方がいらっしゃる場所。具合が悪ければ当然、あまりハッピーな気持ちではありませんよね。そこが美容サロンや旅客機と大きく違うところです。本人でなくても、例えばご家族が重傷であったり、余命宣告をされたりといった場合もあるので、そいういった空気にはとても注意が必要です」
「また、実際に気分が悪いとか、来院したとたんに倒れてしまう方もいるので、体調に関しても気をつける必要があります。医療コンシェルジュになってからは、特に顔色と足下を気にするようになりました。ふらついていたり、足がうまく上がらず、すり足のようになっている方は倒れやすいですね。そういう場合はすぐに歩み寄って車椅子をおすすめしますし、明らかに具合の悪そうな方はすぐに看護師さんを呼ぶなど適切な対応をしなければなりません。観察力と素早く適切な判断が求められるという意味でも、病院には緊張感があります」
情報はスタッフ間で共有を
「私たちは医療従事者ではないのでカルテというものはありませんが、何度も来院されている方や次回の来院につながりそうな情報やご要望・クレームについてはスタッフ間で共有するようにしています。来院された方にしてみれば、ひとりの人に言ったことは全体に伝わっているのが理想ですよね。特にご要望・クレームは絶対に何度も言わせてはいけないことだと思います」
取材協力:CA Media Agency
1000人以上のCAネットワークから情報を発信!日本初のキャビンアテンダントによる総合情報発信サイト「CA Media」(http://ca-media.jp/)
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Profile
永田 潤子さん
津田塾大学学芸学部卒業後、日系航空会社に入社し国際線のCA(キャビンアテンダント)として乗務。在職中にソムリエの資格を取得し、フライトやプライベートを利用して、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ等のワインセラーを巡るのが楽しみだった。産休中に英語通訳案内士の資格を取得、老後にボランティアをしたいと考えている。現在は医療コンシェルジュとして病院に勤務している。