薬剤師の休日は少ない?業態別のリアルな実態

日々の業務、本当にお疲れ様です。調剤や監査、服薬指導に追われ、「気づけばまた1週間が終わっていた」と感じることも多いのではないでしょうか。

薬剤師という仕事は、患者さんの命を預かる責任重大な職務ですが、それゆえに自身の休息がおろそかになりがちです。しかし、長く健康に働き続けるためには、適切なリフレッシュが欠かせません。

本記事では、勤務先ごとの休日の実態から、有給休暇をスマートに取得するための交渉術、そしてライフステージに合わせた働き方まで、薬剤師が知っておくべき「休日のすべて」を網羅しました。ぜひ、ご自身のキャリアと生活を豊かにするための参考にしてください。

1. 勤務先別の休日実態とカレンダー比較

1.1 調剤薬局:門前/面分業・輪番制・土日可否・半休運用

調剤薬局の休日は、主に「処方元医療機関」の診療時間に連動します。そのため、門前薬局か面対応薬局かで働き方が変わります。

多くのクリニック門前薬局では、クリニックが休診となる「日曜・祝日」に加え、「木曜午後・土曜午後」などが休みになるケースが一般的です。一方、総合病院の門前や面対応の薬局では、年中無休に近い体制をとることもあり、シフト制になる傾向があります。

ここで確認しておきたいのが「地域輪番制」や「かかりつけ薬剤師」の対応です。完全週休2日制と記載されていても、これらが実質的な休日稼働になる場合があるからです。

【確認ポイントの例】

・完全週休2日制(毎週必ず2日休み)か、週休2日制(月に1回以上2日休みがある週がある)か

・かかりつけ対応の携帯電話当番の頻度と、呼び出し時の代休規定

・半日休暇(半ドン)の組み合わせで「1日休み」とカウントされていないか

これらを事前に把握しておくと、入職後のギャップを減らすことができます。

1.2 ドラッグストア:店舗営業時間と人員体制・土日/祝日シフトの傾向

ドラッグストアは、地域の健康インフラとして長時間営業や年中無休の店舗が多く、シフト勤務が基本です。

「土日祝日は絶対に休めない」と思われがちですが、最近では人員体制が潤沢な大手チェーンを中心に、土日休みの相談が可能な店舗も増えています。ただし、基本的には「平日休み」がメインになると考えておいたほうがよいでしょう。

平日休みのメリットとしては、役所や銀行に行きやすい、観光地が空いているなどが挙げられます。

【シフト希望の出し方の例】

・「月に2回は土日どちらかで休みが欲しい」と具体的に相談する

・固定曜日での休みが可能か確認する

ご自身のライフスタイルと照らし合わせ、柔軟に対応できるかどうかが鍵となります。

1.3 病院:当直/日直/オンコールの有無・急性期/慢性期での違い

病院薬剤師の休日は、病院の機能(急性期か慢性期か)によって大きく左右されます。

救急を受け入れる急性期病院では、夜勤や当直、土日の日直勤務が発生するため、不規則なシフト制になることが一般的です。一方で、療養型やリハビリテーション中心の慢性期病院では、夜勤がなく、カレンダー通りの休みが取りやすい傾向にあります。

「病院で働きたいけれど、休みもしっかり確保したい」と考える方は、病院の種別や薬剤部の規模に注目してみるのがおすすめです。

【チェックすべき項目】

・当直明けの勤務体制
(そのまま勤務か、休みか)

・オンコール待機の頻度と手当

これらは体力的な負担に直結するため、詳細を確認しておきましょう。

1.4 製薬・治験(CRA/CRC):土日稼働の有無・出張と代休の取り方

製薬企業や治験関連企業(CRO/SMO)で働く場合、基本的には企業カレンダーに準じた土日祝休みとなります。

ただし、CRA(臨床開発モニター)は全国の病院を回るため出張が多く、移動で休日が潰れるケースも稀にあります。

CRC(治験コーディネーター)の場合、担当する患者さんの来院スケジュールによっては、早朝勤務や土曜対応が発生することもあります。

多くの企業ではフレックスタイム制や代休制度が整っているため、これらを活用して調整することが可能です。

【働き方の特徴】

・業務の繁閑差が激しい(新薬申請前などは忙しい)

・自分でスケジュールをコントロールしやすい裁量労働制の場合がある

自己管理能力が高い方にとっては、非常に働きやすい環境といえるかもしれません。

1.5 企業内薬剤師(品質・薬事・安全性):カレンダー/フレックス/在宅比率

医薬品卸の管理薬剤師や、企業の品質保証(QA)、安全管理(PV)、薬事申請業務などは、最もカレンダー通りの休みが確保しやすい職種です。
※会社や部署によっては休日当番や突発対応が発生する場合もあります。

デスクワークが中心となるため、リモートワーク(在宅勤務)との相性も良く、ワークライフバランスを重視する方には非常に人気があります。

【メリットの例】

・GW、お盆、年末年始などの長期休暇がカレンダー通り取得できる

・突発的な休日出勤がほとんどない

プライベートの予定を立てやすいのが最大の魅力です。

1.6 行政・大学(公務員・アカデミア):土日休みの一貫性と学事/当番対応

保健所の薬剤師や麻薬取締官などの公務員、また大学職員も、基本的には土日祝休みです。

公務員の場合、災害時などの緊急対応を除けば、勤務時間は安定しています。

大学勤務の場合は、学会シーズンや入試関連業務などで土日出勤が発生することもありますが、年間を通して見れば休日は安定しています。

安定性を求める方には最適な環境といえるでしょう。

2. 有給の取りやすさ・連休戦略

「有給休暇はあるけれど、周りに気を使って使えない」と悩む薬剤師の方は少なくありません。しかし、有給休暇は労働者の正当な権利です。

ここでは、周囲と良好な関係を保ちながら休暇を取得するための戦略を紹介します。

2.1 取得率の目安と職場文化:可視化・計画年休の有無

まずは、ご自身の職場の「有給取得率」や「雰囲気」を把握しましょう。

2019年4月より、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、年5日の取得が企業に義務付けられています。

職場によっては「計画的付与制度」を導入し、あらかじめ有給消化日を決めているところもあります。管理職や先輩が積極的に休んでいる職場は、取得しやすい環境といえます。

【確認してみましょう】

・有給管理簿などで残日数が可視化されているか

・「お互い様」の精神で休みをカバーし合う風土があるか

2.2 希望休の通し方:申請タイミング/理由の伝え方/代替案の出し方

有給申請を通しやすくする最大のコツは、「早めの相談」と「配慮」です。

シフト作成の直前になって「来週休みたい」と言うと、管理者も調整に苦労します。可能な限り1〜2ヶ月前には伝えておくとスムーズです。また、理由は「私用」で構いませんが、ある程度伝えたほうが協力が得やすい場合もあります。

【申請時の伝え方例】

・「来月の〇日から〇日まで、家族旅行のためお休みをいただきたいです」

・「〇日に友人の結婚式があるため、この日は外していただけないでしょうか」

・「もしこの日程が難しければ、翌週の〇日でも調整可能です」

代替案を提示することで、「協力しようとする姿勢」が伝わり、承認されやすくなります。

2.3 繁忙期(花粉・インフル・連休前後)の攻略法:分散取得と調整ポイント

調剤薬局やドラッグストアには、明確な繁忙期があります。特に花粉症シーズンやインフルエンザ流行期、連休明けなどは患者数が急増します。

この時期に長期休暇を申請するのは避けたほうが無難かもしれません。逆に、繁忙期を避けた「閑散期(夏場の午後など)」を狙うと、驚くほどスムーズに休みが取れることがあります。

【賢い取得のポイント】

・店舗が落ち着いている時期や時間帯を狙って半休を取る

・同僚と相談し、休みが重ならないように調整する

チームへの配慮を見せることで、自分が必要な時にも助けてもらいやすくなります。

2.4 連休の作り方(GW・夏季・年末年始):前後での有給ブリッジ戦略

ゴールデンウィークや年末年始などの大型連休の前後に有給休暇をくっつける「ブリッジ休暇」を活用すると、超大型連休を作ることができます。

例えば、飛び石連休の間の平日を有給にするだけで、4連休や5連休が可能になります。

【連休取得のコツ】

・年間カレンダーが出たらすぐに計画を立てる

・早い段階で「この日は有給を使いたい」と宣言しておく

早めの行動が、充実したオフタイムを確保する鍵となります。

3. ワークライフバランス・ライフイベント

3.1 家庭行事・育児・介護との両立:時短・在宅・固定曜日の活用

子育てや介護中は、突発的な休みが必要になることが多いです。

これに対応するためには、「時短勤務制度」や「子の看護休暇」などをフル活用することが大切です。

また、パートタイム勤務であれば、「土日休み」「16時まで」といった固定シフトでの契約を結ぶのも一つの手です。

【働き方の工夫】

・学校行事があらかじめ分かっている場合は早めに休みにする

・夫婦で分担し、どちらかが対応できる体制を整える

無理をせず、制度に頼ることが長く働き続ける秘訣です。

3.2 産休・育休・看護休暇:制度概要と復職後の休日確保設計

育児・介護休業法は改正が続いており、働き手にとってより利用しやすい内容になっています。特に2025年4月からは、残業免除の対象拡大や、看護休暇の取得事由拡大などが施行されています。

参考: 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内(厚生労働省)

復職前に確認しておきたいのが、「復職後の働き方」です。フルタイムで戻るのか、時短で戻るのかによって、確保できる休日や体力の余裕が変わってきます。

【復職前の確認事項】

・子供の急な発熱時に対応できる病児保育の登録

・職場の「子の看護休暇」の取得実績(時間単位で取れるかなど)

事前の準備が、復職後の安心につながります。

4. 転職・職場選びのコツ(休日重視)

4.1 求人の探し方:企業/公務員/研究など選択肢の棚卸し

「薬剤師=薬局・病院」という固定観念を一度外してみましょう。前述の通り、企業や公務員など、カレンダー通りの休みが確保しやすい職種は他にもあります。

求人サイトを見る際は、検索条件にこだわりすぎず、まずは広く可能性を探ってみることが大切です。

【キーワードの例】

・「土日祝休み」
・「年間休日120日以上」
・「完全週休2日制」

これらを条件に設定し、どのような求人があるかリサーチしてみましょう。

4.2 面接での聞き方:休日・当番・シフト運用の質問テンプレ

面接で休みのことばかり聞くのは気が引けるかもしれませんが、入職後のミスマッチを防ぐためには非常に重要です。聞き方を工夫すれば、意欲を疑われることなく情報を引き出せます。

【質問のテンプレ】

・「長く働きたいと考えているのですが、皆様有給休暇はどの程度消化されていますでしょうか?」

・「平均的な月の残業時間や、休日のシフト体制について教えていただけますか?」

・「かかりつけ薬剤師としての携帯当番は、どのようなローテーションで回されていますか?」

「長く貢献したいからこそ確認したい」という前置きをすることで、ポジティブな印象を与えつつ質問できます。

4.3 内定後の条件交渉:就業規則/36協定/代休運用の確認

内定が出たら、必ず「労働条件通知書」や「就業規則」を確認しましょう。

特に注意したいのが、「変形労働時間制」の記述です。これは、繁忙期と閑散期で労働時間を調整する制度ですが、場合によっては休日が不規則になる原因となります。また、休日出勤をした場合の代休の運用ルールも明確にしておきましょう。

【確認すべき書類】

・雇用契約書(労働条件通知書)
・就業規則(休日の規定、賃金規定)
・36協定(時間外労働の上限)

不明点があれば、入社承諾をする前に人事担当者に確認することが重要です。

4.4 人手不足現場の見分け方:離職率・応援体制・口コミの読み解き

常に求人を出している、離職率が高いといった職場は、慢性的な人手不足により休日が取りにくい可能性があります。

また、店舗展開している薬局の場合、「他店舗からの応援体制」が整っているかどうかも重要です。応援体制があれば、自店舗のスタッフが休む際もスムーズにカバーできます。

【見極めのポイント】

・求人広告がずっと掲載されていないか

・地域内での店舗間の連携(ドミナント展開など)があるか

・転職エージェントから「離職理由」を聞いてみる

客観的な情報を集めることで、リスクを回避できます。

5. 地域・体制による差

5.1 都市部/地方の違い:患者流動・人員配置・求人市場

都市部は公共交通機関も発達しており、人員確保が比較的容易なため、シフトの融通が利きやすい傾向があります。

一方、地方では薬剤師不足が深刻なエリアもあり、一人薬剤師(ワンオペ)の時間帯が増えたり、休日が取りにくかったりするケースも見られます。

ただし、地方には「高年収・好待遇」で薬剤師を募集している案件もあります。ご自身の優先順位に合わせてエリアを選ぶとよいでしょう。

5.2 救急・輪番体制の影響:当番頻度/日祝出勤の見通し

地域医療への貢献度が高い薬局ほど、休日夜間診療所への出務や、輪番制の当番が回ってくる頻度が高くなります。

これは薬剤師としてのやりがいにつながる一方で、プライベートな時間は制限される可能性があります。

面接時に「地域の輪番体制への参加状況」を確認しておくと、入職後の生活リズムをイメージしやすくなります。

6. 給与・総合報酬のバランス

6.1 休日数と年収のトレードオフ:基本給/手当/残業の相関

一般的に、休日数が多い(年間休日125日以上など)職場は、給与がやや抑えめになる傾向があります。

逆に、休日が少ない職場や、残業・夜勤が多い職場は、その分手当がつき年収が高くなります。

「とにかく休みが欲しい」のか、「今は稼ぎたい」のか。このバランスは、年齢やライフステージによっても変わるものです。

【バランスを考える視点】

・時給換算してみる(年収 ÷ 年間総労働時間)

・福利厚生(家賃補助など)を含めた総額で考える

表面的な年収だけでなく、労働時間あたりの対価として納得できるかどうかが大切です。

7. 休日中の学習・資格維持

7.1 研修認定単位の取り方:勉強会・eラーニングの配分設計

認定薬剤師の資格維持には、定期的な単位取得が必要です。

しかし、せっかくの休日を全て研修会に費やすのは大変です。

現在は、自宅で受講できるeラーニング(インターネット研修)が充実しています。

通勤時間や隙間時間を活用して単位を取得し、休日はしっかりと休む。このようにメリハリをつけることがおすすめです。

【学習の工夫】

・eラーニングでベースの単位を稼ぐ
・興味のある分野の勉強会だけ現地参加する

無理なく学び続ける仕組みを作ることが、将来のキャリアにもつながります。

まとめ:自分らしい休日で、長く活躍できる薬剤師へ

【本記事のポイント】

・働き方を知る 勤務先ごとの休日パターンを理解し、自分に合う環境を選ぶ。

・戦略的に休む 早めの相談と周囲への配慮で、有給休暇をスムーズに取得する。

・柔軟に変化する ライフステージに合わせて、働き方を見直す勇気を持つ。

「休みが取れない」と悩むなら、それは環境が合っていないだけかもしれません。まずは次のお休みの計画を立ててみましょう。この記事が、充実した薬剤師ライフの一助となれば幸いです。

薬剤師の仕事探しなら「ファーマキャリア」

「完全週休2日制」と求人票にあっても、実際には勉強会で休日が潰れたり、有給休暇が言い出しにくい雰囲気だったりすることは珍しくありません。本当に身体を休められる職場を見つけるには、表面的な数字だけでなく「休みの質」や「職場の風土」を知ることが重要です。しかし、面接で「有給は取れますか?」と単刀直入に聞くのは勇気がいりますよね。

リジョブと提携している薬剤師専門の転職サービス「ファーマキャリア」では、求人票には書かれていない有給消化率の実態や、産休・育休の取得実績など、働きやすさに関わる詳細な内部情報を提供しています。

そんなファーマキャリアの一番の特徴は「オーダーメイド求人」。その主なポイントは下記の通りです。

  • 薬剤師専門のコンサルタントが、希望条件を丁寧にヒアリング
  • 登録者が希望するエリア内で一番良い条件を提示できる可能性のある薬局・病院・ドラッグストアなどの求人をピックアップ
  • 希望条件に合うよう交渉を重ねてから登録者に提案

より希望内容に近い求人を提案することで、満足のいく転職ができるようサポートします。


Check it

この記事の監修者

原瑞希
薬剤師専任キャリアアドバイザー
薬剤師免許保有

【経歴・実績】
・ドラッグストアチェーンにて薬剤師として3年間従事
・2024年度 新人賞(銀賞)受賞

【プロフィール】
元薬剤師として現場の空気感やストレスを肌感覚で理解しているため、悩みへの深い共感が可能です。
求人紹介だけでなく、入社後の教育体制まで徹底確認して提案。生活の変化を具体的にシミュレーションし、不安のない転職を支えます。

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事