ズバリ聞きました。転職・移籍を決めたターニングポイントは？
離職率の高さが顕著になり、美容師を目指す学生たちや、アシスタントとしてがんばる若者たちから不安・不満の声が上がっている美容業界。どこが問題で、どこを改善するべきなのか、サロンで働いた経験があり、店舗移籍や独立を決めたという“転職経験者”に、「ぶっちゃけ話」をお聞きしました。今、まさにお店を移ろうかと悩んでいるみなさんも、お店に人がいつかなくて困っている、というオーナーのみなさんも……必見です!!
店舗に魅力があること、社会保障、有給……「辞めずにがんばろう！」と思える動機になるのは――？
＜PROFILE＞
Tatsuさん 29歳／福島県出身 美容業界歴13年。高校生のときから地元のヘアサロンでアルバイトを重ね、専門学校を卒業した後、都内の有名ヘアサロンに就職。ヘアメイク業に本腰を入れるため、フリーの美容師として独立。2017年春から、個人サロンを開設予定。
長谷川さん 22歳／神奈川県出身 美容業界歴3年。町田美容専門学校を卒業後、地元のヘアサロンに就職。アシスタントとして活躍するものの、店そのものに魅力が感じられず退転を決める。2016年末より新しいサロンに転職。夢は独立開業。
「転職」は、人生の岐路。それでも転職を決めたキッカケは？
Tatsu「僕は、ごく簡単な理由です。いろいろな経験をもちたかった。それだけですね。もっと上手くなりたい、できない技術を減らしたい、ひとりですべてできる美容師になりたい、そう思ったんです。そこで、サロンワークをメインとする美容師ではなく、撮影やショー等に対応できるようフリーランスの美容師になろうと決めました」
長谷川「そうなんですね。僕はまったく違って……働いていた店がブラックすぎたので……辞めました。店の雰囲気は悪いし、人間関係はギスギスしてるし、待遇が悪いのに休みもロクに取れなくて……。オーナーが古い考えの持ち主だったんだと思うんですが、昔風のやり方ではついていけませんよ。『有給ください』って言ったら、『インフルエンザと冠婚葬祭のときしかあげられない』とか言うんですから。有給って、働く人間のための権利じゃなかったんだ……って本当にびっくりしました」
Tatsu「そんなひどいところ、まだあるんだね。昭和の頃は当たり前だったのかな」
長谷川「シフト制で、ひどいときは1週間まったく休みナシだったりしたんです。おかげでアシスタントがどんどん辞めていっちゃうんですよ。みんな『バックレ』で。僕はそういう辞め方はしたくなくて、きちんと辞められる機会を3年待ち続けました。1年目ですでにお店に嫌気がさして辞表を出したんですが、そのときは毎日のように引き止められて……。このままじゃダメになると思い、今回は日付もきちんと伝え、『自分のやりたいことを他に見つけたので、辞めます』と強く伝えました」
Tatsu「若い子が辞めていく理由で多いのは、手荒れ、人間関係、恋愛関係、それと体力的な辛さだよね。美容師は基本的に体力仕事で、さらにアーティスティックな面も要求される。休み無く働かされるのは辛いよね」
長谷川「そうなんですよ。求人情報に『週休２日』って書いてあるのに、実際は週1日もらえるかどうか、だったので……面接時に、このあたりはきちんと聞かなきゃダメですね。それでも、店に魅力があったり、オーナーが尊敬できればよかったんですが……」
Tatsu「あ～～～～～。店に魅力がないのは、いちばん辛いかもね～」
そうした面も含め、転職先を探すにあたり、重視したことはありますか？
長谷川「一番に調べたのが待遇と、お店の規模ですね。元の職場はチェーン展開している店で、『辞めたい』と言ったときに、『この店がイヤなら、別の店に移動すればいいじゃないか』と、意味不明な理論で辞めさせてもらえなかったので、新しく探したのは個人経営の店でした。それからやはり社会保障。年金が、老後の資金が、となにかと取沙汰される世の中なので、厚生年金かどうかはかなり大きいと思います」
Tatsu「僕も、フリーになる前にお店を変わったことがあるのですが、シフトの融通が利くかどうか、自分の希望する条件が通るかどうか、そのあたりを重視しましたね。当時はまだ若かったので、社会保障についてはまったく考えなかったのですが……今考えると、厚生年金は欲しかったなぁ（笑）」
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