OKINAWAサロンリポート♯2 『Coucou上地武さんの“人育て”』

多くの美容従事者が、高校卒業後に理美容専門学校を経て理美容師を志すのが一般的な今。その道筋は1つのレールとしてまっすぐな軌跡を描いています。皆さんはなぜ、美容業という道を志したのか、覚えていますか? 国家資格だから? 一職人として技術を積みたいと思ったから? それともビューティ、クリエイティブといった華やかな世界に憧れを抱いたからでしょうか?

そして今、あなたのその仕事は「天職」と言えますか?
ここに一人の美容師を紹介します。名前は上地(うえち)武さん。沖縄生まれの昭和44(1970)年生ですから、いわゆるカリスマ美容師たちよりちょっと下の世代。でも彼はそんな本土の美容ブームとは無縁ともいうべき、独特の美容人生を送ってきた一人です。まさしくたたき上げ。美容が彼の人生を花開かせたと言っても過言ではありません。

見習いから美容を始め、今や2店舗のオーナーとなった上地さんの美容人生に迫ります。

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ダメな自分が、美容と出会った

「15歳でこの道に入ったのですが、それまでほとんど学校へも行かず、酒やタバコ、暴力の日々で、無免許でバイクを乗り回していました。自分の未来なんて少しも考えていなかったときに、近所のおじさんが声をかけてくれたのです。美容室のオーナーでした。最初はタオルを洗ったり掃除などの雑用から始め、17歳になると見習いとして別のお店で働き始めました。美容免許を取得しようと、美容専門学校に通い始めたのですが、教科書の漢字に苦戦。毎日1~2時間かけてふりがなを打つことから始めました。校長先生など、まわりの方の助けも借りて猛勉強した結果、何とか一発で美容免許を取得できました。

サロンでは、見習いとして毎日シャンプーをこなす日々でしたが、どうしたら自分の容姿に自信のない人をキレイにしてあげられるか、そればかり考えていました。私自身がカーギ(容姿という沖縄方言)に自信がなかったことも大きいですが、美容師になって少しずつ自分の学力の低さや容姿の悪さを克服してきたという自負もありました。

自分がやれば絶対、かわいくなる!! と思っていましたね(笑)オーナーは東京で修業してきた方で、私以外のスタッフは皆、高校や専門学校を卒業した人ばかり。こちらはすでに仕事を3~4年先にやっているので、自信はある。ならばやってみなさい、と少しずつ任せてもらい、20歳の頃には月200人を担当するまでになっていました」

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Dejavu、Coucouの2店舗を展開する上地武さん。ウーマクー(やんちゃ)でヤナワラバー(ダメな子ども)だった小・中学生時代から一転、美容に出会い、人として美容師として大成。心の持ちようを綴った著書『ちゃ~わらい~ですか?※』(沖縄教販・刊)は二刷に。その人生経験から学校などでの講演活動も行う。※方言でいつも笑いが絶えないこと

お客様のアドバイザーに徹する

―その後、独立されてからずっと地元・首里(しゅり)でサロンをされているんですね。

「28歳で自分のサロンを持ちましたが、最初はデジャヴ(Dejavu)というサロンで、当時沖縄で初のレッドケン(REDKEN)のカラリストとして月に350人くらい、カラーリングで売り上げを出しました。沖縄の人の髪は赤味が強いので、にごりを取ってきれいな髪色にするには技術と経験がいるんです。当時からお客さんにガンガン、髪の毛の色はもちろん、洋服までトータルにアドバイスをしていました。私が切ると彼氏ができた、と言われるくらいに(笑)日本では顧客の背景を聞くのはタブーとされていますが、欧州ではその人のステイタス(地位や身分)を知るのは当たり前なんですよね。かつてミラノへ行ったとき現地のヘアサロンオーナーと話したのですが、そうした背景を聞いてこそ、プロの仕事ができると。私は1000人の顧客すべての情報をほぼ把握しているのですが、洋服のことや何かしらこだわっていそうなことを自分からどんどん聞き出しています。デザインをする人が把握しておかなければならないことですから。地元のテレビ番組でBefore・Afterの変身企画もかなり担当しましたが、一時的なつき合いではなく、その人のヘアスタイルを思うからこそ、いろいろと聞く。“冒険”で髪は触れませんから」

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若い人に必要な、楽しいという気持ち

―若手を育てるのに、マニュアルは不要という方針らしいですね。

「小学生の娘が見様見真似でアレンジをする姿を見て、楽しいという気持ちは大人になると継続が難しいなぁと。学生時代に賞を獲った人ほど、ここでは誰も教えてくれないと(笑)サロンを辞めると聞きますが、教わるのではなく、自力で伸びることが大事です。うちではまず、できないことをそのままにしない。先輩に自分から聞いたり、習うことは当り前で、先輩も教えを請われたら断らないのがルールです。下の子が先生を選べるわけです。毎週木曜日の全体ミーティングはいわばプレゼンの場で、個々にテーマを決めて自分からやりたい、と思うことを申告します。アシスタントのAyaneは今、身内に限り営業中のカットを許していますが、自分がやりたいと言ったことは命がけでやれと。当然ビビる。だから必死でやりますよね。もちろん技術はまだまだなので、ヒントは与えます。できるとうれしいし、楽しくなる。本人のヤル気が引き出せれば、マニュアルは必要ありません」

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2017年で入社3年目になる、Ayaneさん。専門学校では服飾を学んだものの、洋服とヘアのマッチングの楽しさに開眼し、美容師に転向。徹底現場主義の上地オーナーのもと、カット&カラーを学び、カットでは小学生からの指名100人を誇る、次代のホープでもある。

スタッフクレジット
取材・文/山岸敦子
撮影/MAKOTY

Shop Data

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hair Coucou(ヘア クークー)

hair Dejavu hair Coucou
http://dejavu.ti-da.net/
オーナーの上地武さんが、沖縄県那覇市首里に’97年にオープンした
hair Dejavu(デジャヴ)の姉妹店として、2004年首里久場川(くばがわ)町に開店。
修行時代からのお客様が数多く通う、完全地域密着型サロン。ヘッドスパもいち早く導入。バリアフリー化を見越してエレベーターを設置するなど、先進的な一面も。
Coucouとはフランス語で子どもへの呼びかけの言葉を表す。

OKINAWAサロンリポート#1 『伝説のサロン☆ミム・デ・オム』>>

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