沖縄美容界リポート2017年 新たなる発進「ハサミのちからOKINAWA」#2

美容師が持つ“ハサミの力”を信じて興った一連の活動『ハサミのチカラ』。もともとは京都のヘアサロンBond.Stの代表、西田斉(ひとし)さんが行っていたイベントが発端ですが、横のつながりで他の美容師へと広がり、今ではさまざまな活動が展開されています。

その一つ『ハサミのちからOKINAWA』は、2015年に沖縄県那覇市で第一回目のヘアショーを開催。2016年には国立劇場おきなわで行うまでに発展した、完全・沖縄オリジナルのイベントです。

「すべては沖縄の美容業界のために」を合言葉に、メンバーは今、2017年の開催に向けて発進。未来へと希望をつなぐための大いなる志をリポートしました。

オキナワの美容師の、アツイ美容魂

沖縄の美容をもっと盛り上げたい! そんなアツイ思いから興った『ハサミのちからOKINAWA』。2015年、2016年と2年連続して、その規模も一ホールから沖縄の国立劇場へと広げて行った一大イベントは大成功を収めたものの、まだまだ伸び代があるはず、と参加サロンで2017年のリーダー、Hair WARATI★C代表の大城和人さん。過去2回のイベントを振り返ってもらいました。

「2015年に8サロンで始めた『ハサミのちからOKINAWA』も、2016年は倍近くの15サロンになり、会場も国立劇場と、いきなりステップアップして、かなり皆しんどかったんです。関わる人数も100人を超えていましたし、チケットの販売はもちろん、協賛メーカーを募ったり、舞台の演出も全部、役割を分担して自分たちでする。サロンの営業をしながらやりましたから、本当に大変でした。

前回は400人収容だった会場も今回は600人。しかも“国立”と名がつくから、みんなドキドキでしたが、もうやるしかないと(笑)チケット代は4500円。これって沖縄ではかなり高いほうで、たぶん美容師がやるイベントでこの価格って本土でもあまりないと思うんですよね。でも、だからこそ価値を持たせたいと。2015年のときの評判も手伝ってか、チケットは完売でした。みんなの努力の賜物だったと思います」

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『ハサミのちからOKINAWA2017』のリーダーを務める、Hair WARATI★C代表の大城和人さん。生粋の沖縄育ちで地元の美容学校を卒業後、2店舗を経て2015年に独立。誠実な人柄で多くの顧客を虜にする注目の美容師の一人。http://www.waratic.com/

本土から今をときめく4人のトップスタイリストを招聘するも、企画・演出・進行は沖縄の美容師だけで行った『ハサミのちからOKINAWA 2016』。まさかこの地で、こんなに濃密なステージが観られるとは…。県外から来た美容関係者が感嘆するほど、ハイレベルな内容で評判を呼んだ。

『ハサミのちから』が県内の就職率を底上げ

「個人的には2015年は独立してまだ間もなく、スタッフも僕を入れて3人だったので、店の基盤を整えることも大事だし、イベントとの両立も本当に大変でした。2016年も状況はほぼ同じで、参加サロンが増えた分、ミーティングもほぼ毎週で、本番が近づくとショーの練習もしなくてはならない。スタッフには相当の負担をかけたと思います。僕自身、サロン営業とイベントの、思考の切り替えがままならないときもあって、結構苦労しました。

もちろん他のサロンも同じように大変だったと思います。でも2015年に初めて開催したとき、観に来てくれた美容学生が涙を流していたのを見たんです。それまで県内で就職する率が10数パーセントだったのが、このイベントの後、50パーセントまで伸びたと聞いて、心底やってよかったと思いました。ショーだけでなく、チャリティイベントとして子どものヘアカット教室も行っているのですが、そうした意義のある活動を途中で辞めたくないし、沖縄の美容の未来をスタッフにも見せてあげたいと、2017年も参加を決めました。

今年は前年より凝縮されて9サロン30名となりましたが、逆に意思疎通が早くなりました。いろんな事情で2017は参加できないけれど、またいつか参加したいというサロンもありますし、イベントが近づいてやっぱりやりたい!というサロンもウエルカムです。みんな沖縄が大好きで、そのために同じ方向を向いている。まとめるのは大変ですが、それだけにやりがいを感じています」

美容だけじゃない、クリエイターとの競演

「2017年は11月14日に、沖縄タイムスという地元の新聞社のホールを1~3階まで借りて行うことにしました。『創造の連鎖~Creative Connection』をテーマに、新たな視点でのイベントの開催を考えています。 デジタル化や情報化、システム化が叫ばれ、ものすごいスピードで変わっていく今、手作業による物づくり、技術職といった職業がどこか敬遠されがちですが、 これからのサロンの未来の可能性の一つとして 美容という枠にとらわれず、 沖縄で活躍するクリエイターの方々とのコラボレーションを考えています。沖縄って書家や映像作家、デザイナーなど、著名なクリエイターが案外多くて、ローカルtoワールドと言うか、東京を通り越して世界へ発信をしている人がたくさんいるんですよ。

美容師や美容学生だけでなくて、一般のお客さんやデザイン系の学生さんなど、たくさんの人が観て、楽しめて、クリエイター同士のつながりの中から新しい価値を生み出し、沖縄の文化の継承や発展に寄与できればと考えています」

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「創造の連鎖~Creative Connection」をテーマに、美容だけにとどまらない、新たな可能性に向けて発進した『ハサミのちからOKINAWA 2017』。11月14日(火)沖縄タイムスの社屋内エントランス・ギャラリー・ホールをジャックして開催予定。http://es-boss.sakura.ne.jp/okinawano-chikara/

取材・文/山岸敦子
撮影/MAKOTY、編集部

沖縄美容界リポート☆サロンの底ヂカラ「ハサミのちからOKINAWA」#1>>

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