やっぱりある!?エステティシャンの「ノルマ」事情

一昔前だと、エステティックサロンといえば一部のお金持ちの女性が美容のために利用するイメージがありました。それが最近では、格安で利用できるレーザー脱毛のサロンが増え、学生でも学校帰りに寄れるような、気軽な店へと変化しています。

サロンの種類が増えたことで店同士の競争が激化し、客が集まらないサロンは閉店へと追いやられています。そのため、多くのサロンでは働くエステティシャンにノルマを課し、化粧品やアフターケアの購入を顧客に促したり、契約の延長を迫ったりといったトラブルもあるようです。

しかし、そもそもすべてのサロンにおいてエステティシャンに厳しいノルマがあるのでしょうか。今日は、エステ業界におけるノルマの実態について迫ってみました。

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どんなものがある?エステティシャンのノルマ

格安で利用できるエステサロンが増えた結果、多くの客を取り込まないと存続できない店が増えてきました。そのため、エステティシャンひとりに対し、今月は化粧品を2万円売ること、顧客の継続期間を延ばすことといったノルマを課しているエステサロンは多くあります。

具体的にどのようなノルマがあるのか見ていきましょう。まずは、エステの施術後に使うアフターケア用品や化粧品といった「物品販売」のノルマと、お客様に対し、目的の施術が終わった後も継続して通ってもらう「お客様の契約ノルマ」があります。

入社したばかりのエステティシャンは技術も経験も少ないため、お客様の契約ノルマを課せられることはまずありません。入社してある程度仕事を覚えると、簡単なマッサージ施術や脱毛処理を任せられるようになり、馴染みのお客様も増えていきます。そうなると、「物品販売」のノルマを課せられることが多いようです。これは、例えば脱毛をしたお客様には家でできる肌の保湿ケア用品、マッサージ後のアフターケア商品として洗顔クリームなどの化粧品を買ってもらうノルマです。会社にもよりますが、月に2万円から5万円ほどのノルマを課せられることが多いようです。ただ、エステ施術後のアフターケア商品として売れば、多くのお客様が応じてくれるので、さほど大変なノルマではないこともあります。しかし、エステ施術とあまり関係のない化粧品や美容飲料といった物品はなかなか売れず、売れ残った商品は自分が買い取ることもあるようです。買い取らないといけないという規定はないのですが、なぜこれだけ売れ残ったのかと責められたり、お給料に影響があったりすることもあるので、それならば自分で購入しようと考えてしまう人が多いのです。

そして、ある程度の経験を積み、多くの顧客を相手に仕事ができるようになると、物品販売だけでなく「お客様の契約ノルマ」が課せられます。こちらは施術内容によっては大きな利益額が出るため、物品販売よりも期待が高く、月に100万円以上のノルマを課せられることもあります。これは自分が担当している顧客の人数が多く、その人たちがそれぞれ1か月契約を伸ばしてくれるだけで達成できることもあります。しかし、途中で契約を打ち切られたり、継続を拒否する人が増えたりした場合はノルマを達成できません。こちらは自分が払える金額でもなく買い取ることもできませんから、ノルマが達成できない場合はまた翌月から努力するしかありません。

ノルマを達成しないと、給料にも影響は出るのか

こう見ると、非常に厳しいノルマがあるように見えるエステ業界ですが、ノルマをしっかりと達成しないと、もらえるお給料は変わってくるのでしょうか。

まず、エステサロンによってはお給料に「歩合制」を設けているところもあります。これは、課せられたノルマに対し、きちんとクリアできていたり、それ以上の売り上げを達成できたりしたときは、「インセンティブ」として基本給にプラスしてお給料をもらえることがあります。お店によって金額は違うのですが、およそ3%〜10%程度のインセンティブがあるようです。しかし、逆にノルマを達成できなかったときは基本給しかもらえないので、その月のお給料は少ないと感じることになります。つまり、ノルマを達成できないからといって基本給が下げられることはないのですが、達成するとお給料が上がった感覚になるのです。

こうした歩合制のシステムは、良くいえばエステティシャンのやる気を引き出し、お店のためにも自分のためにももっと売り上げを伸ばす気持ちを引き出すことができます。しかし、悪くいうとノルマを達成しないとお給料は少なく感じるので、給料が下がるのならノルマの分を買取った方が良いと感じたり、お客様に対しても無理な勧誘をしてしまったりすることになります。

また、ノルマが達成できないことにより基本給が下がることは少ないのですが、ある程度の幹部やベテランエステティシャンになるとノルマの金額も高いので、全く達成できない場合は給料が引き下げられることもあります。多くのエステ業界が「ノルマが達成できないことに対しての罰則規定はない」といっていますが、実際に働いてみると顧客の人数や契約を増やすよう、圧力がかかるケースがほとんどです。

ノルマを無くすよう動き出しているサロンもある

では、エステティックサロンのすべてにおいて、厳しいノルマがあるのでしょうか。

数年前には、大手サロンにおいてノルマを達成できないと商品を自腹購入させられたり、契約数を伸ばすよう上司から圧力をかけられたりして、従業員がうつ病になり訴訟問題にまで発展したこともありました。

こうした、いわゆるブラック企業といわれてしまうエステサロンもいまだにあり、業界においても徐々にノルマを廃止する動きも出始めています。

例えば、物品販売におけるノルマは、そのエステサロンの会社が開発した独自の化粧品を販売することが多く、客が購入することで会社に利益がそのまま入る仕組みになっています。しかし、それを見直して化粧品を他社製品に委託するサロンもあります。これは売り上げが出てもエステサロンにはあえて大きなメリットが出ないようにし、結果的に従業員へのノルマを課さずに済むことにつながっています。

また、パートや契約社員として働いているエステティシャンと、正社員として働いているエステティシャンでは、責任の重さに差があり、大きなノルマを課せられるのはどうしても正社員の方が重くなってしまいます。そのため、あるエステサロンでは従業員をすべて正社員にし、お客様からの指名制度もなくすようにしました。指名制度は、お客様にしてみれば自分に合ったエステティシャンを選べるといったメリットがあるのですが、人気のないエステティシャンは売り上げを伸ばすことができず、歩合制の場合は大きな差が出てしまいます。そのため、指名制度を無くしスタッフが均等にお客様の対応をすることにより、売り上げに対する差をなくしてノルマを撤廃しているのです。

このように、エステサロンのなかでもノルマが課せられない職場もあります。ノルマがあると働くスタッフ同士のなかでも顧客の奪い合いが起こり、人間関係がギシギシすることもあります。特にエステティシャンは、基本女性だけの職場が多いので、ノルマが原因での職場トラブルが大変多いのです。その点、ノルマを無くした職場というのは、スタッフそれぞれが均等に仕事をこなし、売り上げに関しても店のスタッフ全員がひとつの目標に向かって頑張ることができるので、人間関係におけるトラブルを減らすこともできます。そもそも、エステティシャンの仕事はノルマにとらわれ過ぎて無理な勧誘をお客様にしてしまうのは良くありません。仕事の目的は、お客様に美しさを提供し、元気になってもらうことです。

ただ、物品販売や顧客の契約ノルマがないということは、それだけ売り上げも減少するリスクもあります。そのため、ノルマがあるサロンよりも多くのお客様を呼び入れることが必要であり、ひとりでも多くのお客様に対応する必要があります。ノルマのないエステサロンで勤められたとしても、決して仕事が楽になるとは限らないことを覚えておきましょう。

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