2017年度の美容室業界はどうなる?船井総研が予測する10の変化

いよいよ2017年度。美容室業界は、市場が成長する時期は終わり、「展開期」から「安定期」へ向かっていると見られています。大きな変革期を迎えたいま、今年度はこれからの経営を占う1年間になるかもしれません。では、2017年度の美容室業界にはどのような変化が予測されるのでしょうか?日本有数のコンサルティング企業である船井総合研究所で美容室のコンサルタントを務める富成将矢(とみなりまさや)さんに伺ってみました。

2017年度を生き残るキーワード10

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船井総合研究所美容室経営コンサルタントの富成将矢です。現在の美容室業界は店舗数、売上高ともに減少し続けています。淘汰の時代がはじまっていると言ってよいでしょう。2017年度にはどのような変化が起きるのか、10のキーワードで予測してみました。

①「集客」と「採用」を制するサロンが生き残る

現在の美容室経営における成長のカギは「集客」と「採用」と断言してもよいでしょう。2016年に成長してきたサロンにはつぎのような特徴がありました。

  • 集客

売上に対する広告宣伝費は3~5%以内
新規客比率は12~15%をキープ

  • 採用

目標人数を採用できている
採用の仕組みが明確である

②WEB戦略が標準装備になる

インターネット予約、ブログ更新、SNSは美容業界で当たり前になりましたが、どのサロンのWEBページも同じような内容になり、違いが見えにくくなってきています。WEBをはじめる時代から、「どう運営していくのか」が必要な時代になるでしょう。少なくとも、つぎの観点はもってください。

  • WEB戦略を事業戦略と捉えているかどうか
  • 各WEB媒体の特徴に合わせた更新ルール・内容・体制を決めているかどうか

③求人は実績を見られるようになる

  • 初任給18万円以上
  • 寮完備
  • 完全週休2日制
  • スタイリストデビュー2年以内
  • 社会保険完備

こんなワードが美容業界でも増えてきましたが、2017年度は「手法」ではなく「実績」が見られるようになるでしょう。「実際に2年でスタイリストになれるカリキュラムと日々のスケジュールを教えてください」というような、実績・実態を見る学生さんが一層増えてきます。

④M&Aが加速する

2016年、「会社を売りに出そうと思うのだけど」という相談が増えました。主な理由は、「後継者不足」。現状、美容室を経営している会社の実に7割以上には後継者がいません。10年前と比べ、売上が上がりにくい、人が採りにくいという背景もあります。また「サロン内のトータルビューティ化」ではなく「専門店の出店」が進んでおり、新サービスを商圏・ノウハウ込みでスタートできるという点からもM&Aは増えていくでしょう。

⑤ブランドサロンとメンテナンス型サロンの使い分けが広がる

先日伺った某1000円カット店でのお話。
富成「どんなお客様が多いのですか?」
お店「普通の美容室に通っているけど、1000円カットにも整えに来る人が増えています」
最近では、低価格でもおしゃれなサロンが激増しています。消費者のレベルが上がり、お客様がサロンを選ぶ時代に突入してきました。

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「あらゆる業界の変化スピードがアップしています」と富成将矢さん

⑥商圏に合った出店、または出店に合った商圏を

美容室の売上アップに出店は欠かせません。一般の美容室であれば、商圏人口7万人以上で経営が成り立つという考えですが、メンズサロンやカラー専門店などはさらに人口が多い立地でないと成り立ちません。わかりやすくいうと、東京でなら出店できますが、岐阜県(私の出身地)では対象人口が少ないのです。コンセプトの明確化は必須ですが、エリアに応じた戦略であるかどうかをまず見直すべきです。

⑦ブランドサロンは「One to One」がテーマになる

ブランドサロンが成長するテーマのひとつが「One to One」。一対一に寄り添ったビジネスです。このモデルで大きく伸ばしたのがライザップ。最近では英会話などにも広がってきています。髪によるお客様の幸せを実現するためには、データベースを軸にした「One to Oneビジネスの仕組み化」がより必要になるでしょう。

⑧休眠美容師が復帰する

休眠美容師は60万人以上と言われています。現在の美容師従事者が約45万人ですので、休眠美容師の方が多い計算となります。休眠美容師が復帰する要因は大きく2つあります。

  • 求人ポータルサイトの活性化:今より多くのサロンを同じ指標で比較できるようになる
  • 働き方の多様化:日曜休みや週1勤務など働きやすい環境が整うため

特にママのパート勤務が増えていくでしょう。

⑨分単価=100円のビジネスモデル設計

働き方改革の推進により、時間生産性の意識がより一層高まるでしょう。美容産業では、ひとつの基準が分単価=100円です。各メニューの時間設定や新しい美容室としての価値提供など
量より質を高めるための動きが増えそうです。

⑩スタッフ定着率が企業成長のKPIになる

KPIとはKey Performance Indicatorの略で、「重要業績評価指標」のこと。経営状態を判断する数字の中でも特に重要なカギとなるものです。2017年度では、スタッフ定着率がサロンのKPIになると見ています。労働時間や給与等の待遇改善に加え、独立支援制度や復職制度など「キャリアプランの仕組み」を作ることが必要となってくるでしょう。

profile

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富成将矢さん Masaya Tominari

1991年生まれ。立命館大学卒業後、船井総合研究所入社。美容室の業績アップを得意としており、売上2000万円の美容室から、県内No.1美容室まで、規模に応じた経営戦略を組み立てながら、業績アップに必要なものを的確に提案するスタイルが経営者から高く評価されている。業界内有名美容室もクライアントに多数抱える実力のあるコンサルタント。日本各地にクライアントを持ち、今日も全国を駆け巡っている。
「富が成る」美容室経営ブログ:http://www.funaisoken.me/m-tominari/
美容室経営のことをもう少し聞きたいという方は、m-tominari@funaisoken.co.jpまで

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