鈴木 太一 interview ＃3：インターナショナルサロンのコミュニケーションルール

2020年の東京五輪を3年後に控え、空前の海外観光客ブームに沸く日本。2000年（平成12年）には420万人程度だった海外からの観光客が、16年後の2016年（平成28年）には、2000万人を超えています。こうした中、必然的に迫られてくるのが店舗の国際化です。簡単な英会話はもちろん、どのようなおもてなしを行えばいいのか、20年以上に渡り、外国人客を接客し続けてきた『HAYATO』六本木店の、インターナショナルなおもてなし術について、お聞きしてきました！

スタッフ採用は、なによりも“やる気”。英語能力は実地の中で育まれていく

NY、LONDON、そしてTOKYOと、世界の三大都市に美容室を展開する『HAYATO』。世界に通用する美容師を育てるために、どのような教育を行っているのでしょうか。『HAYATO』のCOO（最高執行責任者）兼アートディレクターの鈴木太一さんにお話を伺いました。

――スタッフ採用の際、どのような点を留意しますか？
「スタイリストやレセプショニストの場合、英会話能力は必須条件ですね。アシスタントの場合は、こちらで教えるのでとくに必要とはしません。ここだけの話、わりと「入りたい」って言われたらけっこう入れちゃうんですよ、よっぽど変わってない限り、ですが」

――スタイリストの英会話を必要とするのは、どういった面からですか？
「これはNY店の話になるのですが、アメリカでは何かと訴訟に発展することが多く、美容師はリスクが大きいもの。なので『出来る』『出来ない』という話をあらかじめきちんと行い、最終的なリスクをすべて説明し、誓約書にサインをしてもらったりもする。そうして施術をスタートさせないと、自分たちを守れないんです。とくにアメリカ系はね、ぐいぐいくるんで。東京の店でも一応、誓約書用意はしています。どうしても、という局面があったら使うようにしています。
こうした問題のすべては、コミュニケーションが不足して起こるものだと思うんです。なので、語学力が堪能であるにこしたことはありませんので」

――スタッフの英語教育は、どのようにして行っていますか？
「スタッフ全員が学べる環境作りを行っています。短期ではありますが、海外研修を行ったり……あとは、スピードラーニング。これね、続けるとけっこう効果があるんですよ。語学は一日にしてならず、なので、きちんと学ぶ姿勢を持っている子は伸びていきます。仕事の中でも、アシスタント業務の中で必要なことはすべて教えます。ご案内の仕方、レセプション、電話対応のしかたなど、一通りですね。これを毎日繰り返すうちに、自然と簡単な英会話程度は出来るようになるんですよ。あとは、お客様のリアクションが聞き取れるようになればいいんですが、こればかりは慣れるしかないので、本人次第ではありますが」

――接客の際、英会話で苦労される点はありますか？
「英語って……世界の公用語的な存在になってますけど、すごいナマリが強いんですよ。アイリッシュだったり、テキサスだったり……日本の方言と同様に、話し方も発音もすべてが違っている。これがね……けっこう厄介だったりします。でも、これもすべては慣れ。話をして、アクセントを聞いて、慣れていくしかありません」

――『HAYATO』ならではの理念や技術を教える、講演やセミナーを行っているそうですが、そうしたコミュニケーションの大切さなども教えていらっしゃるのですか？

「技術的なものから、海外で美容師になるためのノウハウなど、様々な内容のセミナーを開き、若い人からオーナーさんまで、幅広い世代の方に、『HAYATO』が築き上げてきたノウハウをお教えしています。少し前に人気が出た「オンブレ」や、今注目を浴びている「バレイヤージュ」の作り方を教えたりもしました。もっと視野を広げたい、そう思っている美容師さんの応援につながればうれしいですね。様々なセミナーを行っていますので、気になった方はぜひ、お問い合わせください」

――ありがとうございました！

鈴木 太一 interview ＃1：世界の三大都市で美容室を展開！『HAYATO』おもてなし術>>

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