『ハッピークリエーション』をキーワードに笑顔をつなぐ『tahie』
レトロな趣が残るエリアとして熱い注目を浴びている大阪・松屋町で、アンティークな煉瓦造りのビルに店を構えるtahie(タヒエ)。今年の5月で6年目を迎えるこちらの魅力は、スタッフ数5人という少数精鋭のスタイルとオーナーが考案した「ローンバスカット」という独自の技術。お客様に安心感と笑顔を届けるという使命のもと、ハードとソフトの両面で理想的な店づくりを行なっているのがtahieのこだわり。そこで今回は、オーナースタイリストの安田和貴さんにお話を伺いました。
抜群のチームワークで“キレイ”をクリエイト
――お店が2階と3階の2フロア構成で広いのですが、この規模でスタッフさんが5人というのは珍しいのではないでしょうか?
「そうですね、現在の店の規模ならベストな人数は12名だと思っているので、これから積極的にスタッフを増やそうとしているところです。ただ、現在はこの人数だからこそのメリットも感じていますね。例えばチームワークの良さであったり、お互いが良きライバルとして意識しあっているので技術の向上にも役立っている。また、僕自身がスタッフ全員の意見をしっかりと聞けるという点も、少人数体制の良さではないでしょうか。今の美容業界は低価格を前面に押し出すお店が増えてきて、中間の価格帯がなく2極化しつつあると感じています。そんな中で当店は料金の手頃さをうたっているわけではないので、やはり実際にご来店いただいたお客様には対価以上の価値を感じてもらいたい。そのためには接客からヘアデザイン、仕上げに至るまで、高品質のものを提供する必要があります。それにはスタッフの質を上げるのが不可欠ですから、僕の目が隅々まで届くという現在の形を保ちながら、いかに人数を増やすかを模索しています。」
たゆまぬ努力で常に技術を研ぎ澄ます
――実際にサービスの質をハイレベルに保つために実行されていることは?
「当店ではアシスタントだけでなく、スタイリストにも週に2回のレッスン時間を設けています。スタイリストとしてデビューしたら基本の練習は不要ということはないと思っているので、自分のテクニックをさらに磨いたり、トレンドの手法を取り入れる技なども日頃からの練習で伸ばしていってほしいですね。実はスタイリストレッスンは参加自由なのですが、参加しないスタッフは今の所いません。これは先ほども申し上げたように、お互いが切磋琢磨し合うという少人数の環境がそうさせているのかもしれませんね。何事もそうですが、練習を重ねた分だけ、しっかりと自分の地力となって身につきます。そうして培った技術を最大限に発揮してお客様の希望のヘアデザインを実現し、最終的には笑顔で帰っていただきたいと思っています。また、社員旅行で1泊5万円の温泉旅行に行ったりもするのですが、これも一流のサービスをスタッフ自身に体験してほしいから。正直、5万円なら格安の海外旅行という選択肢もあるのですが、店の代表としては上質のものに触れる機会を持ってほしいと思って場所を選んでいます。高品質なサービスを提供するように、と口だけで伝えても、まずはそのサービスがどういったものなのかを知ってもらう必要がありますからね。」
安田さんが考案したローンバスカットとは?
――お店のコンセプトがハッピークリエーションサロンなのですが、具体的にはどのような施術を実施されているのでしょう?
「ハッピークリエーションというコンセプトには人から人へと幸せを紡ぐ、という意味を込めているのですが、まずはカウンセリングでしっかりとご希望を聞き、よりお客様の魅力を引き出すようなスタイルを提案することで、tahieに来るとキレイになれる、自分に自信が持てる、と感じてもらうサロンづくりを心掛けています。当店では僕が考案したローンバスカットというテクニックを基本のカット技術の後に全員が習得するのですが、これは顔を小さく見せるためのカット理論から生まれた技術。女性で顔を大きく見せたいという人はまずいませんから、お客様ひとりひとりの骨格や個性に合わせて最もバランスよく見えるヘアデザインを行います。また、自宅で髪を乾かした後にどれだけその人に馴染んでいるかを重視し、サロンの仕上がりが自宅で再現できるようにしています。」
経験から生まれたカット技術やサービスの質を上げるための社員旅行先選びなど、お客様の目に見える部分から見えない部分までの全てにこだわりを覗かせるtahie。後編では、より早くスタイリストとしてデビューできるようにと考案した新人教育カリキュラムなどについて詳しく伺います。