鈴木 太一 interview #2:世界の全人種に対応するカラー剤の種類は他店の2倍!

2020年の東京五輪を3年後に控え、空前の海外観光客ブームに沸く日本。2000年(平成12年)には420万人程度だった海外からの観光客が、16年後の2016年(平成28年)には、2000万人を超えています。こうした中、必然的に迫られてくるのが店舗の国際化です。簡単な英会話はもちろん、どのようなおもてなしを行えばいいのか、20年以上に渡り、外国人客を接客し続けてきた『HAYATO』六本木店の、インターナショナルなおもてなし術について、お聞きしてきました!

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人種により“髪”は千差万別。すべての人に合う商材・サービス・そして教育を整える。これがHAYATO流の“おもてなし”

欧米系の白人から、アジア系まで、様々なお客様が訪れるという『HAYATO』。オーナーの田野上勇人さんは、1989年に渡米し、日系サロンで働きはじめ、1992年に27歳の若さでNYにサロンをOPEN。その後、直営店を東京に開くという、異色の経歴の持ち主です。そんな田野上オーナーの意志を組んだ『HAYATO』COO(最高執行責任者)の鈴木太一さんに、お話をお伺いします。

――日本のお客様と、海外からのお客様。大きく変わるところはどこですか?
「やはり、髪質の違いでしょうか。日本人にももちろん様々な髪質があるのですが、欧米系か、アジア系か、肌が違えば髪も違うし、同じ国の人でも人種の系統が違えばまるで違ってきます。ですから『HAYATO』では、日本にありがちなヘアサロンのように『こう切ったら、こうなる』という画一的な教育はいっさい行っていません。切り方だけを教え、それをお客様ひとりひとりに対して自分で組み立てていくよう教えているんです。頭の形ひとつとっても、まるで違いますからね。同じように切っても同じスタイルには絶対にならないので、経験と慣れが必要になってくるんです。

スタイリストになるときも、テストは一切行いません。以前は外国人モデルの髪を実際にカットさせたりしていたこともあったようですが、現在ではポイント制をとっています。ずばり、もっとも多くのモデルをカットし、支持を得た者が、スタイリストになれるんです。実力主義、というんですかね。でも……例えばテストで技術が出来たところで、それが接客につながるとは限らないでしょう?僕たちは、技術もあり、接客も出来る、トータルなプロでなければならないので」

――教えるときは、どんなことを留意しますか?
「日本人目線になりすぎていないか、偏り過ぎていないか、そうした点について考え、教えるようにしています。接客する際も同じですね。世界で通用する美容師を育てることを目標にしていますので、常に、グローバルな視点を持つように努力しています」

鈴木太一さん

――お店作りにも、そうした点は発揮されていますか?
「そうですね。六本木店に限って言えば、カラー剤など他店の2倍以上の品ぞろえがあるんですよ。これは、全人種に対応するため。金髪なのか、黒髪なのか、赤いのか、細いのか、太いのか……そうした様々な髪に対応するには、様々な商材が必要になりますから」

――商材の選び方はどのようにしていますか?
「海外の人はまず日本の美容品ブランドを知らないので、海外で知名度の高いアイテムを選び、輸入するようにしています。とくにカラー剤は、日本製のものだと黒髪に合わせて作られている場合が多く、発色の仕方がどうしても変わってきてしまうんですよ。なので、同じ物を外国人客に使うのは難しいんです。使用している商品名は詳しくお伝えできませんが、ゴールドウェルなど、日本ではマイナーだけど海外では人気のある、そんな商品を使っています」

カラー剤

――日本人客と外国人客との違いは他にもありますか?
「日本では、美容師はしょせん髪を切るだけ……という風に見られることもあるのですが、海外ではプロフェッショナルとしてみてくれます。ですからこちら側にも、プロとしての提案を求めてきます。実力が無ければ二度と来ないし、実力があれば値段を上げたとしても来てくれる。

少し話がズレるかもしれませんが――日本のスタイリストさんはお客様第一主義的で、美容師である前にサービス業になってしまっていると思うんです。たとえばカットの料金なども、青山あたりだったら7000円くらい、地方に行ったら4000円くらいと画一化されている。でもそれは絶対に、間違ってると思うんです。アメリカはプロ意識がきちんとしていてカットに1000ドルの値段を付ける人もいれば、10ドルの人もいる。みんなそれなりにこだわりを持って「私は理由があって、この値段でやっている」と、伝えることができている。日本人もこれからそのように価値を高める工夫をしていかないと、価格競争に巻き込まれ、淘汰されるだけの存在になってしまうと思うんです」

ヘアカット

「ヘアカットは、技術であって、サービスじゃない。こういう、世界的に当たり前の考え方を広めることも、グローバル化を図る上で大切なことだと思っています」

Salon Data

HAYATO TOKYO ROPPONGI

東京都港区六本木3-7-1 The Roppongi Tokyo Plaza206
03-5574-8844
http://hayato-ny.com/

鈴木 太一 interview #3:インターナショナルサロンのコミュニケーションルール>>

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