トレンドを創る人 Vol.1 U-REALM 高木裕介さんの夢と新たな挑戦 #2

‘90年代後半から花形職業として注目を浴びた、美容師という仕事。そこから約20年が経った今、美容師としてどう生きていくか? 考えない日はないのではないでしょうか。

東京・表参道といういわば檜(ひのき)舞台で、毎日のように美容師のことを、さらにはその未来を考えている一人が、U-REALM(ユーレルム)代表の高木裕介さんです。ご存知、今話題の『東京ブレンド』の発起人の一人で、美容師という職業に対する誇りとさらなる可能性を求める情熱とがみなぎっています。高木さんの夢と新たな挑戦について聞きました。

トップサロンが集い、勉強をするという意義

――前回のインタビュー(#1)で、トップサロンで集う意味についてお聞きしました。
「そうですね。みんなそれぞれ単独でも十分、やっていけるサロンなんですが、自分のサロンがよければそれでいいと、考えるメンバーではないんですよね。講習会をするんだったら、メーカーさんの講師として行かせてもらったほうがはるかに稼げますからね。同年代で、同じ時期を雑誌の撮影でしのぎを削り合った仲だからこそ、お金では得られない経験や技術を共有したいんだと思います。

始めた頃は僕と三笠さん(Tierra)と池戸さん(MINX)、Belleさん(堀之内さん・飯田さん)、榊原さん(Garland)で主に講師を務めていたんですが、メンバーサロンで勉強会を重ねた結果、今では僕らの下の世代が講師として地方に行けるまでになりました。やっと最近、こうした効果が表れてきて、メンバーサロンの勉強会も100人とか来るわけです(笑)営業が終わった月イチの日曜日の夜に。前回から参加者から1000円ずつ徴収しているんですが、内容はカットやカラーの技術のこともあれば、サロンマネジメントについても学びます。参加者全員、幹部だけじゃなくて、希望すれば入社1年目から参加できますから」

ブレンドフェス2017
4月10日に東京品川プリンスホテル ステラボールで行われたブレンドフェス2017のステージの様子。若手の活躍の場を積極的につくろうと、SMAJ(Salon Model Award Japan)『スマジェイ』のバトルトーナメントとコラボレーション。観客を大いに沸かせるとともに、若手スタイリストのヤル気を鼓舞(こぶ)する場にも。

若いうちから経営に“参加”するのがBLEND流

――1年生からマネジメントを学ぶなんて、あまり聞いたことがないですよね。
「そうですね。でもそれが僕らの集う目的の一つでもあるんですよ。横のつながりで、そうしたマネジメントのことも全員で学ぶことで、僕らオーナーや幹部だけでなく、下の子たちまでも“サロンの経営ってこんなことまでやらなくちゃいけないんだ”とわかる。透明性というか、中身を全部見せてあげることも大切なんじゃないかと思うんです。何より自分が、サロンを運営する当事者としての意識が高まると思うんですよね。

一緒に勉強することで各メンバーサロン間の給料体制も白日の下にさらされましたし、ウチのサロンではオーナーである僕の給料を知っているスタッフもいます(笑)だからこそ僕たちオーナーも気を引き締めて経営をしていかなくては、という場でもあるんです。今、国をあげて働き方とか労働環境を見直す動きがありますが、美容師の労働環境や給料体制は決してよいとは言えない状況です。今後はよりスタッフが働きやすい環境を整えていくことも、サロン経営者の当然の仕事ですから」

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美容師という職業(しごと)でもっと幸せになるために

「サロンを開いて12年目ですが、最近ずっと表参道に託児施設を開けないかと考えているんですよ。スタッフの中で半分近くが女性スタッフなんですね。近い将来、結婚、出産、子育てがやってくるわけで、男性スタイリストも今は昔ほど稼げない時代なので、当然奥さんにも働いてもらわなければ成り立たない。だったら職場のある表参道に託児所があれば、パパ美容師として送り迎えとか、子育てにも積極的に参加できるだろうと。

東京ブレンドメンバーの複合体で何とかできないか? どうせやるなら保育園までやったほうがいい、幼稚園から帰ってくる15時とかのゴールデンタイムも働けるように、スクール的な認定にする? と、いろいろ考えはめぐるんですが、調べれば調べるほど、中小企業にはハードルが高すぎるんですよ。サロンを1つつくるくらいの投資が必要ですからね(苦笑)

実は僕自身、ヘア&メイクを2011年に引退したんですが、今回のフェスでやった永谷さんとのフォトセッションステージとか、本当は一般向けにやりたいんですよね。今までに2000人規模のイベントはできた。でもアイドルとかは動員数がハンパないわけです。ミュージシャンは観客の聴力に。美容師は視力に訴えかけられる。土日にやれるイベントで、一般の人が見ても面白いステージ。ランウェイとかは最近、見慣れているけど、雑誌風のフォトセッションはないでしょうからね。本物志向の職人気質の美容師は賛同できないかもしれないけど、世の中の女性たちが見たいと感じる、リアルな何かを見せるなら、このメンバーならアリなんじゃないかと思っています」

ブレンドフェス2017
ブレンドフェス2017のステージ上。高木さんはカメラマンの永谷知也さんとともに、フォトセッションライブを展開。観客の注目を一手に集めていた。

取材・文/山岸敦子
撮影/内田龍、編集部

Salon Data

U-REALM(ユーレルム)
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U-REALM(ユーレルム)

代表の高木裕介さんが2005年に表参道に開いたサロン。
愛され系・モテ髪のヘアスタイルを確立、そのスタイリング技術を連綿と今に受け継ぐトップサロンの一つ。
「世界中でU-REALMにしかできない最高のヘアスタイルの提供」を使命として掲げ、高木さんを筆頭に実力派美容師が日夜、センスUpと技術の向上に向けて研鑽を積んでいる。
http://u-realm.com

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