サロン時代の経験を活かし、ヘアメイクとして邁進!誰もがメイクを楽しめるように尽力したい【ヘアメイクアップアーティスト Georgeさん #2】
美容師としてサロンに勤務しながら自身の人生を見つめ直し、ヘアメイクの道に進んだGeorgeさん。美容師との二刀流を経験したあと、ヘアメイク一本に絞ることを決意します。遠回りかと思われたのは杞憂に過ぎず、美容師を経験した時間がその後のヘアメイク人生を盛り立ててくれる貴重な時間となったようです。
前編では、美容師として働きながらヘアメイクを目指した経緯や師匠との出会い、サロンとの連携について伺いました。後編では、ヘアメイク仕事に美容師時代の経験がどのように活かされたのか、媒体別のメイク方法やヘアメイクをする上で大事にしていることなどをお聞きします。
お話を伺ったのは
ヘアメイクアップアーティスト Georgeさん
住田美容専門学校卒業後、アルバイト時代から勤めていた都内のサロンに就職し、24歳でスタイリストデビュー。27歳になり、自身のステップアップのため美容師を続けながら二刀流としてヘアメイクに挑戦し、アシスタント歴2年を経て独立。その約7年後にヘアメイク一本に。「肌作り」に定評のある人気ヘアメイクとして、現在も多数メディアにて注目されている。
Instagram:@george828
HP
美容師としての経験がヘアメイクの仕事をもらえるきっかけになった
――美容師として働いた経験がヘアメイクの仕事に活きたと感じることはありましたか?
ヘアメイクデビューしてからすぐにいただいたのは、ヘアアレンジの仕事。カットもアレンジセットもできることに好評いただいたようでした。それからメイクの仕事につながるようになりましたね。
美容師を経験していたおかげでとっかかりができ、仕事ができていると実感しているので、経験がなかったら今頃…と思うと怖いです(笑)。
――美容師の経験がきっかけにもなり、強みにもなったようですね。
そう感じます。ヘアメイクを目指す人って、ヘアメイクになるための最短ルートを渡って向かう人が多いですが、私のように最初に美容師を経験している人間はあまり周りにいなかったことも大きいと感じます。
――Georgeさんが広く認知されたきっかけはなんですか?
一番影響を与えてくれたのは、当時から美容媒体から引っ張りだこなモデルの平子理沙さん。師匠がもともと平子さんを担当させていただいていたんです。師匠のアシスタントとして同行したり、デビューしてからは師匠の二番手としてご一緒したことが重なって。そのうち交流も深まり、平子さんや平子さんが出演していた各媒体からお声がけいただくようになりました。
――では、続けて依頼されるためにはどんなことが必要だと思いますか?
媒体ごとの企画の背景や意図を読み取ってキャッチすることが必要だと感じますね。
非日常に染まらず、一般層に親近感を抱かせるメイクを追求し続ける
――対応するためにどんな工夫をしていますか?
テレビと雑誌とでは撮影しているカメラのレンズの違いなどもあるので、適宜対応したメイクを施しています。例えば、テレビだと出演しているタレントや俳優さんの顔を活かすことを第一に優先します。自分の色を加えず、素材を引き立たせるメイクをするんです。雑誌では人よりも企画に寄せるイメージにプラス、自分の得意な要素などを盛り込んだメイクをしていますね。
そして最終的には、現場スタッフの方たちと連携をすること。一緒に作っている現場にいる全員と話し合って決めます。ひとりよがりではいいものが生み出せないと思っていますし、みんなで作り上げていく団結感こそが作品の出来を左右すると思っているので、現場の意見を最も大事にしていますね。
――現場のみなさんで作り上げるというのは、嬉しさも倍に感じられそうです。
はい!そうして実際に作品が出来上がったときの嬉しさもひとしおですし、何より出演者やモデルの方がメイクを満足してくれたときも嬉しくて…。ヘアメイクをしていて本当によかったと感じる瞬間でもあります。
私はヘアメイクの仕事って「人を喜ばせられる」ところがとても魅力的だと感じています。メイクを施した本人がとても喜んでいるのが伝わってくるとやっぱり嬉しいですね。私のメイクによって、舞台やカメラの前で「自信を持って立てるように」と思いながら望んでいます。
――出演者一人ひとりのことをよく考えられているんですね。では、一般の方々に発信する際にはどのようなことに配慮していますか?
SNSをはじめ、雑誌の美容企画や書籍などでヘアメイクを紹介するときは、一般の方に受け入れられるメイクを意識しています。
というのも、業界の方たちは普段から着飾ることが多く、日常で過ごすには濃いめのメイクを施しています。それを雑誌やSNSなどで発信しても一般の方の参考にならないし、引かれてしまう。どうしても業界でのメイクと一般の方向けへのメイクって差が出てきてしまうんですよね。
そこで受け入れられるメイクをするために、一般の方に寄り添う姿勢を保つことを心がけています。
業界に限らず、一般層に受け入れられるメイクを意識することで楽しさを広めていきたい
――では、メイクを紹介する際のテクニックで気をつけていることをお聞かせください。
濃いメイクから引き算をするように意識しています。いかに親近感を持ってもらえるか、挑戦しやすいかと思わせることがポイントだと思っていて、一般層の考え方や感性からかけ離れ過ぎないぎりぎりのラインを目指しています。
メイクってこんなに楽しいんだよって、コンプレックスをただ隠すだけではなく、自分の一部として楽しむことができるんだよって思ってもらえたらいいなと思っていて。メイクに挑戦するハードルも下がるし、自分に自信がつきますよね?
最近では、手っ取り早く手術などという方法もありますが、「お金をかけずにいくらでもきれいになれる方法がコスメにはある」ということをもっと広められたらいいなと思いますね。日々の努力で少しずつでも変われる方法があるということをこれからも伝えていきたいです。
――業界にいながらも、そうした一般の感覚を忘れずにいられる秘訣は?
私がこうした視点を持っていられるのは、非日常な世界観の中でヘアメイクの仕事をしながらもサロンで美容師を掛け持ちしていたことによるものだと思っています。
業界の人はあまり一般の人と過ごす機会がないけれど、私の場合はどちらの立場の方たちとも関わる機会があり、比較というか俯瞰して見れる視点を持てたことが大きいきっかけだと感じますね。これからも仕事を続けていくうえで大事にしたい心がけです。
美容師からヘアメイクに転身して成功できた秘訣
1.一本に絞らず、いろんな角度から仕事に必要な技術を見極める
2.自分が持っている武器を明確にし、仕事につなげる
3.自身の理想とするモットーに則り、意識した行動を心がける
取材・文/東菜々(レ・キャトル)
撮影/SHOHEI