サロン人気の理由は、積み重ねた経験!『麻布十番・One WORLD』
ボサノバが流れ、英語でのやり取りが聞こえる店内。港区麻布十番にあるインターナショナルヘアサロンOne WORLD(ワンワールド)の客層は7割が外国人です。
オープンしてまだ3年ですが、日本的なホスピタリティと多種多様な髪質に対応できる技術が外国人コミュニティで評判となり、今では30か国以上に及ぶお客様が連日訪れています。
オーナースタイリストの川崎大輔さんにはドイツで2年、広尾のインターナショナルサロンで14年勤務した経験があります。
One WORLDをオープンするまではどのような経験をされてきたのか、じっくりと伺ってみました。
ゼロからのスタート
「出身は下町です」と川崎さん。麻布十番は、いくつもの大使館やインターナショナルスクールがある一方、下町の風情があるともいわれています。高い建物が少なく、江戸時代以来の老舗が並ぶ様子は似ているかもしれません。
「昔の私ですか?ヤンチャでした(笑)」
黒ぶち眼鏡をかけ、ていねいに話す現在の川崎さんからは想像しにくいのですが、昔はやりたいこともなくどうしたものかと思っていたところ、お母様から理容室への勤務をすすめられました。
「自分ではまったく興味を感じませんでしたが、言われてみれば子供の頃から髪をいじるのが好きで、友人や母の髪もセットしたりブリーチしていたんですよね。それですすめられるまま、吉祥寺の床屋さんへ入ったんです。住み込みでした」。
「昔気質の厳しいお店で、朝は5時に起きて先輩たちの朝食作り、社長に正座で挨拶してから一日が始まります。言葉の使い方、物の置き方から徹底的に仕込まれ、質問なんて許されません。いわゆる徒弟制度ですね」。
自由な生活から一転、川崎さんいわく「お寺で修行をしているような毎日」へと変わりました。それでも4年近く続けます。しかし理容業自体は下火になっていると感じていました。
海外での挫折から本気に
「男性も美容室へ行くことが増えてきていましたし、美容師を目指そうと。エステもネイルも行う当時ではまだ珍しかった、トータルビューティのお店に入りました。1年後、アメリカへ連れて行ってもらったことが海外に興味をもつきっかけでした」。
「外国で働いてみようと思い始めたときに、知人から『ドイツの美容室で働いてみないか』という話をされました。ドイツ語はまったく話せませんでしたが、まだ若かったんですね。思い切って行くことにしました」。
ところがドイツでは、言葉、習慣、髪質、何もかも違う国で20歳過ぎの川崎さんは、お客様と上司から日々色々な経験をしました。「それでも何とかしがみついていこう」としていたそうです。
「それまでの私は自分のことを『割と何でも器用にこなすタイプ』だと思っていました。でもドイツではそれが通用しなかった。2年がんばったのですが、本気で一からやり直そうと帰国して、広尾のインターナショナルサロンへ入りました」。
インターナショナルサロンでは「ドイツでできなかったことを、できるようになりたい」とシャンプーのテストから受け直します。理容室での修行、海外での挫折というふたつの経験がひとつになり半年後にスタイリスト、やがて店長を任されるようになりました。
これからはスタッフのことを
2014年にチーフスタイリスト佐藤佳さんとOne WORLDをオープン。日本にしかないホスピタリティと日本では希少な技術力が、わずか3年で外国人客から定評を得られた要因ですが、その背景には、理容室、美容室、ドイツ、インターナショナルサロンで積んできたキャリアがありました。
麻布十番でオーナースタイリストとなった現在でも、川崎さんはご自身を「床屋だと思っている」そうです。「当時はわかりませんでしたが、最初に勤めた理容室で教えられたことが私の原点になっています」。
One WORLDには、この4月から2名のスタッフが加わりました。ふたりとも学校を卒業したばかりの新社会人。川崎さんは今後の課題を「今までは自分のことだけをやっていればよかった。これからは人(スタッフ)のことも考えていかなければ」としています。
これまでの稀有な経験を聞いた身としては、川崎さんのマネジメントにも興味がわきます。いったいどのような運営をしているのか、いわばお店の「裏側情報」になるのかもしれませんが、可能な範囲で伺ってみることにしました。
Salon Data
インターナショナルヘアサロンOne WORLD(ワンワールド)
〒106-0045 東京都港区麻布十番2-8-3 DKNS麻布4F
営業時間
平日:10:00-20:00
土・日・祝日:09:00-19:00
休日:毎週月曜日・第3日曜日
TEL:03-6459-4354
http://www.one-world.info/