人間力を磨いて時代を生き抜ける人材を育成する 山野美容芸術短期大学
東京都八王子市にあり日本で初の美容を専門とする短大である、山野美容芸術短期大学。美容業界を長年けん引してきた山野ブランドの精神を受け継ぎつつ、新たな時代に合わせ革新を行っています。多くの卒業生を輩出し信頼を勝ち得てきた学校の秘密に迫ります。
最後に、学校の理念、これから目指すべきところなどを中心に、国際美容コミュニケーション専攻の教授である大野淑子さんにお話を伺いました。
人間力をアップする授業の導入
――いま、重点的に取り組んでいることはどんなことでしょうか？
「こちらの学校は短大ということで専門性を突き詰めるというよりは、人間力を上げるという取り組みですね。学生が就職してもなかなか仕事が続かないということがあったり、世のなかを渡っていける力をつけていない、というところに対して、人間教育という部分に力を入れていこうと。元々、マナーやホスピタリティに関しては強化してきたんですけど、そこにプラスして考える力、アイデアを出す力をつけていってほしいと考えています。論理的に考えるということだけではなくて、疑問をもって逆説的に考えたりというような思考力の部分、そういう授業を展開していこうと取り組んでいます。ひとつの授業のなかでそれをやるというよりは、学校全体にそういった要素を入れていくということです」
――具体的にはどのようなことをされているんでしょうか？
「考える力を楽しみながら養うレゴ®シリアスプレイ®メソッドを入試や授業に取り入れていこうとしています。レゴ®をテーマに沿って組み立てて、作ったものに対して意味づけをしていくんです。なぜこういうものを作ったかという部分を、質問を受けながら自分を表現したり、臨機応変に答えていき、思考力や表現力を鍛えていくワークですね。あとは普段の授業も、ただ習うというよりアイデアを出していくような仕組みにしていきたいと考えています」
グローバルに活躍する人材を育成する
――国際美容コミュニケーション専攻というのは珍しいと思ったのですが、グローバル化に力を入れてらっしゃるんでしょうか？
「そうです。人間力の育成に並んでもうひとつ展開していこうとしているのは、グローバル化なんですね。美容を学ぶ学校なんですけれど、海外で活躍していく人材を育てるというところに本気モードで取り組んでいこうとしています。どこの学校も英語とか語学はやっていると思うんですけど、そこに特化した学生を輩出していきたいと思っていまして。国際美容コミュニケーション専攻は、英語と美容を学んでいくんですが、1/3は英語の授業なんですね。そして、教育者としてネイティブの教員が10名くらいいます。完璧とまではいかなくても日常的に英語を話す環境を整えたいと。他の専攻、たとえば美容デザイン専攻でも来年からグローバルスタイリストプログラムを、エステ専攻ではグローバルビューティシャンプログラムをスタートします。海外で働くにはモチベーションはどうしたらいいかとか、海外で働きたいという生徒たちも集めたいんです」
――グローバル化していくというところに力を入れているのは、どういう理由からなんでしょうか？
「本学は海外研修や海外インターンシップを実施していますが、ハリウッドのメイク研修などはキャンセル待ちになるほど、海外を目指す学生が増えてきているんです。そういう学生たちの受け皿になろうというところですね。授業はもちろん、課外活動で外国の方をお呼びして海外の劇団の方のメイクアップ術を学んだり、海外研修に力を入れています。アメリカの美容室でインターンシップを行ったり、メイク研修を行ったりしているんですけど、いまキャンセル待ちが出るほど大人気なんです。グアムのブライダル研修や、高級スパでのエステ研修などもあります。行くと何かを必ず吸収して帰ってくる、自分が何をしたいのかっていうことを考えるよい機会になるんです」
――他に特徴的な取り組みはありますでしょうか？
「経産省が日本人のおもてなし力を上げていこうと始めた『おもてなし規格認証』という取り組みがあり、その正規認証機関である一般社団法人おもてなしマイスター協会と本学が提携して、経産省の基準に必要なレベルの接客待遇や英語、異文化理解を来年から授業に取り入れていきます。授業の最後に試験を受けてグローバルおもてなしマイスター資格を取得することになり、その資格が就職や社会に出た時に必ず役に立つと考えています。他にも茶道裏千家の『今日庵東京道場』を譲り受けて復元した茶室、愛治庵がありまして、そちらでお茶のお稽古もしています。グローバル化を意識したときに、着付けや茶道などの日本文化を知るということも大切な要素だと思っています。海外で活躍する人材をどんどん育てていきたいですね」
長い伝統を誇る山野美容芸術短期大学。学ぶ意識の高い学生たちに常に新しい環境を与えようと尽力されている先生方の姿が印象的でした。更なる進化から目が離せません！
