トレンドを創る人 Vol.4 GARDEN 河野悌己さん N.Y.が与えた気づき #2

名実ともに日本のトップサロンと言えるGARDENがアメリカ・ニューヨークへ進出して約2年半。一時帰国していたゼネラルプロデューサー河野悌己(こうの・よしき)さんに直撃インタビュー。N.Y.出店で見えてきたものは? 日本のサロンと美容師に今、必要なものは何か。これからの日本で美容師として生きていくヒントを探りました。

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個があってこそのチームだということ

――河野さんがN.Y.へ行って、一番変わったことは何でしょう?
「僕自身が以前よりもっと“個”を認めるようになったことですね。人間もっとひとり一人、違っていていいんだと思うようになりました。日本ってつくづく制約が多い国だなぁと。生まれ持った個性なのに、髪のクセとか色とか、小学校に前もって届け出ないといけないと聞いて、それはないだろうと。でもそもそもN.Y.で働く前には、こんなことに気づくきっかけすらなかったですからね。
アメリカはとにかく個が強い国です。主張が激しいというか、はっきりとモノを言います。こんなにバラバラで、国としてどうやってまとまっているんだろうと不思議に思うくらい(笑)でもだからといって、サロンの運営までガラリと変える気はありません。朝礼もしますし、掃除も自分たちでします。うち、このエリアで評判なんですよ、清掃業者も入れずに自分たちで掃除してるって(笑)
アメリカは労働の境界線がはっきりしていますから、専門職である美容師は普通、掃除なんてしません。たとえ清掃業者を入れても日本並のクオリティなんて期待できないですからね。だから掃除も日本流で、自分たちでやりたいんですよね。それもおもてなしの一つではないかと。一見、N.Y.では働き方も自由だと思われがちですが、個々で勤務時間を決めたりとかはないです。サロンの中に一体感があるというか、チームワークこそが、うちのよさでもあるので」

河野さんが現地の日本人アーティストと一緒に行った『Face2NY』
河野さんが現地の日本人アーティストと一緒に行った『Face2NY』
GARDEN
河野さんが現地の日本人アーティストと一緒に行った『Face2NY』(Face to New York)。「あなたのNYは? 」というTシャツを着せ、カット&カラー、ヘアスタイリング&メイクをして写真を撮るという、一種のコンセプチュアルアート(前衛芸術)だ。

N.Y.がきっかけで、変えられること

――N.Y.にサロンができてから、東京のサロンでも、何か変わったことはあるんでしょうか。
「じつはN.Y.のこのあたりのサロンでは、シャンプーから全部スタイリストがするというのが主流で、スタイリストとお客様との距離感が近いんですよね。代表の須崎も何回か見に来てN.Y.での働き方を参考に、東京でもアシスタントの関わりとか予約の取り方とか、見直していこうと話しています。
大切なのはお客様に必要なことは何か、ですから。N.Y.の店舗はお客様の定着率もいいし、ご紹介もズバ抜けて多いですし、まだまだ伸び代がある。今後はスタッフを増やすことも考えています。
今、ちょうど向こうの日本人のヘアスタイリストやカメラマンと作品をつくっているんですよ。現地の人たちのポートレートを100体撮影して、展覧会をする予定です。服で装飾的な表現がない分、ダイレクトにメッセージが伝わるし、いろんな人種でやっていることも、僕自身、とても刺激になりますね。何よりも次の世代にとって、こうした活動が少しでも何か新しい事にトライするきっかけになってもらえたらいいなと思っています」

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内から外から日本を識(し)る、ということ

――現時点で河野さんがN.Y.で得たものって何でしたか?
「視野が広がった、ということですかね。じつはN.Y.へ渡った当初、現地の日本人美容師の先輩方に言われたんです。何でお前ひとりで来ないのかと。今までは個人で渡り、苦労して店を開いたり、現地のサロンで働くというのが当たり前で、アメリカ社会で孤軍奮闘してきた歴史があるわけです。うちはブランド(店)として出店したので、ある意味、恵まれていると思いますが、でもそれこそ僕がやりたかったことだと、説明しました。
何よりも、向こうで長年活躍している日本人がいることを、日本の美容師が知らなさすぎますよね。それを踏まえて日本から今後もN.Y.へ出店するサロンが増えるのはいいことだと思うし、競合が増えれば切磋琢磨して全体のクオリティが上がり、日本のやり方ってやっぱいいよね!と、認めてくれるアメリカ人がもっと増えると思うんですよね。
日本人の高い技術やサービスのきめ細やかさが外国人に受け入れられている今、今後は東京にいる時間を多くしながら、より選ばれるサロンやスタイリストになるには、どうしたらいいのか、アウトプットとインプットをたくさんしていきたいと思っています」

河野悌己さん
河野さんにインタビューするのは、N.Y.に出店する4年前以来のこと。彼のこの経験が、未来の美容師のためだったと思えるときが、いつか必ずやってくると実感したひとときだった。

取材・文/山岸敦子
撮影/中川良輔

Salon DATA

店内

GARDEN New York
(ガーデン ニューヨーク)

河野悌己さんを筆頭に中丸京子さん、
山岸貴史さんといったベテランメンバーで約2年半前、ダウンタウン・ウェスト・ヴィレッジに出店。
日本の卓越した美容技術と、おもてなし精神で現地の人々の心をつかむサロンとして定着。

https://garden-nyc.amebaownd.com/

トレンドを創る人Vol.4 GARDEN・河野悌己さんが感じたN.Y.の風 #1>>

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