マンツーマンでオーダーメイドのスタイリングを提供するサロン『POLIFISH』
恵比寿駅から徒歩5分の好立地にあり、まるでゆっくりとくつろげるカフェのような雰囲気のサロン『POLIFISH』。カット、カラー、シャンプーまですべてひとりのスタッフが行うことで、満足度の高いスタイリングを提供し人気を集めています。店名、内装、お店の雰囲気まで細部にこだわったお店作りについて、プロデューサーの魚﨑健蔵さんにお話を伺いました。
お客さまを、自分たちを「磨く」場所でありたい
――お店のコンセプトについて教えていただけますか?
「『POLIFISH』という店名は僕が作り、お店のコンセプトをすべて詰めました。『polish』の『磨く』という意味から、お客さまがそれぞれ持っている味を磨くことで輝く場所でありたいということと、そのために僕たちも腕を磨くという意味が込められています。そして、『F』にはファンシーに、気ままにという意味に加え、フレンドリー、ファミリー、フランクに、というような意味を含んでいます。美容室に行くとき女性はどうしてもおしゃれしていかなきゃと思われる方が多いと思うのですが、もっと気軽に来られるサロンでありたいという思いがあります。『I』はお客さま自身、スタッフ自身という意味、そして『愛』をもってお客さまを磨いていくという意味、あとは僕の魚﨑という名前なので『FISH』にもかけているんです」
――魚﨑さんがこのお店をオープンしたきっかけはなんですか?
「もともと僕は独立願望がすごく強かったんですよね。そのために大型店、中型店、小型店と、規模の違うお店で下積みをし、技術や経営について学んだんです。いろんな規模のお店を経験したなかで、僕には小さなお店が合うなと感じたんですよね。このお店はオープンして2年目なのですが、美容師になって13年目、32歳のときにオープンさせました」
――お店のこだわりはなんでしょうか?
「この店では美容師というより、物作りをする人として見てほしいんです。基本的に施術はマンツーマンで行い、お客さまがこうなりたいというイメージを伝えていないスタッフには頭を触らないというルールを設けています。シャンプー、カラーリング、トリートメントもすべてカットする人が担当したほうが、そのお客さまの髪の固さや、肌の状態もわかりますし。アシスタントを使ったら、数はこなせるようになるし売上げも上がると思うんですけど、あえてうちではそうせず、お客さまとの信頼関係を築けるように心がけています」
――お客さまも安心して任せることができますね。
「基本的に美容院で髪を切るということはオーダーメイドだと思っているんですよね。たとえば『この芸能人みたいにしてください』って言われてその通りに作っても、パーツが違えば違和感がどうしても出てくるので、お客さまの雰囲気や好みに合わせて調整が必要ですよね。そうするためには、マンツーマンのコミュニケーションが大切になってきます。お客さまもこの前はこんな感じだったけど、今日はもう少し軽くとか、伝えやすいと思うんですよね。仕上がったあとに不満があっても言いづらいという方がいるのですが、信頼関係があれば言いやすいと思いますし、こちらとしてもお客さまの提案によってスタイリングがよくなることがあるので、一緒に作り上げていく関係性でありたいなと考えています」
こだわりのオールドアメリカンスタイルで誰もが来やすいサロン
――お店の内装にもこだわりを感じますが、どんなところがポイントなんでしょうか?
「うちのお店はノートワックスさんという額屋さんに内装を担当していただいたんですよ。以前から知り合いで、いつか美容室を作りたいと思っていると話したら、じゃあ作らせてほしいと言ってくださって。鏡の周りとか額そのものなんですよね。
元々は車庫で何もないコンクリートの箱だったので、好きにできたんです。美容室って表参道とか、恵比寿もそうですけど、真っ白できれいな空間が多いじゃないですか。そうすると行くほうも気負いがあると思うんです。それと男性、女性、お年をめした方、お子さん、誰もが来やすいお店にしたくて。いまだに男性は美容室でアウェイ感を感じることがあると思うし、バーバーっぽければ女性が入りづらい。そこで完璧なテーマパークのようなヴィンテージ感を出すことで、みんなが居心地いい空間を目指しました。実はあんまり格好よくしすぎないように努力しているんです(笑)」
――-細部にちょっと力の抜けた感じが出ていますよね。
「飾っている絵も僕が描いたものが多いんです。ドアの上に描かれている『CHANGE IS GOOD』というペインティングも僕がデザインして、友人に描いてもらったもので。変わるというのはいいことだよ、というメッセージを込めました。年を取ることで人は常に変わっていくし、スタイルチェンジには勇気もいると思うのですが、その変化を楽しもうということです」
後半では『POLIFISH』で働くスタッフさんや、新しい美容師の形を模索しているという魚﨑さんの挑戦についてお話を伺います。