従業員が生き生きと働ける環境を作ることが使命!『SHOUT』
目黒川沿いに広がる細やかな路地には、この地域ならではのおしゃれなお店が並んでいます。美容室も新しいコンセプトをもった素敵なお店が、次々に、入れ替わり立ち代わりオープン。時代の流れをつくっています。
そんな激戦区の中目黒にありながら、30年も人気店であり続けている美容室『SHOUT』。代表取締役の石井和美さんに、愛される秘訣を伺いました。
すべての従業員とすべてのお客さまを幸せに
――激戦区の中目黒にお店を構えて30年ですが、『SHOUT』が愛され続ける秘訣はどこにあるのでしょう。
「私たちの会社には“美容室の経営だけにこだわらず、すべての従業員とすべてのお客さまが幸せになれる組織作りを目指しています”というビジョンがあります。ここに“従業員”と“お客さま”が出てくるのですが、まず大切にしなくてはいけないのは従業員だと思っています。そのため福利厚生を充実させて、休みもちゃんと確保できるようにして、食事の提供も行い、もちろんお給料もたくさん払うようにしています。生活レベルを上げることで従業員の幸せを約束しているのです」
――“お客さまの幸せ”より“従業員の幸せ”の優先順位が高いところがおもしろいですね。
「そうではありません。お客さまの幸せを思えばこそ、まずは従業員の幸せなのです。常に仕事に追われて休みもなく疲れ切った従業員では、きっと笑顔でお客さまに接することはできません。気持ちに余裕が持てないですよね。そんな従業員が接客しても、お客さまは楽しくないと思うのです。楽しそうに、幸せそうに接客をする従業員のサービスはお客さまに伝わります。そのような理由から、お客さまを幸せにするために、まずは従業員が幸せになれる環境を整えているのです」
美容のことしか知らない人になってもらいたくない
――そうなのですね。働きやすい環境を整えると、従業員の方の様子は変わりますか?
「そうですね。やっぱり生き生きと働いていますよね。仕事へのモチベーションが高いです。私たちマネジメント層は、従業員に働きやすい環境を整えることを約束しますが、それと同時に“だから仕事に一生懸命取り組みましょう”と伝えています。そこに納得感があれば向上心を持って仕事に取り組めると思っています」
――幸せに働くことで、接客の面でどのような成果を出せるのでしょうか。
「たとえば、時間に余裕ができる分、外に出ていくことができるようになります。美術館が好きな従業員は休みの日に展示を鑑賞しにいくこともあるでしょう。休みがしっかりあれば自分のために時間を使うことができて、それをお客さまとの話題にすることができます。
私は従業員に、美容のことだけしかわからない人になってほしくありません。それではあまりにも世界が小さい。人間的も小さくなってしまって、お客さまから見ても魅力的に映らないと思うのです」
女子会と男子会を開いて密なコミュニケーションを実践
――なるほど。従業員のみなさんの質を上げるために、ほかにやっていることはありますか?
「よくコミュニケーションをとっています。女の子だけが参加できる女子会と男の子だけが参加できる男子会を定期的に開いていて、同性だから言える職場での悩みや困りごとなどを話す機会を設けています。もちろん、みんなで賑やかに過ごす食事会も開いていて、女子会や男子会で出てきた話を共有することもありますね。
女の子はとくに、結婚や出産により仕事から離れなくてはならなくなることがあります。でも、決して、仕事を辞めたくて辞めているわけではないんですね。そんな女の子たちが、子育てにひと段落がついたので、いざ職場に復帰したいなと思ったときに、戻れる場所を作っておくこともとても大事だと考えています。だから、どんな働き方ができる職場なら復帰しやすいかといったことも、みんなで話したりしていますね。そんなふうにして、たくさん言葉を交わしながら居心地のいい環境をつくるようにしています」