成重松樹 interview #2:仕事をするならもっと自分を楽しませていい!

東急目黒線の不動前にある美容室koko Mänty (kissa)。koko Mänty (kissa)(ココ マンテュ キッサ)とはフィンランド語で、koko=サイズ、すべて。Mänty=松。kissa=猫という意味。オーナースタイリストの成重松樹さんがひとりで対応するマントゥーマン・システムです。
「自分にできることを、気持ちよく一生懸命にする」のが成重さんの働き方。それは美容師としてだけではありません。実は独自の世界観をもつ写真家として写真集が出版され、イベントへの参加・開催を行うなど、年々評価を高めています。
「美容業と撮影の区別はなく、どちらも僕がしていること」と、働くことに対しても独自の観点をおもちです。

すべては僕がしていること

成重さん

――成重さんは「働くこと」についてどうお考えですか?
koko Mänty (kissa)は僕ひとりなので、お客さんへの応対や売上に限りがあります。だから、目の前のお客さんに対して僕ができることを、可能な限り一生懸命に、そして気持ちよくやっていこうというのがコンセプトになっています。

写真も目の前にいる人、妻(詩人・翻訳家のきくちゆみこさん)を被写体として撮り続けています。僕ができる制作を一生懸命に、楽しみながらしているという点でも一緒ですね。なぜかというと、僕の中では施術をすることも写真を撮ることも同じだからです。

美容業と写真はリンクする部分もあれば違う部分もあるのですが、「今は美容師」、「今は写真家」と自分を切り替えることはありません。ただ松樹が仕事をしているだけなんです。もっと言うと、仕事とプライベートという分け方もあまりないかもしれません。

世の中に対しては、これは僕の個人的意見ですけど、3.11以降から「大量生産・大量消費」とか「高収益・高収入」などが絶対的価値観ではなくなってきたように感じています。物から、人や人の思いへ目が向きはじめたというか。

お店の周りや自宅の近くでも、小さなカフェやビストロを最近よく見かけるようになりました。繁華街ではなく、こういう住宅街におもしろそうなお店ができているのは、もしかしたら仕事、働くことへの考えが変わってきたのかなと思ったりします。

とらわれず、発端になりたい

成重さん

――成重さんにとっては、働くこと=ライフスタイル、あるいはライフスタイルの中に仕事も融合していらっしゃる?
自由に生きていこうという思いが強いんでしょうね。例えば、最近スカートを履いたりするんですよ(一同爆笑)。世界の民族衣装を見ると男性のスカートはたくさんあって、着物もそうだし。逆に女性のパンツ姿は、ココ・シャネルが始めたことでしょ?(一同納得)

――既成概念にとらわれないということでしょうか?
スカートはただシルエットとしてきれいだなと思ったからです(笑)。でも話を戻すと、お店へ来られるさまざまな職業のお客さんからお話を聞いていても、先程お話した価値観のシフトが仕事や働き方を変えてきているような気はしています。

だとしたら僕は美容業や写真をやっているので、既存の価値観にとらわれないことって大切なんです。できれば僕が発端になれるくらいやっていきたい。先駆けたいというわけではなくて、そういう「意識」こそが生きやすさを作ると思うんです。

また脱線しますが、もうすぐ妻が臨月になります。新しい家族を向かえることは変化ですし、働き方を変えようと考えています。育休は無理としても、お客さんに事情をお話して時短なら可能かもしれません。家族のためでもあるし、僕にできる働き方への提案でもあります。

かかわっているのはひとりの僕

カメラ

――やはり、成重さんにとって働き方は生き方なのでしょうか?
7年前、学校を卒業以来ずっと勤めていたお店へ残るか独立するか悩んだのは、仕事もプライベートも全部含めて僕なんじゃないかという感覚があったのかもしれません。あのとき、自分の中の答えは、言葉は強いですが「死ななければいい」でした。

アルバイトでも生きてはいける。その代わり僕のやりたいことを本当にしていこうと思ったんです。深く考えたわけではなかったかもしれません。単純にもっと自由にやれる状況が欲しかっただけなのかな。

でも自分のお店をもって、美容師としてたくさんのお客さんと出会い、写真へ本格的に取り組み、結婚し、子供が生まれる今でも、すべてに境目はないですね。かかわっているのはひとりの僕なんです。

自営業ですから不安はありますよ。極端に言えば明日の収入だって未定です。(お客さんが来なかったらどうしよう)とか(体を壊したらどうしよう)とか考えますし、歳をとっていけば仕事量が減ったり、センスだって時代についていけるかどうかわからないじゃないですか。

だけど美容業でも写真でも、人とのつながりさえあれば、何か自分の役割を果たせるじゃないかと楽観的に期待しています(笑)。それに、明日どうなるかわからないからこそ、油断できないというか、今日一日をフレッシュな気持ちで働こうって思います。

profile

成重松樹さん

成重松樹さん

1983年大分県生まれ。
2010年より目黒不動前で美容室koko Mänty (kissa)を営む。
2013年9月に写真集「髪が裸なのでとても怖い、と君が言う。」(TAKAIYAMA.inc)が出版され、以後は写真家としても独自のアート活動を妻のきくちゆみこさんと共に行ってきている。

salon data

koko Mänty (kissa) (完全予約制)

〒142-0061
東京都品川区小山台1-32-1リファインかむろ坂1F
TEL/FAX:03-6303-9589
http://kokomanty.com/
MAIL:mail@kokomanty.com

成重松樹 interview #3:美容師、写真家として僕が写真を撮る理由がある>>

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