堀之内大介さん

トレンドを創る人Vol.13 Belle・堀之内大介さんが振り絞った“2つの勇気” #1

美容学校を卒業してからずっと、表参道界隈で働き続ける堀之内大介さん。人気サロンBelle(ベル)を最初の修業時代からずっと共に歩んできた飯田尚士さんと立ち上げ、今年で7年。
順風満帆に見えるその歩みも、こうして独立をするまでは、行きつ戻りつ、実はなかなか険しい道のりだったことが今回の取材でわかりました。堀之内さんがそのときどきで振り絞った勇気とは? 静かなる男の、アツイ情熱を垣間“聴き”ました。

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やわらかいカットがしたい!と方向転換

――堀之内さんを前回、取材したのは2007年。“注目の若手”としての紹介でしたね。
「今からちょうど10年前ですから、29歳のときです。(前店舗で)スタイリストになって、オーナーや先輩について、雑誌の撮影などやらせていただいていたときでした」

――それ以前に意を決して、他店からそのお店に来たとお聞きしました。どのような経緯だったのですか?
「美容学校を卒業して最初に入ったお店は、業界でも有名な歴史あるサロンでした。僕が入った当時はまだライン系カットが流行っていて、それこそ学校のように、カットの基礎の基礎を学ばせてもらいました。

ガムシャラに練習して、1年半でスタイリストデビューをすることができましたが、ちょうど一般女性誌で美容師が活躍し始めた頃で。僕自身、切り方を替えたいというか、もっと時代に即したやわらかくてフェミニンなカットスタイルを学びたいと思ったんです」

4年間務めたサロンを退職し、同じ表参道で別の有名店の門をたたきます。それはまた一からアシスタントへ戻ることでもありました。

堀之内大介さん
筆者が10年ぶりにインタビューした堀之内さんは、すっかりオーナーの顔に。穏やかに一つひとつ、言葉を選びながら答えてくれました。

一からすべてやり直し、アシスタントへ

――同じ表参道で、よくアシスタントに戻る勇気がありましたね。
「実は(Belleの共同経営者の)飯田が先に辞めて、そのサロンに入っていたんです。ちょうど多店舗化で人が必要だった頃で、面接を受けたその週から働き始めました。すでに24歳でしたが、新卒の1年生と一緒に掃除や買い出しからのスタートでした。

精神的にも体力的にも辛かったですが、カリキュラムをやり直すことは、前店での直線的なカットからその店独自のやわらかいカットへシフトできるチャンスでした。見事に“真逆”でしたからね。両方を会得できることは、僕にとってかなりの自信につながりました。

カラーリングは実戦経験がほとんどなかったのですが、僕がついていた先輩は“アッシュで”と大まかに言うだけなんですよ。“誰かに聞いてやれるでしょ”と(笑)しょうがないから営業中だけど先輩に聞き回る。営業中に聞くのって勇気がいるけど、そのときその人についていた上の先輩も皆いい人で、快く教えてくれたんです。

カラーについてつねに質問していたので、覚えるのも早かったんだと思います。早くデビューして早くお客さんをやりたい! その一心で、苦しかったけど自分を追い込んで、何事も進んでやった結果、2年でデビューできました」

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心の師・大野喜郎氏の背中を追いかけて

――2年だなんて、新卒の“同期”よりも早かったのではないですか?
「そうですね。デビュー直前にオーナーや先輩についたことが大きかったと思います。当時はいわゆる赤文字系の雑誌(編集部注・Can Cam、JJなど)が全盛期で、撮影の仕事とサロンワークではその先輩をずっと追いかけていました(笑)」

彼が追い求めていた背中とは、ズバリ、ZACC大野喜郎さんのことです。

「頑張っていつか絶対に超えたいと思っていたんです。そのためにデビューしてからも大野さんの撮影にアシスタントとしてついて、メイクをやらせてもらったり、時には途中までヘアをつくらせてもらったり。

でも大野さんが触った瞬間、パンッと変わるんです。ぜんぜん空気感が違うというか、僕の小さい器で同じことをやって、できるわけがない(笑)あの当時の僕のレベルで真似をしても同じにはならない。ただ真似をしていただけで、わかってやっていなかったなぁと。

大野さんを追いかけすぎて、いつの間にか大野さんみたいな作品しかできなくなった自分がいました(笑)自分らしさって何なんだ?と悩んで。それも後に独立してBelleを立ち上げようと思った一つのきっかけでした」

カット法を変えるためにアシスタントに戻る勇気。そして、心の師匠を超えるために離れる勇気を振り絞った堀之内さん。次回は、Belleを立ち上げてからのことを中心にお届けします。

堀之内大介さん
やわらかいカットがしたくて、グルッと180度、初めからすべてをやり直した堀之内さん。すでにスタイリストとして他店でデビューしていた身にとって、どれほどの覚悟だったのかがうかがえます。でもそれがあってこその今。ときにはすべてを捨てる勇気が必要だということを教わった気がしました。

取材・文/山岸敦子
撮影/石田健一

Salon data

Belle
Belle

Belle(ベル)

修行時代を同じ店で共に学んだ飯田尚士さんと二人で2010年表参道にサロンをオープン。
一軒家にこだわり、本当に居心地のいい空間を創りたいと、店内にはたくさんの緑を配置。グリーンは僕の担当と、子どものように目をかける堀之内さんの“人としてのやさしさ”は、相棒の飯田さんとの絶妙なコンビネーションでサロンを美の館から癒しの空間へと変えるだけの何かを醸している。

http://belle-omotesando.jp/

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