働き方改革で離職率「ゼロ!」を達成し続ける『Lusso』
目白の閑静な住宅街にある『Lusso』。イタリア語で“心地よい時間”、“さりげない贅沢”を意味する『Lusso』の言葉通り、徹底的に居心地のよさを追求し、大人の隠れ家的なサロンとして人気を集めています。また、顧客だけでなくスタッフの満足度も重視し、無駄を省いた働き方改革で離職率ゼロを達成し続けています。どのような取り組みをされているのかオーナーの小島亮さんにお話を伺いました。
顧客満足を得られる、質の高いサービスを提供したいという思い
――このサロンができた経緯を教えてください。
「僕は高田馬場の大型サロンで働いていたのですが、お客さまを無理にスケジュールに詰め込んだりして、いいサービスを提供できていないという思いがありました。35歳までには何か形を作りたいと考えていたので独立を決意し、自分たちのビジネスモデルを模索していたんです。そこで完全予約制とまではいかないのですが、スタッフの数だけ予約をとる仕組みを作り、単価に見合った顧客満足の高いサービスを提供するというビジネスモデルで、3年前に立ち上げたのが『Lusso』でした」
――サロンのコンセプトなどありますか?
「大人の隠れ家というコンセプトで、アンティーク、木目調の内装にしています。こじんまりとしていますが、その感じが落ち着くとおっしゃっていただけるお客さまも多いです」
――本当に閑静な落ち着く場所ですね。姉妹店も近隣に建てられたとのことですが、目白の地にこだわりがあるのでしょうか?
「目白自体は縁のない土地でしたが、元々働いていた高田馬場から1駅と近い場所であったこと、土地の雰囲気と自分の考えるビジネスモデルが合致したことが選んだ理由です。富裕層の方や、髪の毛に対する意識が高く、ご自分の美容にこだわってお金をかけてくださる方も多いので。去年10月に姉妹店の『Lusso canaan』も同じ目白に出店したのは、スタッフの行き来やマネジメントのしやすさを考えてのことです。スタッフが異動になってしまっても、これだけ近ければひとりのお客さまをずっと担当できるというメリットもあります」
生産性の高い仕組み化で、離職率ゼロを達成
――オーナーとしてサロンを運営していくうえでの理念はありますか?
「働く環境の整備をして、離職率を下げたいという思いがあります。有給を取れるようにしたり、営業時間を11時から20時にして、講習会もなるべく営業時間内に行い労働時間が短くなることを目指しています。その甲斐あってか、このサロンは3年経った今もひとりの退職者も出していないんです」
――離職率を下げるために、スタッフの方との間で取り組んでいることはありますか?
「スタッフと会社の方向性のずれが離職率につながると思っているので、社員旅行や花火、キャンプ、スタッフ総出での大掃除などのイベントも定期的に行うようにして、スタッフ間のコミュニケーションは大切にしています。さらにほぼ毎月スタッフと個人的なミーティングをするようにして、みんなの前では言えないような悩みなどを聞いたり。方向性が本当にずれているのであれば、お互いのために退職してもいいと思うんですけど、こんなことをやりたいという思いがあるのなら、会社ができる限りサポートしたいと考えています。もうひとつのうちの会社の理念として、お客さま、スタッフ、会社の3者満足を目指しています。お客さまの満足ももちろん大切ですが、プラスしてスタッフの満足、会社の満足があることで、長く会社を続けていけると思っているので」
――離職率ゼロ、スタッフ満足を理念にするようになったのは、ご自身がスタイリストとして働いていた時の経験によるものですか?
「僕が経験を積んできた時代は、美容師というのは本当に厳しい仕事でした。それが自分のためになった部分もありますが、無駄も多かったと思うんです。最短の距離でいくにはどうしたらいいか僕はいつも考えていて、無駄があまり好きじゃないんですよ。たとえばカットの検定にしても、練習の時にはちゃんと切れているのに、試験の時にだけ何度も失敗してしまって1年間位カットの同じスタイルが受からないというようなことがあるんですよ。何の意味があるのって思いますね(笑)。おもてなしや、心遣いの部分は残していきながら、システムの仕組みを整備して働き方を変えていかないと、高い生産性を得られなくなっていくと思っています」
スタッフが満足できる環境を作りながら、悩みを解決するという方法で顧客満足も得ているという『Lusso』。後編ではその秘密に迫ります。