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学び・キャリア 2017-10-31

美容室の概念にとらわれない空間作りへ『RAVENALA CUT & STAND』

京都一乗寺に今年6月にオープンしたばかりの「RAVENALA」。まるでカフェのような開放感あるスペースで、ゆったりとくつろぎながら自分だけの時間が過ごせるとオープン間もないながら人気を集めているサロンです。
そんなサロンでオーナースタイリストとして活躍する宇高さんは、世界中を旅した経験を持つ美容師さん。約3年間世界中を旅した後、独立を決意するも日本を離れていたブランクから様々な問題も…。インタビュー後半では「RAVENALA」オープンに向けてのエピソードについて伺いました。

店内

――仕事を退職後、約3年間にわたって世界中を旅されてきましたが最終的には何カ国を周られたんでしょうか?
「47カ国を周ったところで資金が尽き、日本に帰ることになりました」

――そこからまた美容師として働きだすことになるわけですが、会社員として働くのではなく独立を選んだ理由は何だったんでしょうか? 旅の資金が尽きたとなると、ゼロから独立するのは金銭面の問題も気になるところですが。
「元から独立しようとは思っていたんです。お金は頭を下げたり、国に借りれば何とでもなるんですよね。自分のやりたいことや意識は決まっているので、会社に属するにはその考えのままでは難しいと思い、帰国したときにははなから独立しようと思って店舗探しを始めました。正直、日本を離れて3年も経っているので、待ってくれているお客さんは少ない。不安はあるけど、ゼロからスタートしてもいいやって、変な自信があったんです。だから場所はどこでもいいから、自分が住みたい場所で店を出そうと決めたんです」

入口
入口にはハンモックが設置されお客さんが施術後に寝ていることも

――そこで今のお店がある京都一乗寺の場所を選んだと。
「住みたい場所を探すにも時間とお金がかかるんで、そうこうするうちに資金も底を尽いてしまって。帰国したときに“日本に帰ってきたら髪を切ってほしい”というお客さんがいたんですけど、髪を切る場所がない。最初の頃は猪名川や鴨川でも切ったりすることはあったんですけど、日本では路上での施術はさすがに難しいんですよね(苦笑)。そうするなかで、昔の知り合いから京都にあるお店の一面を貸してもらえることになって。そのお店のオーナーが親切で、“うちで働きながらお客さんをつけたり、店探しをしたらいいんちゃう?”と言ってくれたので、そのお店で改めて勉強しながら、日本の美容界に戻る準備ができることになりました。僕が独立する意志も分かってくれていたし、ものすごく理解のある人と知り合えたんですよね。そこで働きだしてから昔のお客さんもたくさん来てくれて、もう京都以外でお店をやる理由もないし、僕自身も京都が好き。3、4年もブランクがある中で来てくれるお客さんがいることはすごく有難いことだし、そういう人のためにも京都でお店ができたらいいなと思うようになったんです。そうしたら、その店で働きだした半年後くらいに今のお店の物件を見つけて。1年くらいは働く予定だったんですが、この物件以上のものは見つからないと思ったんで、オーナーにお願いして退職させてもらうことになりました。そこからなんとかお金を工面して独立することができたんです」

――ものすごいスピードで展開していったんですね。
「今年の2月にお店が見つかって、6月にはオープンしているのでスピードは速かったですね」

――オープンするにあたって、どんなお店にするかイメージはありましたか?
「美容室っぽくならないようにすることと、お店全体をひとつの箱にしたいという思いがありました。ジャンルを問わないデザインにしたかったんです。好きなものを好きなように配置しているんですが、男臭くならないようにも気をつけましたね」

――たしかに、テイクアウトのカフェを併設していたりと、カフェや雑貨店のような雰囲気もありますよね。ひとつの箱というのは、どのようなイメージでしょうか?
「お店の中でいろんなイベントをやりたかったんですよね。箱貸しでイベントもできる、フレキシブルな空間を作りたかったんです。ライブやワークショップを開催したり、美容室としての機能はもちろん、海外を旅したときに出会った雑貨を置いてみたり。厨房があるのもそう。美容室という概念にとらわれない空間使い、人が集まる場所を作りたかったんです。だから、店内のイスやスツールはすべて移動できるように設計しています。シャンプー台も動かせるようになってるんですよ」

――たしかに、シャンプー台のあるブースはステージっぽく見えますね。
「店がオープンして一カ月でライブもやってもらったんです。しかも、旅をする中で聴いていたアーティストさんにライブをしてもらえて。偶然の繋がりとはいえ、すごく嬉しかったですね。これからももっともっといろんなことに挑戦できたらいいなと思っています」

店内

信頼を確固たるものにしてもっともっと休みが欲しい!?

――宇高さんの施術へのこだわりについても教えてください。
「得意なのはショートとボブスタイル。主張しすぎないスタイルを提案できるようにしています」

――店内はゆったりとした空間のせいもあってか、施術を受けるにも落ち着いた雰囲気が過ごせそうですね。
「店内にはヘア雑誌も置いてないんですよね」

――確かに、店内には旅系の雑誌などがあっても、美容系の雑誌は置いていないですね。
「その人の雰囲気や個性を引き出すのにヘア雑誌はいらないかなと思っていて。細かいカラーを提案するときに必要な場合もあるんですけど、楽をしたくないんです。僕が一方的にスタイルを作るんではなく、お客さんと2人で作っていきたい。その人のことを知りながらスタイルを作っていかないとダメ。雑誌を見て決めるんではなく、会話と会話からその人のことを知っていけたらいいですね。そうなるとカウンセリングは長くなりますが、それでも時間をかけた分、満足してもらえるスタイルが生み出せるのかなと思っています」

――スタッフは宇高さん1人だけだからこそ、時間がかけられるということですよね。
「そうですね。いまはお客さんにも、予約の際には時間に余裕を持ってもらうようお願いしています」

――今後のお店の展望について教えてください。
「まだオープンしたばかりなんで、1~2年はひとりで経営していきたいなと思っています。もう本当~に、のんびりやりたいんですよ(笑)。1人で経営するなら休めるときに休めるし、自由にできるお店作りをしていきたいです。いまは月曜のみ定休日ですけど、本当はもっと休みたいです!!」

――1人での経営は、休めるけど休めないというバランスの難しさがありますよね。
「そう! ありがたいことに毎日お客さんに来てもらっているし、1人でも多くのお客さんと接したいという思いもあるんですけど、お店を休みにしても問題がないと思えるくらいまで店の軌道を確実なものにしたいですね。そうしたら僕はバンバン休んでいきたいです!!」

――休みたい!と公言するオーナーさんは珍しいですよね(笑)。やっぱり旅好きの性格がそう思わせるんでしょうね。休みを確実なものにするために、現状の課題や目標はありますか?
「一番大きなものだと、5年…いや3年以内には1年働いたら一カ月休む店にする、ということですね。長期でのお休みを作って旅に出る、そういうお店にしたいんです! そのためにも、お客さんに理解してもらえるようにしていかないと。一人で経営しているからこそ自由が効くんで、お休みを作るためにも夜遅くに営業したり、月曜に営業したりもして」

店内

――お互いの信頼が生まれれば、そういうシステムも可能ですよね。
「お休みの期間はお客さんに迷惑がかかるかもしれない。でもそれ以外はフレキシブルに動くから許してね~って。それが許してもらえるお店作りがしたいんです。僕と言う人間を知ってもらいたい。“この人は1カ月休みはるんや。それでもこの人に切ってもらいたいわ”、そう思ってもらえるようになれたら。そのためには僕自身の成長が大事ですよね」

――同じお店に通い続ける。その理由は技術はもちろん、人との繋がりも重要ですもんね。
「技術は学べば得られるもので、人間力はその人が生きて経験してきたもの。技術はその日学んだものを翌日に生かせますけど、明日すぐに人間力を上げろって言われても無理なんです。接客業やサービス業のなかでも、美容師はその人の一部を触らせてもらいながら、つきっきりで施術をする。美容師は密に接する時間が長い特別な仕事なので、そこには人間力が必要になると思っています。カットで5000円の料金をいただく場合、技術力で5000円をもらうのは当たり前の世界なんです。そのレベルまで実力を上げるのはもちろん難しいんですけど、一言も喋らなくても5000円をもらうことは可能。でも僕はそこでアピールするよりも、プラスαの何かを大事にできたらいいなと思っています」

――美容師としはもちろん、人間としての魅力を上げる。そしてお休みもしっかり取ると。
「そう! もうそろそろ我慢できないです(笑)。行きたい国も山ほどあるんですよ~」

――まだオープンしたばかりなので、もう少し我慢してください(笑)。

宇高さん
   

Salon Data

RAVENALA CUT & STAND

RAVENALA CUT & STAND

住所:〒606-8711 京都府京都市左京区一乗寺里ノ前町5 1F
TEL:075-286-3060
HP:https://www.ravenala-hair.com/welcome
Instagram:ravenala_udaka3

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