アイリストの専門用語事典わ行
アイリストとして働くならば、しっかりと身に付けておきたい業界用語。今回はアイリスト専門用語の「わ」行をお送りします。
Yラッシュエクステ
まつ毛エクステの発祥の地は、美容大国といわれる韓国です。1990年代後半~2000年代前半に、韓国のつけまつ毛工場で余った人工つけまつ毛を、エクステンションとして利用したことが始まりといわれています。当時から、長く、濃いまつ毛へあこがれる女性は多く、さらに、目元の強調により、横顔が映えて見える効果もうたわれたため、人気が高まりました。
まつ毛エクステが開発される以前は、1913年にアメリカで、妹思いの兄トーマスが、目が小さいことがコンプレックスで、恋に積極的になれない妹メイベルのために、マスカラの始まりとなるものを作りました。その兄が、マスカラで有名な「メイベリン」の創始者トーマス・L・ウィリアムズです。作られた当初、メイベリン・マスカラは、スティックタイプではなく、容器に入ったマスカラを筆で塗るタイプといわれています。
その後、日本では、1920年につけまつ毛が誕生しました。芸者が自分の髪を切り、それを編んで、地まつ毛に付けたことが始まりとされています。それから、1947年にKOJIがつけまつ毛の発売を開始しました。それ以来、まつ毛メイクといえば、マスカラとつけまつ毛でしたが、汗や皮脂に弱く、落ちやすいという欠点もありました。まつ毛エクステが日本に普及されたのは、2003年~2004年頃です。汗や皮脂にも強く、アイメイクの時間短縮などのメリットもあり、美容に敏感な若い女性を中心にブームとなりました。
まつ毛エクステは、プロスポーツ選手や芸能人などにも広く利用されていることからも、高い人気がうかがえます。 しかし、日本で流行し始めた当初は、「まぶたが腫れた」、「目に傷が付いた」などのクレームや、深刻なトラブルが後を絶ちませんでした。それらのトラブルの理由は、無資格者が施術をしたり、資格のある施術者でも経験不足であったり、グルーと呼ばれるまつ毛用接着剤の品質も低いなどによるものでした。まつ毛エクステの中で最も多いトラブルは、グルーが原因となる結膜炎や角膜炎です。
さらに、視力障害に繋がる深刻なケースもある為、厚生労働省はまつ毛エクステ流行当初より注意喚起し続けてきました。そして、国内産の安全な高品質のグルーが開発され、2008年にはまつ毛エクステは美容行為であると厚生労働省より正式に認められたのです。こうして、資格のある美容師が認可を受けた美容院でのみ、施術が可能になりました。
日本で、まつ毛エクステが流行し始めた頃に使用されていたのが、3~10本ほど束になったフレアタイプエクステです。ボリュームアップ効果は絶大でしたが、地まつげにかかる負担が大きすぎるため、トラブルやクレームなども多かったといいます。また、まつ毛の長さを出したい時によく使用されるのは、シングルタイプです。その上、地まつげ1本に対して1本ずつ付けるため、まつ毛エクステの中でも特に自然な仕上がりになります。
フレアタイプよりも、さらに付けやすく軽量なのが、Yラッシュエクステです。Yラッシュエクステとは、Yの文字の通りに、根本から2本に分かれているタイプのエクステのことです。シングルタイプのエクステと同様に、地まつげ1本に対して1本ずつ付けるため、地まつげを含めると3本分となり、ボリュームアップ効果が期待出来ます。しかも、シングルタイプのエクステよりも、少ない本数でボリュームアップできるので、エクステ施術時間の短縮になり、忙しい人に便利なまつげエクステといえるでしょう。
フレアタイプの場合は、急激にまつげが多くなるため、人によって少し違和感を覚える場合もあります。しかし、ラッシュエクステの場合は、1本の地まつげに対して2本ずつ付けることになるため、仕上がりも自然になり違和感もあまり覚えないことが特徴です。このYラッシュエクステが進化したものが、ボリュームラッシュです。ボリュームラッシュは、従来のまつ毛エクステが0.15mmの太さだったことに対し、0.06mmの超極細の細さです。
また、ボリュームラッシュは地まつげ1本に対し、2~6本が1つの束にまとまったエクステを付けるので、より自然な仕上がりで、ボリュームアップを希望する人に合ったまつ毛エクステといえるでしょう。
まつ毛エクステの種類には、シルク・ミンク・セーブルなどの人工毛があります。シルクは最も安価ですが、他の種類と比べてまつ毛がやや硬めで太い為、まつ毛の持ちも短い期間になります。セーブルは最もまつ毛の持ちが良く、高価なまつ毛エクステで、着用感もほとんど感じないことが特徴です。
その他に、人毛のまつげエクステも使用されるようになりました。カールの種類には、緩やかなカールの順番で、Jカール・Cカール・CCカール・Dカールがあります。一重と奥二重の方におすすめなのは、毛先のみカールしたLカールや、比較的緩やかなカールのJカールです。カールの種類の中で最も持ちが良いのは、地まつ毛に最も接着する面積が広いJカールなので、まつ毛エクステの初心者にも使いやすいといえます。
それから、毛量で人気のある本数は、片目50本ずつです。アイメイクの必要がない毛量で、素顔でも目元を大きく見せて楽しむことができます。つけまつ毛は直接皮膚に付けるのに対し、まつ毛エクステは、皮膚から少し離してまつ毛に直接装着することが特徴です。 まつ毛エクステは、約2~3週間は綺麗な状態を維持することができますが、それ以降は毛の生え変わる周期によって、徐々に取れてまばらになってしまいます。
基本的に、まつ毛エクステは、自分で取り外すことが不可能です。したがって、無理に取ろうとすると、地まつ毛を傷めたり、抜けてしまったりする原因になるので、サロンで外してもらうことが賢明です。また、綺麗なまつ毛を維持するためには、約2~3週間おきに付け足すのが良い方法といえます。ただし、まつ毛エクステは、1回にかかる費用が約5000~10000万円なので、維持するのに高額な費用がかかります。
一方、自分のまつ毛や好みに合わせた毛量やカラーを選択できることが魅力の1つともいえます。 まつ毛エクステの持ちを良くするポイントは、洗顔とクレンジング方法にあります。シャワーは直接まつ毛エクステに当てないようにし、クレンジングはまつ毛の生えている流れに沿って、優しく撫でるようにします。横に強くこすると、まつ毛エクステが取れる原因にもなるので、注意が必要です。また、メイクの際には、まつ毛エクステに余分な力がかからないように、ビューラーよりもホットビューラーの使用を選ぶようにします。そして、まつ毛エクステは水に弱い傾向もあり、プールやサウナなどに頻繁に行かれる方は、持ちが通常よりも、やや短めとなります。それで、長く維持するためには、洗顔後にドライヤーで乾燥させるなどの手入れも必要となります。
さらに、綺麗な状態を維持するためには、まつ毛をブラッシングすることで状態維持が可能で、それに、持ちも良くなるのです。もっとも、花粉症の方は、かゆみで目をこすってしまう場合があるので、花粉の飛散期間のまつ毛エクステは控えるのが良いでしょう。 セルフまつ毛エクステも普及してきており、費用が安く、気軽にリペアが可能などのメリットがあります。しかし、アレルギー体質の場合は注意が必要であること、痒みを感じた場合は直ちに取り除くこと、目を傷つけてしまう恐れがあることなどのデメリットがあります。