『技術だけでなく心も育む』MINX・岡村享央さんのスタイリストを育てる教育法 #2

一流のスタイリストが集うMINXグループの代表取締役社長・岡村享央さんに、スタイリストの教育に関するインタビューを実施。岡村さんが語る独自の教育哲学は必読です。

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大切なのは長所を見つけ伸ばしてあげること

――日々、若手スタイリストの育成に取り組まれている岡村さんの『教育哲学』を教えていただけますか
「一言で言うと『長所を伸ばす』でしょうか。美容師として長く活躍するためには“これなら誰にも負けない”という武器が欠かせません。それを見つけて伸ばして上げることが、そのスタイリストの今後の美容師人生にとって大きな財産になると思います。それに、苦手なことを無理してやるのは誰だって嫌じゃないですか。好きなこと、得意なことなら自主的にどんどん勉強しますし、努力も苦になりません。長所進展法とでも言いますか」

――各スタイリストの長所というのはすぐに見つけられるものなのですか
「その子の普段の仕事振りを見ていればおのずとわかりますよ。施術、接客、ケア、SNSなどの中からどれを武器として伸ばしてあげるべきかを考えるようにしています。

もちろん、苦手なことも苦手なままにするのではなくプラスマイナス0のレベルまでは持っていくように指導はします。プロとしてマイナス要素があるというのは問題なので。理想は全てのスキルをプラスに持っていくことですが、誰にでも得手不得手はあります。ただ、不思議なもので長所が伸びるとそれに比例して短所も改善されていく傾向にあるように思います。人は他人の長所より短所の方が目につきやすいものですが、教える立場の人間は短所よりも長所を見つけてあげて、そこを伸ばすように教育する義務があると私は思います」

岡村さん

スタッフが力を発揮できる環境や体制作りも必要

――前回のお話にもありましたが、若手が育つかどうかは、教える側にかかっているということですね
「そうです。あえて教わる側に何かを求めるとすれば、決して諦めない姿勢を貫くこと。成長の仕方には個人差があるので、自分と他人の成長スピードを比較して卑屈になるのではなく、芽が出るまで諦めずに取り組み続けて欲しいです。美容師は50歳、60歳になっても働くことができる考えると、20代の間の短期的な力の差なんて大した問題ではありません。

ですので指導する際は短期目標だけでなく長期的な目標設定も行います。言ったことすべてをすぐに理解するというのは難しいですし、できなくてもいいのです。ものによっては2~3年後に『あの時言われたのはこういうことだったのか』と気付いてもらえれば。こちらもそういうつもりで指導しています。

私は美容師という職業を本当にいい仕事だと思っています。だからスタッフがいつかMINXを退社した後も、美容師の仕事を長く続けられるような人材に育って欲しいと思い、日々指導しています。それがひいては美容師業界全体への貢献にもつながると嬉しいです」

――現在MINXには女性スタイリストも多く在籍していますが、男女で指導の仕方は変わりますか
「昔はスタッフの男女比が9:1とかなり差がありましたが、今では半々くらいになりましたからね。指導の仕方は特に変わりませんよ。指導していて思うのは、20代の間は女性スタッフの方がしっかりしている割合が高い。男がしっかりし始めるのはだいたい30歳になってからですね(笑)。

ほかに男女間の違いというと、女性は30歳を過ぎると結婚や子育てなど、仕事以外のファクターが多くなりますよね。そのためMINXでは現在、結婚・出産後もこれまで通り働ける体制作りに取り組んでいます。ほかにも福利厚生の充実や週休2日制など、今まで業界全体で整備が遅れていた部分についての改善にも着手しています。今の時代、美容学生などの間では勤務形態や福利厚生の充実がサロン選びの大きなポイントとなっているそうので」

――より良い教育のためには、職場環境の整備も必要ということでしょうか
「そうですね。質の高い人材育成の実現にはスタッフがのびのびと働けて、持てる力を如何なく発揮できる環境作りが必要不可欠だと思います。サロン内の人間関係も、一昔前までのような体育会系ムードは業界全体で減少傾向にありますし」

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技術だけでなく心も育てるのが本当の教育

――そのほか人材の育成で気を付けていることはなんでしょうか
「私はカットやカラーの技術を上達させる“だけ”では本当の教育と言えないと思っています。大切なのは美容師である前に、社会人として真っ当な人間を育てること。先ほど述べた環境作りも、そうした人材を育成するために行っています。このマインドをグループ全体で共有するべく、役職者のスタッフには折を見てそういった話をしています。技術に秀でただけでなく人として当たり前のことが当たり前にできる、人格的にも成熟したスタイリストに育てあげることが上に立つ人間の責任ですから。

だからこそ、技術的な失敗よりも『人としてやってはいけない』ことをしたときの方が厳しく叱ります。それはサロンワークの大部分を占める接客においても、非常に大切なことだと思いますので。お客様に嘘をついたり、合意をいただけていない状態でハサミを入れるようなことは絶対にしてはいけません」

――ありがとうございました。最後に、MINXへの入社を希望しているスタイリストや美容学生の皆さんへメッセージをいただけますか
「この業界で生きていく上で一番大切なのは、美容師という仕事が好きだという強い気持ちを持っていることです。仕事を楽しくハッピーにできる人なら、きっとMINXで充実した毎日を送ることができるでしょう。そんな人材を指導し、成長する姿を見られることは指導者冥利に尽きますので、そんな人たちと一緒に働ける日を楽しみにしています」

確固たる信念のもと、次世代の教育について真摯に語ってくださった岡村さんの熱量に魅せられ続けたインタビューでした。
この度は本当にありがとうございました。

取材・文/甘佐直人(レ・キャトル)
撮影/森崎一寿美

Profile

岡村さん

岡村享央さん

MINXグループ代表取締役社長
専門学校を卒業後、地元高知で美容師のキャリアをスタート。MINXへ入社後、25年以上MINXを支え続け、創立30周年を迎えた2016年に代表取締役に就任。現在の美容業界を牽引するスタイリストの一人。業界向けのテクニック本など著書も多数。

   

Salon Data

MINX

MINX 銀座店

中央区銀座2-5-4 ファサード銀座2F/7F
http://www.minx-net.co.jp/

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