もし心臓が止まったら!? いざという時に役立つ応急処置方法 #2
公共の場所などに設置されている“AED”。「ああ、あるな…」と思い当たる人は増えていると思います。でも、AEDが一体なんのためにあるのか、どのように使えばいいのかまではわからない、という人も多いのでは?
「お客さまや同僚が心臓発作で倒れた!」そんなとき、救急車が到着するまでの間にどんな応急処置を取るかが、生死にもかかわる大事なポイントになります。そこで活躍するのがAED装置。一刻を争うときが訪れる前にしっかり基礎を学んでおきましょう。
「AED」は電気ショックで痙攣した心臓を正常に戻す装置です!
AED、それは、Automated External Defibrillatorを略したものです。「自動体外式除細動器」がAEDです。
心室細動(しんしつさいどう )、無脈性心室頻拍(むみゃくせいしんしつひんぱく )など、痙攣(けいれん)した状態の心臓に、AEDによって電気ショックを与えていきます。AEDが再び正常な心臓のリズムに戻してくれます。
心臓が痙攣を起こすのは緊急事態です。小刻みに震えている状態であり、全身に血を送り届けることができなくなってしまうのです。
AEDの名前は、昔以上頻繁に聞くようになったのも事実です。ただし知っていても使うことができるかが大きな問題です。私達は、心停止から3分という時間を有効的に使用しなければなりません。その間にAEDを見つけて、適切に使用しなければならないのです。
街中に増えているAED…日頃から場所を把握しておくことが大事
あなたの職場や周辺にはAEDが設置されているでしょうか。それがまず大事なポイントです。
AEDの設置が推奨されている施設は、駅・空港。旅客機、長距離電車・長距離旅客船などの長距離輸送機関、スポーツジムおよびスポーツ関連施設、デパート・スーパー、多数集客施設、市役所、公民館、交番、消防署、介護・福祉施設、学校、会社、工場、ホテル、遊興施設などなどです。
心停止から最低でも3分以内に除細動が可能な配置を考慮すべきでしょう。
119番・AED…いざというとき率先して動けるように心構えよう
AEDについて正しく勉強をしたいというのなら、消防庁が発表しているマニュアルを読んでみることをおすすめします。
心停止している人を発見した場合、まず意識があるかないかの確認をします。意識のない場合は、周囲の人たちにも更に協力を求めてください。あなたが中心に立って、周囲の人たちに「119番へ通報すること」と、「AEDを持ってくること」を指示しましょう。
もしも、あなた一人しかいないという場合には、まずは119番へ通報をして、救急車の到着するまでの間救護を行うようにしましょう。
AEDが手元に到着するまでにも心肺蘇生は必要です!
正常な呼吸ができているのかをチェックしましょう。呼吸音が聞こえない、胸やお腹が動いてない場合、正常な呼吸ができていません。途切れ途切れ起きる呼吸も正常ととらえることは出来ません。
勇気を振り絞って心肺蘇生をスタートしましょう。胸骨圧迫を30回します。 胸骨圧迫のコツは、とにかく強く・速く・絶え間なく。胸が5cmは沈むくらいの強さで、少なくとも1分間に100回以上の圧迫を中断せずに繰り返す必要があります。
そして人工呼吸を2回。人工呼吸には、携帯型フェイスシールドを使った口対口人工呼吸、ポケットフェイスマスクやバッグバルブマスクを使った人工呼吸などの方法があります。1回に1秒をかけて、送気時には患者さんの胸が上がっているかを確認することがポイントです。AEDが手元に到着するまでそれを行うようにしてください。
AEDを使用しての心肺蘇生法を続けながら救急車が来るのを待つ
AEDが到着したらまず、AEDの電源をスイッチオンします。AEDの音声ガイドが流れるので、それに従って、パッドを傷病者に貼っていきます。素肌に貼る必要があり、衣服を取りのぞく必要があります。周囲の人にできれば「AEDを使うので服を取りのぞきます」と敢えて伝えるべきかもしれません。その行為を痴漢と勘違いされたケースがあるようです。難しい時代です。
そしてAEDが解析をスタートしてくれます。AEDが電気ショックを与えるべきと判断した場合には、「ショックが必要です」と音声メッセージが流れてきます。同時に自動的に充電がスタートします。充電が完了して、「ショックボタンを押してください」と音声メッセージが再び流れます。そのとき、ショックボタンが点灯して、充電完了の連続音がします。
そのとき、「みなさん離れてください!」と声を出してください。ショックボタンを押せば、感電するので誰も傷病者には触れては駄目です。
そして、電気ショックが完了して、「ただちに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始してください」と音声メッセージが流れます。再び胸骨圧迫です。AEDは自動的に心電図の解析を再び行っていきます。必要があれば、また電気ショックと心肺蘇生を繰り返します。
文/sapuri