美容師の失敗例は?クレームが来る悪い接客・カットの例
美容師にも失敗はありますが、他店や他の美容師の失敗から学ぶことで自分の失敗を未然に防ぐことができます。これはお客様のためでもあり、サロンの中で自分の評価を上げることにもつながります。アシスタントからスタイリストにデビューするのも早くなるでしょうし、スタイリストからチーフ・ディレクターなどのポジションに昇進する上でもプラスになるでしょう。そのように成長したい美容師の参考として、悪い接客やカットの例、その後の対応などをまとめます。
美容師の接客の失敗例&対策
美容師の接客の失敗でよくあるのは「お客様の地雷を踏んでしまった」というものです。よくある「お仕事は何をされているのですか?」という質問も、人によっては禁句のことがあります。これは基本的なことなので、いきなり質問する美容師は少ないのですが、話の流れからつい聞いてしまうこともあります。
特にお客様がフードのある服などカットしづらい服を着ている時はカットに集中してしまう余り、こうした「うっかり」をしてしまうことがしばしばあります。こうした原因についてはカットの技術が上がればミスも減っていくのですが、最初のうちはやはり間違うことが多くなります。
他の失敗では「お客様に以前聞いたことをもう一度質問してしまう」というものがあります。たとえば「出身地」などがあげられます。こうした質問をすると、お客様としては「ああ、自分に興味がないんだな」と思い、その美容師やサロンに失望する原因になります。
美容師は毎日多くのお客様を相手にしていますし、お客様が再来店するのも早くて1カ月、長ければ3カ月などの期間が空くので覚えていないことも当然あります。それでも「自分を特別に見てほしい」と思っている常連のお客様などは話の内容を覚えてもらっていないとショックを受けることもあるわけです。
この対策はやはり「お客様と話した内容を記録する」ことです。ノートやパソコンでもスマートフォンでもいいでしょう。簡単なキーワードをメモするだけでも記憶の大きな助けになるので、手元にスマホしかない時はスマホで簡単に打ち込むだけでも有効です。業務のスキマ時間や帰り道など記憶がしっかり残っているうちにすばやくメモするといいでしょう。
その他、意外とよくあるのが「笑顔の後で真顔に戻るスピードが早いと作り笑顔だと思われてしまう」というものです。これは本人にまったく悪気がなくても顔の筋肉の使い方の癖でそうなることがあります。もし自分が笑顔から戻った後、それを見たお客様の表情が急にこわばるなどしたら自分にそのような癖があると考えた方がいいでしょう。
スタイリングの技術に関する失敗例&対応方法
技術に関しての失敗は、接客に関する失敗以上にクレームが多くなります。特にパーマやカラーなどはお客様が頭皮の痛みを訴えることなどもあり、深刻な失敗が比較的多い業務です。
パーマはお客様の髪質によってかかり方がかなり変わります。経験が浅いうちはそれが原因で失敗してしまうこともあるでしょう。この場合は誠心誠意謝ることです。サロンの側も経験の浅い美容師だとこのような失敗があることはわかっています。美容師に悪気がなかったのであれば大抵は一緒に謝ってくれるでしょう。お詫びのクーポンを付けるなどの方法で店舗として対応してくれることもあります。
これは美容院以外のサービスでも同じですが、クレームをつけたお客様は対応を誠実にしてもらうと逆にその店舗に好印象を持つことがよくあります。これは普通の人間関係でも同じなので実感しやすいでしょう。「失敗してもすぐに誠実に謝れる人」は、やはり印象が良いものです。謝るだけでなく実際の物理的な行動もしてくれるのであればなおさらです。
カットやパーマ・カラーに関する失敗はクレームも強めのものが多く、美容師にとっては緊張感を覚える部分もあります。しかし、逆にお客様との距離を縮めるチャンスにもなると思ってください。
失敗した時はまず落ち着くことが大切
美容師が仕事で失敗した時、まずすべきことは「落ち着いて対応する」ことです。わかりやすい例だと「ダブルブッキング」があるでしょう。同じ日時にお客様を重複して入れてしまったという失敗です。これは特にネット予約システムの導入直後などにしばしば見られるものです。
ダブルブッキングに気づいた時間がいつかにもよりますが、お客様の来店前に気づいたならすぐに店長に相談し、お客様に連絡しましょう。「他の美容師が代わりに担当して仕上げなどで自分が顔を出す」という形になることもあれば「お客様の希望で別の日時に変更する」ということもあるでしょう。
具体的な対応はケースバイケースですが、どんな対応をするにしても慌てないことが大事です。お客様に申し訳ないと思う気持ちは大事ですが、慌てると店舗のスタッフも緊張しますし、その時店舗にいるお客様も落ち着かない気分になってしまいます。
「失敗した時に慌てない」というのは一見すると精神的な才能のようですが、これは訓練によって鍛えられるものです。日頃から美容師の失敗例を書籍・ネット・同僚や先輩の体験談などから学んでおき、自分ならどうするか考えておくのです。そうした事前のシミュレーションができていれば、いざトラブルが起きた時にも冷静かつ迅速に対応することができます。
また、どんな失敗でも「独断で動く」のは避けるべきです。例外もあるでしょうが、基本的にはまず店長や先輩スタイリストなどに相談しましょう。自分でよかれと思ってした対応が実はまずいものだったということもしばしばあります。トラブルの対応についてはどの店舗でも一般のスタイリストよりは店長やベテランスタイリストの方が経験豊富で的確な対処ができます。
こうした報告・相談をした時、気持ちよく対処してもらえない場合もあります。端的にいうと「嫌われている」という場合です。これは職場の雰囲気が悪いだけの場合もありますし、自分の日頃の態度に問題があるということもあります。前者だったら早目の転職を考えるべきですが後者なら自己反省が必要です。
特に早期にスタイリストデビューしたり固定のお客様が先輩以上に多くついて売上が伸びたりすると、つい謙虚な態度を忘れてしまうことがあります。うまく行っている時はそれでもいいですが、これでは失敗した時に助けてもらいにくくなります。「トラブルは必ず起きる」という前提で、失敗した時にも助けてもらえるような人間関係を日頃から構築しておきましょう。
誠意を込めた対応で、次回に繋がるようにしよう
美容以外の業界でも、成功している企業ではしばしば「クレームは宝物」という考え方が見られます。業務の改善が見つかることはもちろん、良い対応をすることでそのお客様が逆にファンになってくれることも多いからです。美容師にとってもクレームは決して悪いものではないので、こうした「ピンチはチャンス」という意識を持つことが前提になります。
失敗した時、誠意を込めて謝罪をし、すぐに行動することは美容師以外の仕事でも必要です。そして、多くの人ができていないことでもあります。もしこれが万全にできていたらその人は美容師以外の仕事、たとえばネイリスト・エステティシャンなどに転職しても成功する可能性が高いでしょう。
また、こうした態度は職業人としてだけではなく一個人としても良い態度です。このような誠実さがある人は友人関係やご近所付き合いなど個人の人間関係も円滑に行くことが多いでしょう。
美容師の仕事を長く安定して続けるためには特殊な技術も必要ですが、このような「美容師だけでなく人間全般の基本」というべき部分がむしろ重要になります。そのような根本的な美容師の資質の1つとして「失敗を素直に謝罪し改善する」ことを意識してください。
このような基本がしっかりできている美容師はどのサロンでも重宝されます。場合によっては今のサロンよりさらに好待遇で迎えてくれるサロンもあるかもしれません。