業界をけん引してきたふたりの男が放つ上質な空間 『SUN VALLEY』
表参道から徒歩3分、周囲には高級メゾンが立ち並び、間違いなく都内の一等地と言える場所にオープンしたのが『SUN VALLEY』。人気サロンair出身の朝日光輝さん、渋谷謙太郎さんがオーナーを務めるサロンで、業界の内外を問わず大きな注目を集めています。
前編では、渋谷さんにこのサロンに込めた思いや自身の経歴について伺いました。
下の世代が夢を見られるような場所を作りたかった
――『SUN VALLEY』を作ることになったきっかけを教えてください。
「僕と朝日はairの前に働いていたサロンで一緒になり、airでもお互い役員を務め親しくしていました。airはどんどん大きな組織になっていて、次の可能性を考えた時に下の世代が夢を見られるようなことをしたいという思いがあったんですね。それで朝日に協力を呼びかけ、新たなサロンを作ろうということになりました。今までよりは規模の小さな、新しい組織作りに興味がありました」
――サロンのコンセプトを教えてください。
「『上質な大人が訪れるサロン』というのをコンセプトにしています。自分たちは少なからず第一線でやってきたので、商品にしてもメニューにしても最上級のものを見てきましたから、それを提供する場にしたいと思っていました。言わば自分たちの集大成の場です。ただこのお店で終わりというわけではなく、ここを拠点にしてもっと広げていきたいと思っていますが。サロンの内装は、なるべく居心地のいい場所にしたくて、席と席の間隔を広くとったり、立っている時の背の高さよりも上に物をごちゃごちゃ置かないということに気を付けました。ここは地下の物件ですが、外の光が入るので壁面にものを置いて光を遮らないようにして、半分外にいるような空間にしたいと思いました」
――このサロンには渋谷さんのどんな思いが込められているのでしょうか?
「美容室が商業的になってきている感じがするので、たとえば地方でもおしゃれな場所とか海外にも出店したいという思いがあります。今、美容業界の若い人たちがあんまり輝いていないように思えるんですね。みんなバラバラで動いているような気がしていて。大きな組織になればなるほど、サラリーマンっぽくなってしまったり、本当に美容師として働きたいという思いから離れてしまう気がするんです。もちろんそういうスタッフに支えてもらっている部分もあるのですが。あとは面貸しサロンにいってしまったりする人が多いので、僕個人としてはもったいないと思っていて。もっと美容室で働くこと、美容師であることを楽しめるような環境を作りたいと思っています」
オープニングパーティに450人が殺到。今までの日々は無駄じゃなかった
――オープニングパーティは盛大だったそうですね。
「はい、著名な方を含めて450人くらい集まってくれて。朝日とふたりで『俺たちのやっていたことは無駄じゃなかったよね』と喜びました。昔からいろいろなパーティとか呼ばれれば行く方だったんですけど、社交辞令っぽい世界というか、行く意味あるのかな?ってずっと思ってたんです。でもそれをやっていてよかったなって。やっていれば何かが返ってきてつながっていくんだと実感しました」
――渋谷さんが美容師を目指したきっかけは?
「高校の時、一応進学校に通っていたんですよね。みんな大学に進学するのが当たり前というなかで、大学に行きたくなくなってしまって。大学進学した先に『サラリーマンになるのは嫌だな、自分の腕で稼げるようになりたいな』と思い、美容師を選びました。2店舗目で朝日と一緒になりました。そのサロンは名前も売れていましたし、CanCamが全盛の頃で、朝日が押切もえさん、僕が山田優さんを担当していて、仕事としてはとても充実していたのですが、大きな組織で先輩もたくさんいる状態で、夢が見れなかったんですよね。もっと上にのぼりたいと思い、airに転職しました。その当時のairはまだ麻布店しかなかったんですが、朝日と青山店を作りそこからどんどん大きくなっていった感じでしたね」
――美容師として大切にしていることはどんなことですか?
「真面目にちゃんとやることですね。こんな見た目ですけど、真面目にやってます(笑)。新しいことに常に挑戦というのも大切かもしれないですけど、僕たちはやはりサロンワーカーなので、日常を大切にしています。その積み重ねが大事だと思っています」
後編では、第一線で活躍してきた渋谷さんが思う美容師の素質、そしてこれから目指す場所について伺います。