エステティシャンになるには資格が必要? 資格の種類や取得メリットを紹介
「エステティシャンになりたいけど、何も資格を持っていない」「無資格でもエステティシャンになれるの?」という人は少なくありません。そこで、エステティシャンに必須の資格はあるのかや、どんな資格が存在するのかについて解説します。
エステの仕事や資格取得に興味がある人は、ぜひ最後までチェックしてください。
エステティシャンに資格は必要?資格取得のメリットとは
実は、エステティシャンになるために必須の資格はありません。美容に関わる仕事のため、資格が必要なイメージがあるかもしれませんが、エステティシャンには未経験でもなることが可能です。
とはいえ、働くうえで資格を取得するメリットはあります。そこで、エステティシャン関連の資格を取得するメリットをお伝えしましょう。
1. お客様の信頼を得やすい
エステティシャン関連の資格を取得していると、それが技術力の証明となるため、お客様の信頼を得やすくなります。
なにも資格を持っていないスタッフよりは、なんらかの資格を持っているエステティシャンに施術してもらったほうが安心だと感じるお客様は多いものです。資格があることで、ほかのサロンと差別化ができ、集客力UPにもつながります。
2. 確かな知識と技術が仕事の質を上げる
資格を取得する過程で、確かな知識と技術力が身につきます。その技術や知識を活かして、お客様の悩みを解決できたり、お客様に合った施術ができたりするようになります。
よりお客様に満足してもらえる施術ができるようになるので、リピーター増加にもつながるでしょう。よいエステティシャンになるには、つねに知識と技術を学び続ける姿勢が大切です。
3. 給与UPにつながる
エステティシャンの月給は、経験や立場などによって差がありますが、目安として正社員の平均で約28万4,000円、店長(候補)になると約32万6,000円です。
なお、サロンによっては、指定の資格を持っていることで、固定給にプラスして手当がつくことがあります。店側も、より技術の高いセラピストに働いてほしいためです。
さらに、資格を取得することで技術と知識の証明ができ、より高いレベルの施術を提供できるので、指名数やリピーターが増えやすくなります。給与にインセンティブが加算されるサロンも多く、指名数が増えることで給与UPにつながりやすいでしょう。
4. 就職・転職に有利
未経験でも働けるサロンはありますが、即戦力を求めているサロンも多いです。資格を持っていることで、一定の技術と知識が証明できるので、就職および転職に有利になる可能性もあるでしょう。資格保有者しか応募できないサロンもあり、資格を持っていれば応募できるサロンの幅が広がります。
よりレベルの高いサロンで働けるチャンスにもなるので、エステティシャンとして上を目指す人にとって、資格を取ることは大きなメリットです。
エステティシャンの資格にはどんな種類があるの?
エステティシャンの資格には、ボディ・フェイシャル・脱毛のような施術に関するものだけでなく、衛生管理や講師など施術以外のもの(職務に関するもの)もあります。
どんなエステティシャンになりたいのか、どんな立場を目指したいのかなどによって適した資格が異なるため、自分の進みたい道に合った資格を選びましょう。
また、国内資格だけでなく国際的な資格もあり、海外で活動したい人におすすめです。
次章以降で施術内容や取得目的で分けた資格を紹介するので、気になる資格をチェックしてみましょう。
おすすめの国内資格|ボディ・フェイシャル
ここからは、具体的なエステティシャンの資格について見ていきましょう。まずは、ボディ・フェイシャル系のおすすめの国内資格です。
日本エステティック協会(AJESTHE)
AJESTHE(日本エステティック協会)は、健全なエステティックの普及と発展を目的にして、1972年に設立された団体です。以下でおすすめの資格を3つ紹介します。
なお、AJESTHEのエステティシャン資格には、以下に紹介するもののほかに、AJESTHE認定フェイシャルエステティシャン・AJESTHE認定ボディエステティシャンと部位別の資格もあります。
引用元
日本エステティック協会
協会について | 日本エステティック協会
AJESTHE認定フェイシャルエステティシャン・AJESTHE認定ボディエステティシャン|日本エステティック協会
AJESTHE認定エステティシャン
AJESTHE認定エステティシャンとは、エステに関する基本的な知識・技術を兼ね備え、適切なサービスを提供できる能力を持っている人に与えられる資格です。
資格取得の条件は下記の2つ。
・エステティシャンセンター試験に合格する
・日本エステティック協会の認定校で300時間以上コースまたは1,000時間以上コースを修了している、または実務経験が1年以上ある
なお、試験は筆記試験と実技試験の両方に合格する必要があります。
引用元
AJESTHE認定エステティシャン|日本エステティック協会
日本エステティック試験センター
エステティシャンセンター試験|日本エステティック試験センター
AJESTHE認定上級エステティシャン
AJESTHE認定エステティシャンの上位資格で、エステに関するより高度な専門知識や技術が求められます。取得条件は、下記のいずれかに該当することです。
1.日本エステティック協会認定校にて1,000時間以上コースまたはCIDESCO国際認定校コースを修了し、筆記試験・技術試験に合格
2.AJESTHE認定エステティシャン資格の取得後2年以上、または通算5年以上の実務経験を持ち、筆記試験・技術確認試験に合格
なお、いずれも技術試験で不合格の科目がある場合は、科目に対応する対策講座を受講して試験に合格しなければなりません。資格取得後は、ディプロマと資格バッジが付与されます。
引用元
AJESTHE認定上級エステティシャン|日本エステティック協会
AJESTHE認定トータルエステティックアドバイザー
AJESTHE認定トータルエステティックアドバイザー(TEA)は、AJESTHE認定上級エステティシャンのさらに上位の資格。お客様への施術の実践力のみならず、サロンでの指導力も有していることが必要です。
取得の条件は、下記の4つに当てはまること。
・AJESTHE認定上級エステティシャン資格、またはCIDESCO資格を取得している
・AJESTHE認定上級エステティシャン資格取得後2年以上、または通算5年以上の実務経験がある
・所定の資格取得講座を受講
・資格取得試験に合格
エステティシャンの道を極めたい人は、キャリアを積んでぜひ取得を目指してみてください。
引用元
AJESTHE認定トータルエステティックアドバイザー|日本エステティック協会
日本エステティック業協会(AEA)
AEA(日本エステティック業協会)とは、1987年に設立され、おもにエステティシャンの教育や業界の社会的信用と信頼性の確保などを行う団体です。エステティック業界には消費者トラブルや適切な施術などの課題も多く、健全な発展を目指して活動を展開しています。
以下でAEAの3つのおすすめ資格について解説します。
引用元
日本エステティック業協会
AEAについて|日本エステティック業協会
資格取得について|日本エステティック業協会
AEA認定エステティシャン資格取得のフロー|日本エステティック業協会
AEA認定エステティシャン
エステの基礎的な知識および技術を持ち、なおかつ禁忌や注意事項をしっかりと理解したうえで安全な技術を提供できることを認める資格です。
認定校で所定のカリキュラムを受講するか、フェイシャルまたはボディのエステティック実務経験が1年以上あることが求められ、エステティシャンセンター試験に合格することで取得できます。
引用元
日本エステティック試験センター
試験制度|日本エステティック試験センター
AEA上級認定エステティシャン
認定校で所定のカリキュラムを履修した人か、実務経験2年以上、またはAEA認定エステティシャンや同等資格を取得後に実務経験が1年以上ある人を対象にした資格です。より高い知識と技術を問われる、筆記試験と実技試験が実施されます。
AEA認定インターナショナルエステティシャン
AEAのエステティシャンの最上位資格。受験の要件は、以下のいずれかに当てはまることです。
・AEA上級認定エステティシャン資格取得後、実務経験が2年以上ある
・AEA上級認定エステティシャン資格を持っており、通算3年以上の実務経験がある
・前述したTEA資格や、CIDESCOインターナショナルディプロマなどの所定の国際資格を持ち、通算3年以上の実務経験がある
より条件が厳しいですが、そのぶん権威ある資格です。取得できれば、エステティシャンとしてのキャリアに箔がつくでしょう。
おすすめの国内資格|脱毛
エステサロンで提供されるメニューのなかには、脱毛もあります。医療脱毛の場合は国家資格である医師免許や看護師免許が必要ですが、サロンで美容脱毛を行う場合は資格は必須ではありません。しかし、持っているとよい資格もあるのでチェックしてみましょう。
認定電気脱毛士(CPE)|日本スキン・エステティック協会
日本スキン・エステティック協会は、1981年に設立され、スキンエステティック、および美容脱毛に関する正しい知識の教育と普及・調査・研究を行う団体です。1990年に電気脱毛の権威ある団体「米国電気脱毛協会(AEA)」と提携し、1993年からAEAの国際的な資格である「CPE」の日本での試験と認定を行っています。
下記のいずれかの条件に該当する人は、CPE認定試験の受験が可能です。
・電気脱毛の実務経験1年以上、かつ実務時間600時間以上を持ち、CPEの予備試験(実技)に合格
・アメリカの電気脱毛ライセンス(州の免許)を取得後、1年以上の実務経験がある
実技予備試験と筆記試験に合格することで取得に至ります。なお、筆記試験は隔年開催です。
引用元
日本スキン・エステティック協会(JSA)
一般社団法人日本スキン・エステティック協会とは|日本スキン・エステティック協会(JSA)
エステティシャンの方へ CPEとは|日本スキン・エステティック協会(JSA)
CPEになるために|日本スキン・エステティック協会(JSA)
認定登録脱毛師(CRE)|日本脱毛技術研究学会
日本脱毛技術研究学会は、美容電気脱毛の健全な発展を目指して設立されました。国内外の専門家を招いて、積極的に勉強会や講習会などを実施しています。AJESTHEやAEAなどの関係団体とも連携しながら活動中です。
学会が毎年実施する筆記および実技試験により、認定登録脱毛師(CRE)の資格を得ることができます。
試験の順序は問いませんが、実技試験は、実務経験が1年以上ないと受験できません。また、筆記試験は、学会が刊行する問題集でしっかり対策を行ってから臨むのがおすすめです。
試験には衛生用品や白衣などの持参物もあるので、ホームページなどで確認して忘れ物がないように準備しましょう。なお、筆記または実技のいずれかのみ合格した場合、3年以内にもう一方も合格する必要があります。
引用元
日本脱毛技術研究学会
学会活動について|日本脱毛技術研究学会
CRE資格取得要項|日本脱毛技術研究学会
認定脱毛士|日本脱毛安全普及協会
日本脱毛安全普及協会は、連射式脱毛を安全に提供するための知識や技術をサポートする団体。たしかな知識と適切な技術でお客様の安心と安全を守ることを目指し、エステティシャンに対して講座や資格認定を実施しています。
資格には「3級脱毛士」「2級認定脱毛士」「上級脱毛士」の3段階があり、3級脱毛士は所定の講座の受講で取得可能です。
2級認定脱毛士は、エステに限らず美容関連の実務経験が6カ月以上あることが受験資格。所定の対策講座を受講する、または独学で学習したのち、テキストの内容をきちんと理解できているかを筆記試験で問われます。
2級資格を取ったら、さらなる上位資格として、上級脱毛士の資格取得を目指すのもよいでしょう。上級脱毛士は、2級取得と実務経験24カ月以上あることが受験資格で、面接および筆記試験により認定されます。
引用元
一般社団法人 日本脱毛安全普及協会
協会概要 | 日本脱毛安全普及協会(JESA)
脱毛士検定 license | 日本脱毛安全普及協会(JESA)
おすすめの国内資格|施術以外
つづいて、エステティシャンに関する施術以外の国内資格にはどんなものがあるのかを押さえましょう。
AJESTHE認定衛生管理者
前述した「日本エステティック協会」が認定する、公衆衛生や安全確保に関する資格。協会の会員や認定校の学生、AJESTHE認定フェイシャルエステティシャン、AJESTHE認定ボディエステティシャンが対象です。eラーニングで受講でき、衛生管理の基礎を学べます。
確認テストにおいて、50点満点中90%にあたる45点以上を獲得すれば合格(資格取得)です。
引用元
AJESTHE認定衛生管理者資格|日本エステティック協会
AEA認定講師(フェイシャル・ボディ)
AEA認定講師とは、AEA認定校において、エステティシャンとしての実務経験やこれまでの講師経験をもとに、よりレベルの高いエステティシャンの育成を目指して設けられている資格です。
認定を受けるためには、満25歳以上で、AEAインターナショナルエステティシャン資格を持っており、担当分野における講師経験が3年以上、または実務経験が5年以上あることが条件。
豊富な経験と先端の知識や技術を活かし、エステティシャンを目指す認定校の学生に対して熱意のこもった指導を行います。
引用元
認定講師・登録試験官について|日本エステティック業協会
おすすめの国際資格|ボディ・フェイシャル
エステティシャンの資格には国際資格もあり、国際資格を得ると、海外でエステティシャンとして働くことも可能です。そこで、3つの国際資格を紹介します。
Beauty Therapy Diploma|CIDESCO-NIPPON(シデスコ)
エステティックの教育機関として世界的に認められている国際団体「CIDESCO(シデスコ)」は、1946年にベルギーで設立されました。日本では、東京都港区に「CIDESCO-NIPPON」という拠点を構えています。
エステティック全般の知識および技術のレベル向上と、世界中への普及を目的として活動しており、認定校・認定サロン・認定資格などがあります。
シデスコのおすすめの資格として、「Beauty Therapy Diploma」を取り上げましょう。世界に通用する国際資格ですが、日本国内にて日本語での受験が可能です。
Beauty Therapy Diplomaには、2種類の取得方法があります。ひとつは、国内に20校あるCIDESCO国際認定校のいずれかで1,200時間以上のカリキュラムを受講し、国際試験に合格する方法。
もうひとつは、エステティックの基礎教育を600時間以上受けており、エステの実務経験が2年以上、かつ受験申込書類の審査に通過したうえで、所定の試験を受けて合格する方法です。
書類審査・一次試験(筆記)・実技チェック・事前講習・本試験と、合格までの道のりは厳しいですが、取得できればとても有益な資格なので、エステティシャンとして活動の場を広げたい人や名を上げたい人はぜひ目指してみてください。
引用元
CIDESCO-NIPPON
CIDESCOとは|CIDESCO-NIPPON
ビューティーセラピーディプロマ|CIDESCO-NIPPON
INFA国際ライセンス|INFA(インファー)
INFA(国際エステティック連盟)は、1978年に設立された、世界にひとつしかないエステ教育専門の国際機関。ベルギーに本拠地を置き、とくにヨーロッパでは評価の高い団体で、エステ業界では世界のリーダー的存在ともいわれています。
日本では大阪に認定校があり、認定校で取得できる国際的なエステティック資格が「INFA国際ライセンス」です。世界的に権威のある資格で、85点以上の優秀者には「ゴールドマスター」の称号が与えられ、さらに優秀と認められるとゴールドメダルが贈られます。
取得するには、INFAスクールの規定のカリキュラムで全単位を取得して修了試験に合格し、さらに、年2回行われる国際試験を受けて合格しなければなりません。
スクールでは、本場ベルギーの新しい知識や技術を学ぶことが可能です。国際ライセンスを取得できる経験者向けのコースとして、「フェイシャル」「ボディ」「フェイシャル&ボディ」の3つが用意されているので、自分の究めたい道を選んで学びましょう。
引用元
INFA 国際エステティック連盟
国際エステティック連盟(INFA)とは|国際エステティック連盟
INFA国際ライセンスについて|国際エステティック連盟
ICAMライセンス エステティック部門|ICAM(イカム)
ICAMの始まりとして、美容の技術者に関わる資格制度を世界に広めるため、まず2000年に美の本場といわれるフランスで「ICAM FRANCE」が設立されました。
ICAM JAPANは、このICAM FRANCEと提携して、日本やアジアの美の発展に寄与することを目指す団体です。ライセンスを取得するためには、ICAMの認定校で所定の内容を学ぶ必要があります。
ICAMの認定資格は部門別に分かれており、エステティック部門には、フェイシャルとボディのエステの知識や技術を身につけられる4つのライセンスがあります。
原則として、ICAMが認定する学校で学んで取得を目指すもので、もっとも基礎である「認定エステティシャン」資格は300時間、もっとも上位の「マスターエステティシャン」は1,200時間の履修が必要です。
エステティックのスペシャリストとなるべく、接客マナーや適切な対応力、エステの正確な技術などをみっちり学習。その後、試験に合格すればライセンスを取得できます。
なお、十分な実務経験がある、もしくはICAMの教育レベルと同等の講座の受講経験があると認められた場合は、認定校で履修せずに直接受験することも可能です。
引用元
ICAM JAPAN
ICAMライセンス|ICAM JAPAN
エステティシャンの資格を取得する方法
上記で見てきたようにさまざまな資格があることがわかったところで、つづいては、エステティシャンの資格を取るにはどんな方法があるのかを見ていきましょう。
専門学校やスクールで学ぶ
専門学校・スクールで学ぶ方法です。スクールやコースによって、通学するスタイルや、自宅学習ができる通信講座があります。
資格の説明で触れたように、資格によっては認定校での学習が必須というケースもあるので、取得したい資格が明確な場合は受講資格や受験資格をよく確認して勉強に取り組みましょう。
働きながらエステサロンで学ぶ
エステサロンで働きながら知識や技術を習得する方法もあります。資格によっては実務経験の規定があったり、経験が認定校でのカリキュラム修了と同じ扱いになったりすることもあるため、初心者の人は無資格でも応募できる求人を探すとよいでしょう。
自分の目的や希望就職先に合った資格を取得しよう
エステティシャンの資格は種類が多く、今回紹介したものはほんの一部です。自分が希望する施術や就職先の提供サービスに合った資格を取ることが重要で、フェイシャルやボディといったパーツで選んだり、国内資格か国際資格かで決めたりする方法があります。
一定の実務経験が受験条件になっている資格もあるので、未経験でも働けるサロンを見つけて経験を積みましょう。
自分の希望に適う求人情報を見逃さないよう、検索条件を保存したり企業からスカウトを受け取ったりするために、ぜひ求人サイト「リジョブ」に会員登録してみてください。