薬剤師の残業時間は平均何時間?職場別の実態・原因・対策と転職の判断基準

日々業務に追われていると「他の薬剤師はどれくらい残業しているのだろう」「自分の職場は異常なのではないか」と不安に思うこともあるかもしれません。

この記事では、薬剤師の残業時間の実態や残業が増える原因、今の職場でできる対策、転職を検討する際の判断基準まで解説します。


【キャリアアドバイザー原さんのコメント】 

———一時的な感情で相談に来る方も多いのでしょうか? 

たまにいらっしゃいます 。ただ、ほとんどの相談者は長期的に問題を抱えており、コップの水があふれるように耐えられなくなったことをきっかけにご相談をいただくケースが多いです。 残業を理由に転職活動を始めた方の場合、約半年から1年ほど、ほぼ毎日のように残業が続いた末に、ようやく動き出したというケースが多く見られます。

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1. 薬剤師の残業の実態(平均・職場別・繁忙期)

1-1. 平均残業時間の目安と分布

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の月間の超過実労働時間数は、企業規模10人以上・男女計で8時間です。

なお、この調査の「超過実労働時間数」は統計上の定義に基づく指標のため、職場や雇用形態によって実態は大きく異なります。

参考:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
e-Stat「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表1」 

この数字を見ると、「意外と少ない」と感じる方もいるかもしれません。ただし、これはあくまで全国平均です。残業が少ない職場と多い職場が混在しているため、実際の残業時間は勤務先や人員体制、繁忙期の有無によって大きく異なります。全国平均だけで、自分の職場が適正かどうかを判断するのは難しい点に注意が必要です。

1-2. 職場別の傾向(調剤薬局/ドラッグストア/病院/企業)

勤務先によって、残業が発生する理由や時間は大きく異なります。

調剤薬局

調剤薬局では、門前薬局の場合、近隣医療機関の診療終了後に薬歴記入や翌日の準備が残り、残業が発生しやすいことがあります。
ただし、面対応の薬局や医療モール型の薬局、複数店舗を運営するチェーンでは、応援体制や業務標準化が進んでいる場合があり、残業を抑えやすいケースもあります。もっとも、実際の忙しさは立地や人員体制によって大きく異なります。

ドラッグストア

ドラッグストアでは、OTC医薬品の販売に加え、品出しや売場管理などの店舗運営業務も担うため、忙しくなりやすい傾向があります。
シフト制勤務の職場が多いため、職場によっては「平日に休みが取れる」「希望休を相談しやすい」といったメリットを感じる人もいるでしょう。

大手チェーンを中心に、調剤機器や電子薬歴などを活用して業務効率化を進める企業もあります。

病院

病院では、急性期病院や大規模病院を中心に、委員会活動や当直関連の業務、病棟業務などにより残業が発生しやすい傾向があります。
慢性期病院や療養型病院では、急性期病院と比べて業務の見通しが立てやすい職場もあります。ただし、実際の忙しさは病床機能や人員配置によって異なります。

企業薬剤師

企業薬剤師の場合、管理部門や研究職は時期によって業務量に波があるものの、土日祝休みの職場も多く、年間スケジュールを立てやすい傾向があります。
MRなどの営業系職種では、事業場外みなし労働時間制などが採用されるケースもあります。勤務時間の見え方や裁量の大きさは企業ごとの制度によって異なりますが、自分の裁量でスケジュールを組み立てやすく、直行直帰など柔軟な働き方ができる場合もあります。

1-3. 属性別の差(管理薬剤師/新卒・若手/パート・派遣)

役職や雇用形態によっても、求められる役割と残業時間は変わってきます。

管理薬剤師

管理薬剤師は、通常の調剤業務に加え、在庫管理、シフト作成、麻薬管理、行政対応などの管理業務を担うことがあります。店舗スタッフが帰った後に残務処理を行うケースもあり、一般薬剤師より業務負担が大きくなりやすい職場もあります。

新卒・若手

業務に慣れるまでは、調剤スピードや薬歴記入に時間がかかるため、どうしても残業が増えがちです。また、勉強会の準備や自己研鑽に時間を使う場合、勤務時間外も含めて負担を感じることがあります。

パート・派遣

パート・派遣は、契約期間や勤務時間、業務範囲があらかじめ決まっていることが多く、正社員に比べると残業が発生しにくい傾向があります。ただし、契約内容や派遣先の運用によって実態は異なります。 

1-4. 繁忙期や地域差(花粉・インフル期、都市部/地方)

医療機関と同様に、薬剤師の業務にも繁忙期があります。特に忙しくなりやすいのは、インフルエンザや風邪が流行する12月〜2月、花粉症患者が増える2月〜4月頃です。この時期は処方箋枚数が増えやすく、通常の人員体制では対応しきれず、残業が発生しやすくなることがあります。

また、忙しさは地域や立地によっても変わります。都市部の駅近店舗や、地方でも特定の病院に患者が集中するエリアでは、年間を通じて業務量が多くなりやすい傾向があります。反対に、競合が多いエリアの個店などでは、比較的ゆとりを持って働けるケースもあります。

1-5. 残業が発生する主な原因

残業が減らない背景には、以下の4つの主な要因があります。

1.特定の時間帯への処方箋集中 門前のクリニックの診療終了間際に患者が集中し、定時直前に業務がたまりやすくなります。

2.慢性的な人手不足 配置基準に近い人数で運営している場合、急な欠勤や繁忙期に対応しきれず、残業が増えることがあります。

3.薬歴入力の負担 服薬指導の内容を丁寧に記録しようとすると入力に時間がかかり、開局時間外に薬歴記入が残ってしまうことがあります。

4.在宅対応の増加 外来業務の合間に訪問や報告書作成を行う必要があり、業務時間内に対応しきれないことがあります。

1-6. 残業が多い職場に共通する特徴

残業が多い職場では、個人の努力だけでは解決しにくい構造的な問題が隠れていることがあります。

たとえば、常に求人を出している職場では、人の入れ替わりが多く、教育が追いついていない可能性があります。新人が定着しにくい状態が続くと、既存スタッフに負担が偏り、残業が常態化しやすくなります。

また、少人数体制の職場では、一人が休むだけで業務が回らなくなることもあります。休憩が取りづらい、急な欠勤に対応できないといった状態が続いている場合は、現場に余裕がないサインといえるでしょう。

業務の属人化も注意したいポイントです。特定の薬剤師しか分からないルールや手順が多い職場では、周囲がフォローしにくく、業務効率が上がりにくくなります。その結果、特定の人に残務が集中し、残業につながることがあります。

2. 残業に悩んだら確認すべきことと相談の優先順位

残業の悩みを解決するには、感情的に動く前に、まず現状を客観的に整理することが大切です。残業時間や業務内容、残業代の支払い状況などを確認したうえで、適切な相手に順を追って相談していきましょう。

2-1. 現状の「正当性」をチェックする

まず確認したいのは、求人票や雇用契約書に記載されている残業時間と、実際の働き方に大きな差がないかです。入職前に聞いていた内容と実態が大きく異なる場合は、職場に確認する材料になります。

あわせて、サービス残業が発生していないかも確認しましょう。着替え、掃除、薬歴記入などが会社の指示や業務上必要な作業として行われている場合は、労働時間に該当する可能性があります。残業代が適切に支払われているか、勤務記録とあわせて確認しておきましょう。

また、今の残業が一時的なものなのか、常態化しているのかも重要です。繁忙期や一時的な欠員による残業なのか、1年を通じて長時間労働が続いているのかによって、取るべき対応は変わります。

2-2. 相談の優先順位(誰に・どの順で話すか)

残業について相談する際は、いきなり外部機関に相談するのではなく、まずは社内で改善できる余地がないかを確認するのが基本です。相談先は、次の順番で考えるとよいでしょう。

・直属の上司(管理薬剤師・薬局長)
まずは現場の責任者に、「薬歴が溜まっている」「休憩が取れない」「特定の時間帯に業務が集中している」など、具体的な状況を共有します。そのうえで、業務フローの見直しや役割分担の調整を相談しましょう。

・エリアマネージャー・人事部
現場レベルで改善が難しい場合は、エリアマネージャーや人事部に相談します。人員補充、他店舗からの応援、シフト調整など、現場だけでは判断できない対応を検討してもらうためです。

・労働基準監督署などの外部機関
サービス残業の強要や36協定違反など、法的な問題が疑われるにもかかわらず会社が対応しない場合は、労働基準監督署などの外部機関に相談する選択肢もあります。相談前に、勤務記録、給与明細、上司への相談履歴などを整理しておくと状況を説明しやすくなります。

ただし、外部機関への相談は最終手段として考え、まずは社内での相談記録を残しておくとよいでしょう。

3. 転職を決める前にチェックすべき「自己防衛」のポイント

「今の職場がつらいからすぐ辞めたい」と感じたときこそ、まずは現在の状況を整理しておくことが大切です。原因を見極めずに転職すると、次の職場でも同じ悩みを抱えてしまう可能性があります。

3-1. 内部調整(異動など)で解決できないか

会社自体に大きな不満がない場合は、まず他店舗への異動で改善できないかを検討してみましょう。同じ法人内でも、店舗ごとに処方箋枚数や応援体制、人員配置は異なります。

たとえば、忙しい門前薬局から比較的落ち着いた店舗へ異動できれば、残業負担が軽くなることもあります。転職を決める前に、社内で環境を変えられる余地がないか確認しておくと、選択肢を広げやすくなります。

3-2. スキル・スピードの再点検

残業の原因が、薬歴入力の遅さや監査に時間がかかりすぎることなど、自分自身の業務スピードにある場合は、転職しても同じ悩みが続く可能性があります。

もちろん、残業のすべてを個人の努力で解決する必要はありません。ただ、電子薬歴の定型文を見直す、よく使う説明を整理しておく、業務の優先順位を決めるなど、効率化できる部分がないか一度振り返ってみることも大切です。

3-3. 経済的な備えと次の「軸」の確定

勢いで辞めてしまうと、金銭的な焦りから、十分に比較検討できないまま次の職場を選んでしまう可能性があります。

可能であれば3か月分程度の生活費を確保する、または働きながら転職活動を進めるなど、金銭面の不安を減らしておきましょう。そのうえで、「次は年収より残業時間を優先する」「通勤時間よりも人員体制を重視する」など、転職先を選ぶうえで譲れない条件を決めておくと安心です。

4. 残業を減らす実践テクニック

「残業は仕方がない」と諦める前に、現場レベルでできる工夫はいくつかあります。

すぐに大きな変化は出なくても、小さな改善を積み重ねることで、残業時間を少しずつ減らせる可能性があります。

4-1. 業務改善(動線設計・標準化・在庫最適化)

まずは物理的なムダをなくすことから始めましょう。
例えば、使用頻度の高い薬剤を取りやすい位置に配置し直すだけでも、調剤時の移動や探す手間を減らせます。

また、予製(一包化の事前準備など)のルールを標準化し、誰が担当しても同じ品質・時間で作成できるようにマニュアルを整備することも効果的です。

「あの人じゃないと分からない」という属人化を防ぐことが、チーム全体の時短につながります。

4-2. ICT/自動化の活用

テクノロジーの力を借りるのも有効な手段です。近年は、音声入力対応の電子薬歴や、調剤ロボット・全自動分包機などを導入し、対物業務の効率化を図る薬局もあります。

もし導入の決裁権がない場合でも、既存システムのショートカットキーを使いこなす、定型文登録を充実させるといった個人の工夫で、薬歴記入時間を短縮することは可能です。

4-3. タスクシフト/タスクシェア

薬局でも業務の切り分けは重要です。

たとえば、納品検品や在庫整理など、非薬剤師でも担える業務を整理し、薬剤師は対人業務・監査などに集中できる体制づくりが有効です。

なお、薬剤師以外の者が担える業務は、薬剤師が調剤に最終的な責任を負うことを前提に、薬剤師の指示に基づき、薬剤師の目が届く場所で行う一定の作業などに限られます。最終確認は薬剤師が行う必要があるため、店舗の運用ルール(誰が・どこまで・どう確認するか)を明確にして進めましょう。

周囲に協力を仰ぐのは勇気がいるかもしれませんが、「対人業務を充実させるため」という目的を共有すれば、理解を得やすくなるでしょう。

出典:厚生労働省「現行制度上実施可能な業務の推進について」

4-4. スケジュール設計と優先順位付け

業務の優先順位を「緊急度」と「重要度」で整理します。

例えば、月末の請求業務や在庫棚卸しなどは、締切から逆算して少しずつ進めておく「先回り」が大切です。

朝一番にその日のTODOを洗い出し、隙間時間に処理できる業務(予製や在庫確認など)をリストアップしておくと、突発的な対応が入っても慌てずに済みます。

4-5. 定時退社の交渉術

定時で退社したい日がある場合は、朝礼などのタイミングで「本日は〇〇の用事があるため、定時で退社させてください」と事前に共有しておくのも一つの方法です。

その際、「その分、〇時までは集中してここまで終わらせます」と業務責任を果たす姿勢を見せることで、周囲の納得感も得やすくなります。

安全管理や法令順守の観点からも、無理な長時間労働を避け、メリハリをつけて働くことは大切です。

5. 上司・人事への働きかけと是正の進め方

個人の努力だけでは限界がある場合、組織としての対応を求める必要があります。

「つらい」という気持ちを伝えることも大切ですが、あわせて客観的な事実を示すと、改善に向けた話し合いを進めやすくなります。


【キャリアアドバイザー原さんのコメント】 

———仕事が原因だとわかった場合、まず取るべき行動は?

 転職活動を本格的に始める前におすすめしたいのは、現職で改善できないかどうかの確認です 。たとえば、店舗を複数展開しているなら異動願いを出してみたり、上長に相談してみたりするのもいいと思います。 こうした行動をしたうえで、それでも改善・解消が難しい場合は転職活動を進めていいと思います。

あわせて読みたい:転職を考えるべき危険サインとは? キャリアアドバイザーに聞く辞める判断と仕事の将来性


5-1. 業務量をデータで可視化する

上司や経営層に改善を求める際は、具体的な数字を示すことが重要です。「最近忙しいです」と伝えるだけでは、どの程度の負担が発生しているのかが伝わりにくいからです。

たとえば、「昨年同月比で処方箋枚数が120%に増えているが、人員は変わっていない」「直近3か月の一人当たり1日平均処方箋枚数が40枚を上回っている」といった形で示すと、状況を客観的に把握してもらいやすくなります。

薬局の薬剤師数については、1日平均取扱処方箋数40枚につき薬剤師1人以上を配置するという基準があります。

なお、眼科・耳鼻咽喉科・歯科の処方箋については、60枚につき薬剤師1人以上の配置に相当する扱いとされています。

ただし、この基準はあくまで薬剤師数に関する基準であり、残業の有無や現場の忙しさをそのまま判断できるものではありません。処方内容や在宅件数、対人業務の比重、機器導入状況、事務体制などもあわせて確認することが大切です。 

薬歴未記載件数の推移や、残業時間の月別推移などもあわせて整理しておくと、より説得力が増します。

5-2. 36協定・人員計画・応援体制の再設計を提案

労働基準法に基づき、時間外労働には36協定による上限規制があり、原則として月45時間・年360時間とされています。臨時的な特別の事情があり、特別条項付き36協定を締結している場合でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内、月100時間未満などの上限があります。

残業時間が上限を超えそうな状況であれば、会社にとってもコンプライアンス上のリスクが高まります。そのため、相談する際は「自分が大変だから何とかしてほしい」という伝え方だけでなく、「法令順守の観点から、応援体制を見直す必要があるのではないか」といった形で伝えると、組織として検討してもらいやすくなります。

繁忙期だけでも他店舗から応援を入れる、派遣スタッフを活用する、シフトを見直すなど、具体的な改善案を添えて相談すると、話が前に進みやすくなります。

5-3. 申し入れの記録化とフォローアップ

面談や相談を行った際は、その内容を必ず記録に残しましょう。

「いつ」「誰に」「どのような改善を求めたか」「会社側はどう回答したか」を議事録やメールで残しておくことは、万が一のトラブルの際に自分を守る証拠となります。

また、一度伝えて終わりではなく、「先日の件、検討状況はいかがでしょうか」と定期的にフォローアップすることも大切です。

6. 改善しない場合の選択肢

さまざまな働きかけをしても状況が変わらない場合や、体調に影響が出始めている場合は、環境を変えることも選択肢に入ってきます。
ここでは、健康とキャリアを守るために検討したい選択肢を整理します。


【キャリアアドバイザー原さんのコメント】

———まず転職を検討するべき「危険サイン」を教えてください。

 心身の不調が長期的に出ているときは、転職を検討してみるのもひとつの選択肢だと思います 。これまでには、出勤前にストレスを感じる、夜眠れない、食事があまり取れないという理由でご相談に来た方もいました。あと、3ヵ月以上続く悩みは今後解決する可能性が低いので「危険サイン」といえるでしょう。 ただし、 まずは原因を特定することが大切です 。周囲に相談したり、どの部分で悩んでいるのかを書き出したりして、冷静に見つめ直してみてください。その過程で症状が和らぐケースもあります。そして、仕事が原因だとわかった場合に、転職を選択肢のひとつとして考えてみてほしいです。

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6-1. 部署異動・配置転換の依頼と伝え方

大手チェーン薬局や病院であれば、店舗異動や部署異動によって状況が改善する可能性があります。同じ法人内でも、店舗や部署によって処方箋枚数、人員体制、業務内容は大きく異なるためです。

異動を希望する際は、「今の店舗が嫌だ」というネガティブな理由だけで伝えるよりも、「より落ち着いて患者さんと向き合いたい」「在宅業務に力を入れたい」など、前向きなキャリア形成の視点を含めると相談しやすくなります。

6-2. 転職の判断基準

「どのラインを超えたら転職すべきか」に正解はありませんが、以下のような状態が続いている場合は、早めに今後の働き方を見直すことをおすすめします。

・月の時間外労働が恒常的に45時間を超えている
・残業代が適正に支払われていない(サービス残業がある)
・業務過多により、インシデント(調剤過誤など)への不安が常に消えない
・休日に疲れが取れず、仕事に行くのが精神的につらい

これらに当てはまる場合、個人の努力だけでは解決しにくい構造的な問題が背景にある可能性があります。


【キャリアアドバイザー原さんのコメント】

───残業代未払いなどの法令違反がある場合、どのように即時の退職・転職をアドバイスしていますか? 

まずは職場に改善を求めたかどうかを確認します。もし職場に相談しても改善が見込めない場合は、転職を検討したほうがよいとお伝えします。残業代未払いは労働基準法違反にあたる可能性があり、長く働き続けても同じ問題が続くケースもあるためです。生活や精神面への影響も考慮し、転職など環境を変える選択肢を提案することもあります。


6-3. 残業少なめ求人の見極めポイント

次の職場で同じ悩みを抱えないためには、求人票の表現をそのまま受け取るのではなく、具体的な実態まで確認しておく必要があります。

特に確認したいのは、平均残業時間の実績です。「残業少なめ」といった曖昧な表現だけで判断せず、月平均で何時間程度なのか、繁忙期にはどのくらい増えるのかを確認しましょう。

人員配置にも注目が必要です。処方箋枚数に対して薬剤師や事務スタッフの人数に余裕が少ない職場では、急な欠勤や繁忙期に負担が増えやすくなります。面接や見学時には、処方箋枚数だけでなく、薬剤師・事務スタッフの人数や応援体制も確認しておくと安心です。 

管理薬剤師の働き方も見ておきたいポイントです。管理職が常に現場業務に追われている職場では、マネジメントや教育に手が回らず、現場全体の負担が増えやすい場合があります。

また、固定残業代が含まれている求人では、実際の残業時間や超過分の支払いルールを必ず確認しましょう。固定残業代があるからといって必ず残業が多いとは限りませんが、給与条件だけで判断せず、働き方の実態まで確認することが大切です。


【キャリアアドバイザー森さんのコメント】 

───「年収が高いだけの、割に合わない管理薬剤師」を回避する見極め方は?

 雰囲気ではなく、定量的な情報で判断することが大切です。たとえば、処方箋の科目や枚数、人員体制、勤務時間、残業時間などを確認します。もし「この処方箋枚数で残業がほとんどないのに高年収」といった状況であれば、業務量とのバランスが不自然な可能性もあります。こうした数字を客観的に見ることで、求人の実態を見極めやすくなります。


6-4. 面接・見学での確認質問リスト

面接や職場見学は、リアルな実態を知るチャンスです。ストレートに聞きにくいことも、質問の仕方を工夫すれば確認できます。

・「皆さん、普段は何時ごろに退社されることが多いですか?」
・「繁忙期と閑散期の業務量の差はどのくらいありますか?」
・「電子薬歴や調剤機器など、業務効率化のために導入されているものはありますか?」
・「急なお休みが必要になった場合のフォロー体制について教えてください」

6-5. エージェントの賢い使い方と注意点

働きながら転職活動を進めるのは負担が大きいため、転職エージェントを活用するのも一つの方法です。

エージェントによっては、求人票には載っていない「現場の雰囲気」や「実際の残業時間」に関する情報を把握している場合があります。

「残業は月10時間以内を希望します」「ワークライフバランスを最優先したいです」など、譲れない条件を最初に明確に伝えておくことが、ミスマッチを防ぐポイントです。


【キャリアアドバイザー原さんのコメント】 

 ───転職後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、原さんが面談で必ず確認している項目は何ですか?

まず「何が嫌なのか」「何を改善したいのか」をしっかり聞いています。たとえば「残業が多い」と言っても、人によって感じ方は違います。実際に何時に帰っているのか、どのくらいの残業があるのかなどを具体的に確認し、できるだけ数値ベースで整理するようにしています。そのうえで、残業時間が40時間から20時間に減るなど、改善につながる可能性のある求人を提案するようにしています。


転職エージェントを利用する場合は、希望を「残業月10時間以内」「年間休日120日以上」など具体的な数値で伝えると、希望に近い求人を紹介してもらいやすくなります。

薬剤師の仕事探しなら「ファーマキャリア」

「今の職場は残業が多くて限界かもしれない」と感じたら、まずは外の求人情報に目を向けてみるのも一つの方法です。自分一人で希望に合う職場を見つけるのが難しい場合は、薬剤師専門の転職サービスを活用する選択肢もあります。 

ファーマキャリアの特徴のひとつは「オーダーメイド求人」

ファーマキャリアでは、薬剤師専門のコンサルタントが希望条件をヒアリングしたうえで、条件に合いそうな求人を提案します。主な流れは以下の通りです。

・薬剤師専門のコンサルタントが、希望条件を丁寧にヒアリング
・希望エリア内の薬局・病院・ドラッグストアなどから、条件に合いそうな求人をピックアップ
・希望条件に近づくよう交渉を重ねたうえで、登録者に求人を提案 

希望内容を具体的に伝えることで、納得感のある転職先を検討しやすくなります。残業時間や働き方に不安がある方は、まず希望条件を整理し、現在の職場と比較しながら次の選択肢を検討してみましょう。


監修者

原瑞希
薬剤師専任キャリアアドバイザー
薬剤師免許保有

【経歴・実績】
・ドラッグストアチェーンにて薬剤師として3年間従事
・2024年度 新人賞(銀賞)受賞

【プロフィール】
元薬剤師として現場の空気感やストレスを肌感覚で理解しているため、悩みへの深い共感が可能です。
求人紹介だけでなく、入社後の教育体制まで徹底確認して提案。生活の変化を具体的にシミュレーションし、不安のない転職を支えます。

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