リンパマッサージは国家資格が必要?リンパドレナージとの違いや資格の種類と取得方法を紹介

リンパをケアする方法として、「リンパマッサージ」や「リンパドレナージ(リンパドレナージュ)」という言葉が使われることがあります。

どちらもリラクゼーションサロンや医療機関で治療や体調管理の一環としておこなわれる施術ですが、具体的にどのようなケアをおこなっているのか分からないという人もいるかもしれません。

そこでこの記事では、リンパマッサージやリンパドレナージについて詳しく紹介したのち、リンパをケアするにあたって国家資格が必要なのかどうかや、関連する資格の種類、取得方法などをお伝えします。

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リンパマッサージとドレナージの違いとは?

リンパマッサージもリンパドレナージもリンパの流れにアプローチするという面では同じですが、施術の違いとしてマッサージは「圧をかける」、ドレナージは「さする」のが基本です。

ドレナージとはフランスで発祥した医療行為のひとつで、フランス語では「ドレナージュ」と発音することもあります。(今記事では以下「ドレナージ」とします)

リンパ液の流れをハンドケアによって改善することで、浮腫みや鼻炎などの症状を緩和できることが認められており、日本国外では医療行為としておこなわれているケースもあります。

リンパドレナージをするには国家資格が必要?

リンパマッサージやリンパドレナージといった「リンパケア」は、人の体内に存在するリンパ液の流れを促進し、老廃物除去の効率性を高めることなどを目的とする施術です。

自分自身のむくみをケアする場合はそれほど重要ではないかもしれませんが、リラクゼーションサロンなどでお客様にリンパドレナージをする場合は、正しい知識と技術を持っておこなう必要があります。

リンパ節が体のどこにあるかや、リンパ液がどのように体を巡っているのかなどしっかりと把握しておくことが大切です。

施術スタイルが一般的なマッサージに似ていることから、リンパケアにおいても国家資格が必要なのではと考える方は少なくありません。

そこで、「リンパケアをおこなう際に国家資格は必要であるか否か?」について解説していきます。

リンパドレナージの国家資格はない|治療の場合は国家資格保有者がおこなう

リンパドレナージに関する国家資格は今のところありません。しかし、がんの後遺症である「リンパ浮腫」を緩和するための治療としてリンパドレナージをする場合は、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師といった国家資格が必要です。

上記のような医療系の国家資格保有者を対象としたリンパドレナージの民間資格もあり、リンパ浮腫の治療を適切におこなうために資格を取得している人もいます。

「マッサージ」は本来あん摩マッサージ指圧師や医師などがおこなうもの

厳密な意味での「マッサージ」とは、あん摩マッサージ指圧師や医師がおこなうマッサージ施術のことを指します。あん摩マッサージ指圧師や医師は国家資格のため、マッサージをおこなう際は例外なく国家資格が必要です。

それに対してリンパケアは、厳密な意味でのマッサージには含まれていません。そのため、リンパケアサロンなどで施術をおこなう人の多くは民間資格を取得しています。しかし、リンパケアの資格は必須ではないため、取得していなくても施術をおこなうことは可能です。

とはいえ、マッサージと同様に一定の技術が必要なリンパケアを無資格でおこなえることに対する疑問の声は存在することから、疾患の改善など医療面でのリンパケアをおこないたい場合は、国家資格を取得した方がよいでしょう。

また、無資格者がリンパケアでもそうでなくても、「マッサージ」と表現して施術をおこなうことはできません。あん摩マッサージ指圧師等しかおこなえない、有資格者の施術をおこなっていると思われる可能性があるためです。

国家資格|あん摩マッサージ指圧師

職業としてマッサージをおこなうことを考える多くの方が取得を目指す資格が「あん摩マッサージ指圧師」です。

この資格は国家資格でもあり、医師免許などを取得している人を除いて、マッサージを仕事としておこなうすべての人が取得していなければなりません。

あん摩マッサージ指圧師の資格は国家資格である以上、簡単に取得できるものではありませんが、医師免許に比べれば難易度は低いため、これからマッサージ師として働くことを考えている方は、まずはこの資格の取得を目指すのがよいでしょう。

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リンパドレナージの資格には医療用と美容リラクゼーション用の2種類の資格がある

リンパケアの資格には、医療用と美容リラクゼーション用の2つのタイプがあります。

医療用は、リンパ浮腫をケアするための「治療」としてリンパドレナージの知識や技術を身につける資格です。また、先にも述べたように、治療を目的とする場合、医師・看護師・あん摩マッサージ指圧師などの国家資格が必要になることも頭に入れておきましょう。

一方、美容用は、むくみの解消やデトックス・ダイエット・リラクゼーションを目的としたリンパドレナージの知識と技術を身につけられます。

では、それぞれの施術内容について詳しく見ていきましょう。

医療リンパドレナージの施術内容|リンパ浮腫とは

医療用リンパドレナージは、皮膚をやさしくさするように動かし、リンパ液を正常なリンパ節へ誘導し排出させます。

リンパ浮腫の9割は続発性で、おもな原因はがんの手術によってリンパ節やリンパ管を切除あるいは損傷してしまったり、放射線治療によってリンパが流れる道にダメージを負ってしまったりすることです。

とくに、子宮がん・卵巣がん・乳がん・前立腺がんなどの手術後に発症するケースが多いといわれています。

一度発症してしまうと治りにくく、重症化した場合は日常生活に支障が出てしまうこともあるため、早期に発見することが大切です。

美容リラクゼーションリンパドレナージの施術内容

サロンによって施術の内容や方法に違いがありますが、足の付け根やわきの下にあるリンパ節に向かって、不要な水分や老廃物などを流してろ過させ、リンパ液が体に巡るようにうながすのが一般的です。

オイルやジェルを使って、直接身体に触れておこなうところが多く、鎖骨や首周りの筋肉をほぐしてから始める方法や、指先などの末端部分から始める方法などがあります。

リンパドレナージの資格を取得する方法

つづいて、リンパドレナージの資格を取得するにはどうすればいいのかを解説します。

医療用リンパドレナージの資格を取得する方法

医療用リンパドレナージの資格取得には、主催している団体が行っている講座の受講などが必要です。ただし、受講などの条件として医療系国家資格の所持や実務経験が求められることがあります。

美容リラクゼーション用リンパドレナージの資格を取得する方法

美容リラクゼーション用の資格を取りたい場合は、スクールで学ぶ方法と通信教育で学ぶ方法があります。それぞれ下記でチェックしましょう。

スクールで学ぶ

スクールは講師から直接学んだり、人の体に触れながら実習をおこなったりすることができるのが特徴です。スクールによっては、就職のサポートや開業支援が受けられるところもあります。

正しい知識・技術が基礎から学べるため、今後リンパドレナージの施術を仕事にしたい人や実務経験のない人におすすめです。

開講スケジュールが決められているスクールもあれば、自分のスケジュールに合わせて通えるスクールもあるので、自分に合った通い方で取得を目指しましょう。

スクールによっては資格は取得できず、修了証や認定証しかもらえないこともあるので事前に受講期間や費用とあわせて確認しておきましょう。

通信講座で学ぶ

通信講座は、テキストやDVDなどの教材を使って、自分のペースで学習できます。教材の内容や施術について学習したのち、課題を提出したり試験に合格したりすることで、資格を取得できます。

なかには、施術に必要な道具も送られてきたり、スクーリングが数回含まれていたりする講座もあります。

とはいえ、スクールほど実習を重ねることはできないため、リンパドレナージの実務経験がある人やセルフケアを目的とする人におすすめです。

講座によって受講期間や費用には違いがありますが、スクールよりも費用が抑えられます。

医療用リンパドレナージのおもな資格

ここでは、医療用リンパドレナージの資格にはどのようなものがあるのかを紹介します。

医療リンパドレナージセラピスト

医療リンパドレナージセラピストとは、リンパ浮腫の治療を目的とした「複合的理学療法」の理論と技術を身につけられる、講習会形式の資格。医師・あん摩マッサージ指圧師・理学療法士などの国家資格を持っていることが受講の前提です。

初級・中級の講習を経たのち、修了試験の合格によって取得できます。

引用元
日本医療リンパドレナージ協会|医療リンパドレナージセラピスト

リンパ浮腫セラピスト

リンパ浮腫セラピストは、リンパ浮腫に対して適切なアプローチをおこなえる技術者を育成するために設けられた資格。

全18回の講座で座学33時間と実技67時間を学び、両方の試験に合格しなければなりません。また、受講には、医療リンパドレナージセラピストと同じく医療系資格が求められます。

引用元
THAC医療従事者研究会|リンパ浮腫セラピスト育成講座

ICAA認定リンパ浮腫専門医療従事者

リンパ浮腫専門医療従事者は、リンパ浮腫の患者に対し、リンパドレナージ・スキンケア・圧迫療法・日常生活の指導などをおこなえる専門家を育成するための資格です。

ライフプランニングセンターによる「リンパ浮腫研修」と、ICAA認定リンパ浮腫専門医療従事者の実技研修を受講後、認定試験に合格することで取得できます。受講には医師・看護師・理学療法士・作業療法士のいずれかの資格が必要です。

引用元
ICAA|リンパドレナージの資格取得
ライフプランニングセンター|リンパ浮腫研修 E-LEARN

美容リラクゼーション用リンパドレナージのおもな資格

つぎに、美容リラクゼーション用リンパドレナージの資格の種類について見ていきましょう。

オリエンタルリンパドレナージュ講座

オリエンタルリンパドレナージュ講座は、「たのまな」が実施するリンパドレナージの通信講座で、インターナショナル美容鍼灸協会が認定する資格です。ツボとリンパを組み合わせた施術によってケアします。

eラーニングで学び、課題を提出。添削してもらい、すべてに合格することで取得できます。

引用元
ヒューマンアカデミー|リンパの資格が取れる通信講座一覧
インターナショナル美容鍼灸協会|協会認定資格

リンパケアセラピスト

リンパケアセラピストとは、身体の仕組みやリンパケアの知識・技術などを学べる資格。アロマオイルを使用したリンパトリートメントをおこなうことが大きな特徴です。

日本能力開発推進協会が主催しており、「キャリカレ」で所定のカリキュラムを受講後、自宅で受験して合格すれば取得できます。

引用元
キャリカレ|リンパケアセラピスト資格取得講座
日本能力開発推進協会|リンパケアセラピスト

リンパリファインセラピスト

リンパリファインセラピストとは、グローバルボディケア総合学院が実施し、同学院と国際セラピスト支援振興協会(ITSA)が認定する資格です。

オリジナルのメソッドをテキストやDVDで本格的に学ぶことができ、初心者でもしっかりとリンパケアの技術を身につけられます。カリキュラム修了後、確認問題の提出をすれば取得できます。

引用元
グローバルボディケア総合学院|リンパセラピスト資格取得の通信講座

リンパセラピスト

リンパセラピストとは、アロマ・リンパセラピスト協会(ALTA:Aroma Lymphatic massage Therapist Association)が認定する資格です。人体のメカニズムやリンパ免疫学などの知識とリンパトリートメントの技術を習得し、ボディへのリンパトリートメントやコンサルテーションがおこなえる人に認められます。

ALTAの会員登録後、規定のカリキュラムを修了しカルテを10枚提出。さらに認定スクールでおこなわれる資格試験に合格することで取得可能です。

引用元
アロマ・リンパセラピスト協会|認定リンパセラピスト資格取得講座

フェイシャルリンパセラピスト

フェイシャルリンパセラピストは、フェイシャルリンパケアのスペシャリストとして日本能力開発推進協会が認定する資格です。

フェイシャルリンパトリートメントの基礎知識や、アロマオイルの効能といった専門知識と、フェイシャルリンパトリートメントの技術を習得した人に認められます。

資格取得の条件は、認定教育機関で規定のカリキュラムを学習したのち、知識や技術に関する能力を問う試験を在宅で受け、合格することです。

日本能力開発推進協会|フェイシャルリンパケアセラピスト

資格取得を目指して! リンパケアの技術を学べるスクール・講座を紹介

セラピストとしてリンパマッサージをはじめとしたリンパケアをおこなうためには、民間資格を取得できるスクールや講座を利用するのがおすすめです。

続いては、リンパケアの技術を学べるスクール・講座を3つご紹介します。医療系の資格保有を前提とした、上級者向けスクールもあるので、募集要項を確認してください。

日本医療リンパドレナージ協会|医療リンパドレナージセラピスト講習会

日本医療リンパドレナージ協会では、医師・正看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師の各資格を取得した方や、これらの資格取得を目指す学生を対象とした講座として「医療リンパドレナージセラピスト講習会」を実施しています。

この講座では初級・中級・上級向けの講習だけでなく、「ブラッシュアップ講習会」や「スキルアップ講習会」「特別講習会」などに参加することができます。したがって、それぞれの習熟度に合った学習ができる点は大きなメリット。

講習会後に修了試験も受けられることから、国家試験へ向けた最後のステップとして充実した学習ができます。

引用元
日本医療リンパドレナージ協会|医療リンパドレナージセラピスト養成講習会

フランシラナチュラルセラピストスクール|リンパ浮腫セラピスト養成講座

フランシラナチュラルセラピストスクールが実施している「リンパ浮腫セラピスト養成講座」は、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・マッサージ師の各資格を取得した方が参加できます。講座を受けると「リンパ浮腫セラピスト」認定を取得することができます。

この講座では1年間をとおして合計120時間の研修を受けられることから、じゅうぶんな時間をかけてじっくりと実践的な技術を身につけたい方におすすめです。全12回の実技コースや全6回の臨床コース、全3回の医療リンパドレナージ講習会などもおこなわれているため、習熟度や目標に応じて追加受講を検討してみるのもよいでしょう。

引用元
フランシラナチュラルセラピストスクール|リンパ浮腫セラピスト養成講座

ジャパン・エコール・デ・アロマテラピー|マニュアル・リンパドレナージ(MLD)資格対応コース

ジャパン・エコール・デ・アロマテラピーでは、「Dr.ボッダーアカデミー認定マニュアル・リンパドレナージ(MLD)資格対応コース」にてリンパドレナージ技術の習得を図ることが可能。

同スクールが定める方法で解剖生理学とボディマッサージについて学んだ方が対象です。

特徴としては、1932年にエミール・ボッダー博士によって考案された国際的な施術技術、「マニュアル・リンパドレナージ(MLD)」を学べる点が挙げられます。施術技術を理論から学ぶこともできるため、施術に関する深い知識を得られる点もメリットです。

なお、同スクールではDr.ボッダーアカデミー認定マニュアル・リンパドレナージLevel 1~Level 3までの資格取得を目指せます。なお、MLD Level 3を目指す方は、別途受講料が必要です。

引用元
ジャパン・エコール・デ・アロマテラピー|マニュアル・リンパドレナージ(MLD)資格対応コース

正しい知識と技術を習得するためには資格取得がおすすめ!自分に合った資格を取得しよう

リンパマッサージやリンパドレナージは、リンパにアプローチをするという意味ではどちらも同じですが、施術方法に違いがあります。また、治療を目的とした施術をする場合は医療系の国家資格が必要です。

美容リラクゼーションでも、リンパ節やリンパの流れなどの正しい知識と技術の習得が欠かせません。

民間資格は、通信講座や認定教育機関などで取得を目指す方法があり、取得の条件もさまざま。どんな知識や技術を習得したいか考え、自分に合った資格の取得を目指しましょう。

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