こんな間違い、あるある!接客で求められる【言葉づかい&話し方・セミナー#1】
「かった」「から」「ほう」は要りません!
きちんとした言葉づかいができるようになると、きちんとした人に見え、まわりから信頼されるようになります。いちいち言葉尻をとらえ揚げ足を取らているみたいででめんどくさい、と思うかもしれません。でも、接客業においては「お客さまの気持ちを害さないこと」が基本。毎日楽しく、気持ちよく仕事をするためにも、正しい言葉づかいを身につけましょう。
「よろしかったでしょうか?」
コンビニエンスストアや居酒屋の店員さんからよく聞くこの言葉。いわゆる”バイト敬語”の代表格です。でも、20代の人は、いえ30代の人の中にも「この言い方のどこが悪いの?」と感じる人がいるのではないでしょうか。
実際、この言い方がよく使われるようになったのは10年ほど前から。年配の人には耳慣れなくても、若い世代にはあまり違和感がないかもしれませんね。
では、「よろしかったでしょうか?」が本当に正しいのか、それともやっぱり間違っているのか。
日本語の専門家の多くは「間違っている」という意見。「かった」は過去形を示す言い方だからです。たったいま注文を受けた場合には、「かった」を取って「よろしいでしょうか?」が正解です。
一方、「間違ってはいない」という意見もあります。「よろしいでしょうか?」が相手の意思や判断を確かめる言い方なのに対して、「よろしかったでしょうか?」は「(あなたの意思や判断はうかがったはずですが)私の認識はこれで間違いないでしょうか」と自分の認識を確認する言い方。そこには相手への配慮があり、ていねいな言い方だという意見です。ほかに、北海道や東北地方では「かった」と語尾を過去形にすることが多いから、言葉の使い方として間違いではない、という声もあります。
しかし、ある調査によると「よろしかったでしょうか?」は今どきの話し言葉として「嫌いな言葉」ランキングの第1位。理由は、たとえばコーヒーを注文して「コーヒーでよろしかったでしょうか?」と言われると、「本当にコーヒーでいいのか、と聞き返されているみたい」「自分が間違ったものを頼んだような気持ちになり、不愉快」etc。
また、「耳慣れないから、気持ちが悪い」という声も。これは50代以降の人に多い意見です。
これらのことから考えると、「よろしかったでしょうか?」は100%間違いとは言い切れませんが、とくに年配の人に対しては使わないほうが無難。また、バイト敬語であるだけに、社会人となってビジネスの場でも使い続けていると半人前としか扱ってもらえないかもしれません。
→正しい言い方
「よろしいでしょうか?」
「10000円からお預かりします」
これも、”バイト敬語”と呼ばれるものの一つ。コンビニエンスストアで会計の際、よく耳にします。あまりにも聞きすぎて、「〜円から」がスタンダードな言い方になったのかと思うほど。
でも、言葉の使い方としてはNG。
「(お預かりした)10000円からのお返しで、3000円です」という場合は「から」でも間違ってはいませんが、お金を預かった時点では「から」は必要ありません。
正しい言い方は、「から」を取るだけの「~円お預かりします」です。
ちなみに「よろしかったでしょうか?」と「~円から」のダブル、つまり「10000円からでよろしかったでしょうか?」は最悪との声多し。
代金が少額、あるいは端数がある場合に「小銭をお持ちではありませんか?」という意味で使っているかもしれませんが、客側からすれば、「こちらは10000円を出したくて出したのだから、確認しないで」「もし、釣り銭に小銭が不足しているなら、最初からそう言ってくれればいいのに」。
→正しい言い方
「10000円お預かりします」
「お茶のほう、お持ちしました」
最近、待ち時間などにお客様に飲み物を提供するサロンも増えてきたようです。そのとき、何気なく「お茶のほう、お持ちしました」と言っていませんか?
でも、「ほう」は要りません。「お茶をお持ちしました」が正解です。
「~のほう」は、2つあるうちの1つを指す場合に使う言い方。たとえば、コーヒーとお茶があって、自分は「コーヒーのほうが好き」というようにです。
ただ、相手にお茶とコーヒーのどちらかを選んでもらう場合は、「お茶とコーヒー、どちらのほうにいたしますか?」はNG。「ほう」は要りませんし、「いたしますか?」は敬語の使い方として誤っています。「お茶とコーヒー、どちらになさいますか?」「お茶とコーヒーがございますが、どちらがよろしいでしょうか」が正解です。
→正しい言い方
「お茶をお持ちしました」
「お茶とコーヒー、どちらになさいますか?」
<参考資料>
1)株式会社協同宣伝「ビジネス場面で信頼感を落とす話し言葉」とは?(2013年)
2)文化庁「2013年度国語に関する世論調査」
敬語の使い方まちがい!あれこれ「Q&A」 接客で求められる【言葉づかい&話し方・セミナー#2】