シャネルのオートクチュールをヒントに。幾重にも彩りを重ねた職人技が他を圧倒!【金賞受賞・向田夏希さん】#2

株式会社b-exのプロフェッショナル向けカラーブランド『KIRATERA』が、国内外の理美容師および美容学生を対象としたブランド初のコンテストを開催。写真審査を勝ち抜いたファイナリスト20名が2025年10月21日、両国国技館に集結しました。

前編では、審査員を務めたTHE SLICK代表 樗木佑太さんとPELE代表 RYUSEIさんのお話をご紹介しました。

後編では、金賞を獲得した向田夏希さんが写真審査からファイナル審査に進むまでどのような準備をしたのか、ファイナルではどのような心境でステージに臨んだのか、賞を獲得するにはどのような心構えが必要なのかを伺います。

お話を伺ったのは…

THE SLICK店長

向田夏希さん

学生時代からさまざまなコンテストにチャレンジし、その受賞歴は枚挙にいとまがないほど。ハイトーンカラーや黄味をコントロールしたブロンズへアを得意とし、セミナー講師としても活躍。

予定していたモデルがキャンセル! 土壇場で出場を決意

こちらが写真審査用に送った作品。ファイナルへ進むためにインパクトを重視したそう。

――KIRATERA CONTESTに出場すると決めたのはいつですか?

写真審査の締め切りギリギリだったと思います(笑)。

「出よう」とは思っていましたが、予定していたモデルさんがキャンセルになってしまい「ちょっと難しいかも」と半分諦めていたんです。

――そんなアクシデントが!?

別のコンテストにお願いしていたモデルさんに何気なく「『KIRATERA』のコンテストに出られなくなっちゃったんだよね」って話をしたら、「出たい!」って言ってくれたんです。

――話してみるものですね。

ただ彼女はまだ中学生で、校則で髪を染められないんです。それにモデル事務所に所属しているので、「まずは会社と保護者の許可をもらってからにしよう」ということになりました。

――ファイナルのステージに立っていたのは中学生だったんですか!

会社と保護者の許可が出たので、ファイナルに向けてまずは写真審査をパスしなければいけません。

考える時間もあまりなかったので、とにかくインパクトがあってグッと見てもらえる作品を作ろうと思いました。

――それがあのショートヘアの作品ですね。

写真審査では背景とか表情もけっこう重要なんです。このモデルさんは表情をものすごく上手く作ってくれるので、彼女の個性も生かした作品になりました。

作品の作り込みにはシャネルの職人技がヒントに

こちらが金賞を受賞した作品。色を抜いて染め上がるまで20時間以上かかったそう。

――ファイナルステージ進出が決まってからの準備は?

サロンワークでやっていることを作品には使いたくない。仕込みにかける時間に制限はありませんから、とにかくスキルフルで面倒で細かい作業をしようと思っていました。

――今回のテーマが「オートクチュール」でしたが、何か参考にしたものは?

たまたまシャネルが日本の職人さんとコラボした手仕事が観られる展覧会があったんです。

オートクチュールってパッと見ただけでは分からないけれど、近づいてみると生地にスパンコールがびっしり縫い付けられていたり、繊細な刺繍があったり。どれだけ時間がかかっても職人たちがマックスでいいものを作っているんですね。職人の手仕事を観て、「このレベル感だ!」と思いました。

――確かに、向田さんの作品は「手仕事」という言葉がぴったりです。

まず全体をホワイトにしてから黒をかぶせています。そこからさらに色づけしました。

彼女はまだ中学生ですから髪を傷めないようにケアしながら施術したので、ちょっと時間はかかりましたけれど。

――カットは?

もともとワンレングスだったんですが、動きが出るようにカットしました。

――衣装も重要なポイントですよね。

髪が長い分、それだけでインパクトがあります。なのでシンプルで洗練されたデザインの服がいいと思ってバレンシアガの服を選びました。

――ファイナルステージ当日に向けて、どんな準備をしましたか?

ステージでは20分間以内でスタイルを仕上げなければいけません。本当はしっかり準備したかったんですが、体調を崩してしまって。最終調整が十分にできなかったんです。

――そんなことが!

サロンワークがあったりセミナーの講師もあったり、時間が取れなくて前日の夜8時から朝5時まで最終調整をしました。モデルさんには「いったん家に戻って少し寝てから会場に」と言いましたが、私は会場に持って行く物を準備しなければいけなかったので、一睡もできませんでした。

――体調が悪いのに!?

怖くて熱を測れませんでした(笑)。もっと時間があれば、いろいろな部分を細かくチェックできただろうと思います。でもコンテスト前日は最悪な状態だったんです(笑)。

――ステージに立つとき、緊張しませんか?

体調が悪かったせいで、緊張もプレッシャーも感じずにすみました(笑)。

『KIRATERA』の開発に携わっている樗木が審査員にいて、私自身もサロンで『KIRATERA』を使ってセミナーの講師も務めている。それなのに何の賞も取れなかったら…というプレッシャーはすごくありました。

――コンテスト常勝の向田さんでもプレッシャーがあるんですね。

練習や調整をすれば不安はなくなりますが、今回は具合が悪くて思い通りになりませんでした。負ける可能性もありましたが、「体調が悪いんだから仕方ない」と割り切れたのがよかったですね(笑)。

――コンテストの後は眠れましたか?

モデルさんの髪を元の黒髪に戻さなくてはいけなかったので、打ち上げも何もなくサロンに戻りました(笑)。次の日は福岡でセミナーがあったので、とにかく体調を戻したかったですね。

受賞歴の賞味期限はせいぜい3年。だから挑み続ける!

THE SLICKの店長としてサロンワークと後輩の育成に携わりながら、セミナーの講師としても活躍する向田さん。

――向田さんはすでに実績もあるのに、コンテストに挑戦し続けるのはなぜですか?

どんなに大きなコンテストでも、「賞を獲った」という効力が保つのは1年か長くて2~3年じゃないですか。だから更新し続けなければいけないと思っています。

――それが向田さんの原動力になっているんですね。

今回のKIRATERA CONTESTも初開催というのも大きな意味がありましたし、何よりテーマが「オートクチュール」だったのにも惹かれました。

――テーマは重要ですか?

もし「あなたの考えるネクスト トレンド」だったら、出るかどうか悩んだと思います(笑)。

トレンドをピラミッドで表すと、私が本当に打ち出したいのはピラミッドの頂点。でも「ネクスト トレンド」となると万人にも受け入れられる要素が必要です。そう考えると、自分の考えを抑えた表現にならざるを得ません。

――そこまで深く考えたことがありませんでした!

今回のテーマ「オートクチュール」は、自分の脳内になかったものや新しいものを吸収して表現できました。

――向田さんにとっても挑戦だったんですね。

「忙しい」とか「考える時間がない」とか、コンテストに挑戦しない理由はいくつでも挙げられますよね。でも、挑戦すれば勉強になるし自分の技術も上がるものです。

賞を獲った獲れなかったに関係なく、作品を作ることで一気に成長している感覚があります。挑戦しなかったら成長の機会がなくなる…と思って、私は出る方を選んできました。

――コンテストにチャレンジしようと考えている人にアドバイスをお願いします。

準備期間は長ければ長い方がいいです。テーマについて考える時間もできるし、練習の時間も取れます。そのためにも、挑戦したいコンテストがあったら「出るか出ないか」で悩む時間がもったいない! すぐにでも応募した方がいいと思います。

向田さん流! 賞を狙う3つのポイント

1.写真審査はインパクトがあってグッと見てもらえる作品を心がける。

2.コンテストは自分を成長させる挑戦の場と考える。

3.興味のあるコンテストには即、応募して準備期間を長くする。

撮影/森 浩司


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株式会社b-ex
住所:東京都世田谷区用賀4-10-5 世田谷ビジネススクエア ヒルズ4 1F
KIRATERA CONTEST


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