「まっとうな人間になりたかった」。美容師という仕事が変えた人生【美容師 栗原勇介さん】♯1
「美容師という仕事が、自分を変えてくれました」。そう話すのは、東京・多摩エリアを中心に17店舗を展開する美容室グループ「ZEST」で、FC店「ZEST Ivy」のオーナーを務める栗原勇介さんです。
元々は板金屋というまったく違う道を目指していた栗原さん。少しやんちゃに過ごしていた学生時代から一転、この仕事に出合ったことで「まっとうな人間になれた」と振り返ります。
現在はFCオーナーとして店舗を構えながら、第一線で活躍を続ける栗原さんの歩みを振り返ります。
今回、お話を伺ったのは…
栗原勇介さん
「ZEST Ivy」オーナー/トップディレクター

東京都出身。高校卒業後、美容室に就職し、通信課程で美容師免許を取得。約10年間の経験を積んだのち、2011年に「ZEST」へ入社。八王子店で店長を務めたあと、2026年1月にFC店「ZEST Ivy」のオーナーとして独立。小顔×艶髪を軸に、一人ひとりの魅力を引き出す上品なスタイル提案に定評がある。
Kurihara’S PROFILE
お名前 |
栗原勇介 |
|---|---|
出身地 |
東京都 |
出身校 |
窪田理容美容専門学校 |
趣味や休みの過ごし方 |
家族と出かけたり、のんびり外で過ごすことが多いです。スケートボードパークでゆったり滑るのも好きです。 |
道具へのこだわり |
道具は常に綺麗に使うことを心がけています。ハサミは自分にしっくりくるものがなかなか見つからないため、同じものを買い足しながら使い続けています。 |
きっかけはささいなひと言。思ってもみなかった美容師の道へ

――美容師になろうと思ったきっかけは?
高校生のころ、通っていた美容師さんに「美容師の仕事に向いているんじゃない?」と言われたのがきっかけです。元々は板金屋になるために、工業高校に通っていたのですが、就職試験に落ちてしまって。その後どうしようかと考えていたときに、その言葉を思い出して、目指してみようと思ったんです。
なぜ向いていると思ったのかは聞かなかったので、今でも理由はわからないのですが(笑)。それくらい小さなきっかけでした。
――美容自体には興味はあったのですか?
自分で髪の毛をセットするのが好きでした。友だちからも、「よく頭髪検査に引っかかってるし、美容師に向いてるんじゃない?」なんて言われていましたね(笑)。
――その後、専門学校に進まれたのですか?
働きながら美容師免許を取りたかったので、美容室に就職し、通信制の美容専門学校に進みました。一般的な美容専門学校は授業料が高いイメージがあって、働きながら資格がとれる通信制が自分に合っていると思ったんです。
朝は7時半に出社して、サロンワークをして、営業後は練習や専門学校の課題に取り組む日々でした。スクーリングには1ヶ月間というまとまった期間通う必要があったので、休みはほとんどそこに充てていました。今振り返ると、なかなか大変な生活でしたね。
――それでも、美容師を目指す気持ちが揺らぐことはなかったのですね。
はい。同期のほとんどが美容専門学校を卒業して入ってきた人たちだったので、負けたくない気持ちが強かったです。
就職するまで自分はわりと器用なほうだと思っていたんですが、実際にほかの同期と比べると知識も技術もセンスもかなわないことばかりで。だったら、人より時間を使うしかないと思いました。必死にやっていたら、気づいたときには卒業していたという感じです。
――センスも努力で磨けるものなのでしょうか?
僕は磨けると思っています。実際にやっていたのは、スタイル写真をもとに感覚を身につける方法です。
当時は自分にセンスがないと感じていたので、まずはセンスのある人に写真を見てもらい、「可愛いもの」と「そうでないもの」に分けてもらって。その違いを自分なりに分析し、言語化していきました。そんなことを繰り返すうちに、少しずつ感覚がつかめるようになっていったんです。
今でも後輩から「私はセンスがなくて」と相談を受けることがありますが、そのときは「センスがないんじゃなくて、まだ知らないだけだよ」と伝えています。
掃除、挨拶、時間厳守。「真面目な生活」に救われた

――ささいなきっかけで美容師を目指したとのことでしたが、働き始めてからはどんなことを感じましたか?
美容師の仕事って本当にいいなと思いました。働くほど、どんどん好きになっていきましたね。
最初に感じたのは、みんながとても真面目だということです。時間通りに出社して、掃除をして、挨拶をする。当たり前のことかもしれませんが、当時の自分にはそれが新鮮で、ここにいれば自分もちゃんとした人間になれるかもしれないと思ったんです。
――真面目になりたかったのですね。
そうですね。就職するまではちょっとやんちゃをしていた時期もありましたし、周りからそう見られることも多かったので、心のどこかでまっとうな人間になりたいという気持ちがあったんだと思います。
それに、この仕事はやりがいがとてもわかりやすい。練習した分だけうまくなるし、自分の技術でお客様に喜んでもらえると、その場で「ありがとう」という言葉が返ってきます。そのダイレクトさが、自分にはすごく合っていました。
――スタイリストデビューはいつでしたか?
4年目にデビューしました。当時はアシスタントを6から7年ほど経験するのも珍しくない時代だったので、比較的早いほうだったと思います。
ただ、最初は不安もありました。経験も浅かったので、技術だけで勝負するのは難しいと思ったんです。だから、会話や気遣いの面でも支持してもらえるよう意識していました。
――結果はついてきましたか?
はい。ミセスのお客様が中心のお店だったこともあって、一生懸命な姿勢を見てくださる方が多かったんです。なかにはスナックのママさんのような、厳しくも情のあるお客様もいらっしゃいました。
真剣に向き合っていると可愛がってもらえて、結果的に同期のなかで一番の売上を上げられるようになっていきました。
――順調だったのですね。
一時期はクレームが怖かったこともありました。でも自分の力を出しきってうまくいかなかったのなら、きちんと謝って、次はもっとうまくなればいいと思えるようになったんです。
結局、自分ができるのはその時点での精一杯まで。その限界までやっておけば、自分に後ろめたい思いもありません。そしてもし結果につながらなかったら、次に向けて改善していけばいい。それは今も変わらない自分の信条です。
さらなる成長を求めて転職を決意。「タダ働きでいい」の言葉で採用をつかむ

――「ZEST」に転職したきっかけは?
最初の会社には10年ほど在籍していましたが、だんだん自分がやりたいことと、会社のなかでできることに差が出てきてしまったからです。当時の僕は、デジタルパーマやエクステなどもっと技術の幅を広げたい、撮影の経験も積みたいと思っていました。でも当時の環境ではそれが難しかったんです。
元々、僕は「ZEST」に髪を切ってもらいに通っていたので、その存在はよく知っていました。西東京エリアでは目立つ存在でしたし、新しいメニューの展開も早い。ここに入ればもっと技術の幅を広げられるんじゃないかと思ったんです。
それに、前の職場で経験を積んで、自分にも少しずつ自信がついてきていたので、より高いレベルの環境で自分がどこまで通用するのか試してみたいという気持ちもありました。
――すぐに応募されたのですか?
それがちょうどそのころは、東日本大震災の影響で採用の動きが止まっていて、募集自体がなかったんです。それでもどうしても入りたくて、人事の方に「給料はいらないので、働かせてもらえませんか」と伝えました。
結果的には、無給というわけにはいかないということで、正社員として採用してもらえたんです。しかも思っていた以上の条件を提示していただいて、うれしさと同時にプレッシャーも感じましたね。
後編では「ZEST」入社後の栗原さんに迫ります。
転職後、栗原さんがぶつかった大きな壁が、初めて任された撮影の仕事でした。
そのとき感じた挫折と、そこからの切り替え。そして、5年で撮影チームのリーダーを任されるまでになった試行錯誤について伺います。
さらに「美容師という仕事に出合えたことが、自分にとって一番の幸運だった」と語る栗原さんの仕事観についても詳しくお聞きしました。
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ZEST Ivy
住所: 東京都八王子市中町9-12 小松ビル101
TEL:0426-34-9970
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