美容師免許は通信でも取得できる!費用・学習方法から学校の選び方まで
美容師の免許を取りたい人のなかには、日中仕事をしていたり育児などで忙しかったりして、通信で取得したいと考えている人もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、美容師免許は通信課程で取得可能です。実際に、働きながらや学びながら自分のペースで国家資格を目指し、美容師として活躍している人はたくさんいます。
そこで、美容師免許は通信で取れるのか、通信以外にはどんな学習方法があるのかなどを解説します。 免許の取得におすすめの学校も紹介するので、今後勉強するときに役立ててみてください。
美容師免許は通信でも取得できるの?

国家試験を受けるためには、以下の2つの条件を両方満たす必要があります。
美容師国家試験の受験資格
1.学歴: 中学校を卒業していること。
2.課程の修了:国が指定する美容専門学校で、以下のいずれかの課程を修了すること。
■昼間・夜間課程: 2年以上
■通信課程: 3年以上
通信課程であっても、これらの条件をクリアすることで、国家試験の受験資格を確実に得ることができます。
引用元
公益財団法人 理容師美容師試験研修センター|受験資格
理容師・美容師免許の取得まで|厚生労働省
美容専門学校の3つの課程を紹介
ここでは、美容専門学校で用意されている3つの課程の概要と、それぞれの費用相場を紹介します。
昼間課程(昼間部)
昼間課程とは、平日の週5日間、日中に通学して学ぶスタイルです。費用相場は2年間で200~300万円ほどと高額ですが、まんべんなく知識や技術を身につけることができます。
夜間課程(夜間部)
夜間課程とは、おもに平日の夕方~夜にかけて通学して勉強するスタイルです。2~3年間通うもので、費用相場は150~200万円前後とされています。昼間課程よりも学ぶ時間が短くなる場合が多いため、効率的に学んで習得することが可能です。
通信課程(通信部)
通信課程とは、与えられたテキストなどをもとにおもに自宅で学習し、規定の時間だけスクーリング(通学)を行うスタイルです。スクーリングでは、自宅での習得が難しい実技などをメインに指導してもらえます。
3年間の課程が用意されており、費用相場は50~70万円程度と他の課程よりも低価格です。ほかに仕事をしている人や、金銭面・時間に余裕がない人も、低額かつ自分のペースで進めることができるため、比較的学びやすい環境といえるでしょう。
国家試験の合格率について
最新の「第51回美容師国家試験」では、全体の合格率は88.1%と非常に高い水準でした。
ただし、一般的に通信課程は、通学課程に比べて自己管理能力や学習計画を立てる力がより一層求められます。日々の学習を継続し、スクーリングで効率よく技術を学ぶことが合格の鍵となりますので、学校選びの際はサポート体制が整っているかもしっかり確認しましょう。
引用元
公益財団法人理容師美容師試験研修センター「第51回理容師国家試験及び美容師国家試験実施結果」
通信課程の学習スタイルとは|自宅学習とスクーリング

通信課程を理解する上で非常に重要なのが、「従業者」と「非従業者」という区分です。これは、美容室(または理容室)で働きながら学んでいるかどうかを示します。
【重要】「従業者」と「非従業者」で学習内容が大きく変わる
■従業者コース
美容室に勤務している方が対象。サロンでの実務経験が学習の一部と見なされるため、スクーリング(面接授業)の時間数が大幅に少なくなります。学費も安く設定されていることがほとんどです。
■非従業者コース
美容室で働いていない学生や主婦、他業種の社会人などが対象。実務経験がないため、法律で定められた全てのスクーリング時間数(300時間以上)を履修する必要があります。
学校を選ぶ際は、自分がどちらのコースに該当するのかを必ず確認しましょう。特に、これから美容業界に転職を考えている方は、先に就職先を見つけて「従業者」として入学する方が、時間的・金銭的なメリットが大きい場合があります。
自宅での学習がメイン|レポート提出など
学習するカリキュラム(関係法規・衛生管理、美容保健、香粧品化学、美容文化論、運営管理、美容実習など)は基本的には通学制と同じです。 教材のテキストを読み込み、定期的にレポートを提出して添削指導を受けるのが基本的な流れになります。
スクーリングで技術指導が受けられる|国家試験対策なども
カッティングやワインディング、オールウェーブセッティングといった実技は、スクーリングと呼ばれる対面授業に定期的に参加をして指導を受ける必要があります。 法律で定められた規定時間数(従業者か非従業者かで異なる)の出席が必須です。
このスクーリングは学校によっては春休みや夏休み、土日、夜間に行う学校もあり、国家試験対策などもスクーリングによる指導であることが特徴です。
通信課程のメリットとデメリットとは?

他の通学や仕事をしながらでも利用できる通信課程は、自宅で学べるほかにもたくさんのメリットがあります。しかし、その一方で、自己管理がむずかしいなど注意したい面もあるのが実情です。 ここでは、通信で学習するメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
通信課程のメリットは?
■通学に比べて学費が安め
ほとんどの美容師専門学校において、通信課程は通学制(昼間・夜間課程)に比べて学費が非常に安く設定されています。
なぜなら、受講する講義の数が少なく、学習も国家試験対策がメインになるためです。 そのため、通学制では150~300万円程度かかるところ、通信では50~70万円と、学費が1/3から1/6程度に抑えられます。
■働きながら無理なく学習できる
通学では授業時間が決められていますが、通信ではスクーリングもあるものの課題のレポート提出がメインなので、自分の好きな時間・タイミングで自由に勉強ができます。
そのため、日中は他の仕事をしたり、違う学校に通いながら勉強をしたりすることができるなど、自分のペースで学ぶことが可能です。働きながらでも目指しやすいため、授業に追われることなく無理のないやり方で美容師免許の取得を目指せます。
通信課程のデメリット(注意点)は?
通信では、学費が安い・自分のペースで学習できるなどのメリットがあることがわかりました。つづいては、通信のデメリットを確認しておきましょう。
■高い自己管理能力とモチベーション維持が必須
通信では、スクーリング以外は自分で学習しなければならないため、計画的な勉強が必要です。仕事をしながら通信課程で学ぶ場合は、仕事と学習のスケジュールを上手に割り振って進めないと、勉強不足の状態で国家試験に臨むことになりかねません。
また、孤独な学習が続くため、モチベーションを3年間維持する強い意志が求められます。
■実技指導や質問の機会が限られる
通学制では講義中にわからないことがあるとすぐに講師に質問できますが、通信ではそうはいきません。
学校でもサポート体制を整えてくれていますが、夜間の勉強中にわからないことがあっても電話やメールで直接質問できないことが多く、サポートに不安を感じる可能性もあります。 また、実技を直接指導してもらえるのはスクーリングの時だけなので、不器用な人や未経験の人は不安を感じやすいかもしれません。
失敗しない!通信制学校選びの5つのチェックポイント

自分に合った学校を選ぶことが、通信課程で挫折せず、合格を掴むための最大の鍵となります。パンフレットや学費だけで判断せず、以下の5つのポイントを必ずチェックしましょう。
1. スクーリングの場所と日程は通いやすいか?
3年間通い続ける上で、スクーリングの「通いやすさ」は非常に重要です。自宅や職場から無理なく通える場所か、また、平日夜間や土日、夏休み集中型など、自分のライフスタイルに合った日程が組まれているかを確認しましょう。
2. 合格率の実績は高いか?
学校全体の合格率だけでなく、「通信課程のみ」の合格率を公表しているかチェックしましょう。高い合格率は、それだけ通信制の生徒へのサポートが手厚いことの証明になります。
3. 質問や相談へのサポート体制は整っているか?
自宅学習がメインだからこそ、疑問点をすぐに解消できる環境が不可欠です。電話やメール、オンラインでの質問に迅速に対応してくれるか、専任のチューターがいるかなど、サポート体制の充実度を確認しましょう。
4. 就職サポートは通信生も対象か?
学校によっては、就職サポートが通学課程の生徒中心の場合もあります。通信課程の生徒に対しても、個別相談や求人紹介、面接対策などのサポートがしっかり行われるかを確認することが、卒業後のキャリアにとって重要です。
5. 「教育訓練給付制度」の対象講座か?
少しでも学費を抑えたいなら、この制度の対象校であるかは大きなポイントです。対象であれば、金銭的な負担を大幅に減らすことができます。
学費を抑える「教育訓練給付制度」とは?
費用を少しでも抑えたい社会人や主婦(主夫)の方にとって、ぜひ知っておきたいのが厚生労働省の「教育訓練給付制度」です。これは、働く人の主体的な能力開発を支援し、雇用の安定と再就職を促進することを目的とした制度です。
一定の条件を満たす方が、厚生労働大臣が指定する講座を受講・修了した場合、支払った学費の一部がハローワークから支給されます。
美容専門学校の通信課程もこの制度の対象となっている場合が多く、利用できれば金銭的な負担を大きく軽減できます。ご自身が対象になるか、また希望する学校のコースが指定講座になっているか、お近くのハローワークや学校の公式サイトで必ず確認してみましょう。
引用元
厚生労働省| 教育訓練給付制度とは
教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座|検索システム
自分に合った学校を見つけよう! 地域別・おすすめの通信課程を紹介

通信で美容師免許を取得するためには、学校選びがとても重要。スクーリングの通いやすさ、通信での合格実績が多くあるか、サポート体制はしっかりとしているかなどがポイントです。
こういった点を踏まえたうえで、自分に合った学校を選びましょう。ここでは、数ある学校のなかでもおすすめの通信課程を紹介します。ぜひ学校選びの参考にしてください。
【東京】通信課程のある美容専門学校を紹介
・東京モード学園|美容学科 通信コース
東京モード学園の通信コースは、「国家資格 合格保証制度」の対象コースになっています。課程を修了して卒業認定を受けた人が万が一国家試験で不合格になった場合、卒業後1年間は試験合格に向けて学習するための学費を負担してくれるという内容です。
また、3年間で9回の集中スクーリングでは、国家試験対策にも対応。さらに、すでにサロンで働いている人はスクーリング日程が約半分になるため、時間と学費の両方が節約になり、そのぶん効率的に学習ができます。 なお、大阪モード学園もあるので、関西近郊の人は大阪を選ぶのもおすすめです。
・山野美容専門学校|通信課程
この学校の大きな特徴はサロンで勤務していなくても入学ができるため、会社員や主婦、学生など幅広い年齢層の方が学べることです。
そのため、「一度違う職に就いたけれども美容師を目指したい」という方にはおすすめで、スクーリングも夜間コース、春期・夏期コースなどがあるため、ご自身のライフスタイルに合わせて自由に選ぶことができます。 また、国家試験前には対策を強化していて、合格までを全面的にサポートしてくれるので安心して試験に臨むことが可能です。
引用元:山野美容専門学校|通信課程
・国際総合ビューティーカレッジ|美容科 通信課程3年間
この学校の魅力は、多くの受賞歴のある講師や現役の人気サロンのオーナーやアーティストが講師として指導をしてくれることです。
入学は10月からで3年間の通信課程のなかで、スクーリングもそのうち45日間設定されているため、知識や技術面でもしっかりと学べます。 また、数ある美容専門学校のなかでもトップクラスの国家試験合格率を誇り、試験対策においてもトップレベルなのでしっかりと学べる環境だといえるでしょう。
・高山美容専門学校|通信課程
高山美容専門学校は、創立から100年以上の歴史を持つ美容専門学校です。学生全員が美容師免許を取れるようなカリキュラムを組み、計画的に取得をサポートしています。
通信課程では課題のレポート提出や添削指導のほか、年に2期、働く人などを想定した夕方からのスクーリング授業を行い、3年間での美容師免許取得を目指します。もし不合格になっても、合格するまでは卒業後もサポートしてくれるので安心です。
引用元:高山美容専門学校|通信課程
・ハリウッド美容専門学校|美容師通信教育コース
ハリウッド美容専門学校は、美容師だけでなくメイクアップ・ネイル・エステなどの業界でもプロを目指せる環境が整えられた専門学校です。
美容師通信教育コースは、他学の学生や社会人でも美容師免許を狙えるコース。3年間みっちり学んで知識を身につけ、技術を習得することにより、美容師の卵として巣立つことができます。 なお、すでに美容室で働いている人(美容室従業者)は、スクーリング時間が非従業者の半分で済みます。
・東京美容専門学校|美容通信科
東京美容専門学校は、ヘアスタイル・ネイル・エステなどの美容について学べる学校です。 美容通信科では、美容室従事者と非従事者に分けてスクーリングのカリキュラムが組まれており、習熟度に合わせた学習で美容師免許を目指すことができます。
・真野美容専門学校|通信教育課程
真野美容専門学校は、2年間の通学で美容に関する広い知識や技術を身につけられる専門学校です。通信教育課程の場合は、3年間の自宅学習とスクーリング(全9回)によって美容師免許を取得できます。 仕事をしながらでも、自分のペースで学習を進めながら資格取得を目指せるのがメリットです。
引用元:真野美容専門学校|通信教育課程
【大阪】通信課程のある美容専門学校を紹介
・大阪美容専門学校|通信コース
大阪美容専門学校の通信コースは、自宅でテキストによって学習し、3年間で国試課題7教科を学んで、36回レポートを提出することが必要です。
スクーリングは3年間で600時間あり、国家試験前にはほかのコースと同じように受験講習を受講することが可能。合格までしっかりとサポートしてくれます。 また、幅広い年齢層や職業の人が受講しており、自分のライフスタイルに合わせて学ぶことができます。駅からのアクセスがよく、スクーリング時の通学にも便利な立地です。
引用元:大阪美容専門学校|通信コース
・高津理容美容専門学校|通信課程
高津理容美容専門学校は、理容や美容の道を志す人のための専門学校です。通信課程では、3年間で60単位を習得し、美容師免許の取得を目指します。
なお、すでに理容師または美容師の免許を持っている場合は、免除科目があるため、もう一方の取得までには通常の半分の1年半で済みます。
・大阪ベルェベル美容専門学校|美容科通信課程
梅田にある大阪ベルェベル美容専門学校には、3つの美容系学科が設置されています。美容科通信課程は、3年間の家庭学習とスクーリングによって美容師免許を目指すコース。サロンからの紹介による学費の割引もあり、美容室勤務者は有利です。
・西日本ヘアメイクカレッジ|通信課程
天王寺にある西日本ヘアメイクカレッジの通信課程は、サロンで働きながら美容師免許の取得を目指す人に適したコースです。3年間で305時間のスクーリングが設定されており、国家試験の課題に沿った実技を効率よく学べます。就職サポートも充実しているのが特徴です。
引用元
西日本ヘアメイクカレッジ:社会人向けコース 通信課程・ライセンスコース
西日本ヘアメイクカレッジ:通信コース
・ロゼ&ビューティー美容専門学院|通信コース(3年制)
ロゼ&ビューティー美容専門学院(ロゼ美)の通信コースは、美容師の国家資格合格に特化しており効率的に学べるのが特徴です。 なるべく近道で美容師免許を得たいなら、スクーリングの通学にも便利な、心斎橋のロゼ美を選んでみてはいかがでしょうか。
引用元:ロゼ&ビューティー美容専門学院|通信コース(3 年制)
自分にぴったりのサロンを探すには?

美容師免許取得とあわせて、就職先を見つけることも必要です。自分に合った職場を探すにはどんな方法があるのでしょうか。
就職・転職エージェントを利用する|美容系に強いエージェントがおすすめ
一つは、人材会社が提供する「就職・転職エージェント」という支援サービスを利用する方法。求職者の適性などをもとに企業を紹介したり、面接対策をしたりしてくれます。美容師には、美容業界を得意とするエージェントがおすすめです。
求人サイトで探す|美容系に強い求人サイトがおすすめ
もう一つ、たくさんの募集情報が掲載されている、求人サイトを利用する方法もあります。大手企業から個人店まで、幅広い求人を取り扱っているのが特徴です。美容師が利用するなら、美容に強い求人サイト(リジョブなど)がよいでしょう。
美容師免許は通信でも取得できる! 自分に合った学校を見つけよう

美容師免許は、通信教育でも取得できる国家資格です。通信には、通学と比べて学費が安くなるなどのメリットがある一方で、自分ひとりで学ぶことになるため、自己管理が上手くいかないと両立に困る人もいるといった注意点もあります。
とはいえ、働きながらでも目指せる資格なので、美容師免許をこれから取得したい人も遅くありません。自分に合った学校とコースを見つけて、学習のスケジュール管理をしっかりと行いながら計画的に取得を目指してください。
通信課程に関するよくある質問
最後に、美容師免許の通信課程に関してよくある質問にお答えします。
Q. 何歳からでも挑戦できますか?年齢制限はありますか?
A. 年齢制限はありません。美容師養成施設の入学資格は「中学校卒業以上」であるため、高校生から30代、40代、50代の社会人、主婦の方まで、幅広い年代の方が実際に学んでいます。美容師になりたいという気持ちがあれば、何歳からでも挑戦可能です。
Q. 通信課程卒業後の就職は不利になりますか?
A. 不利になることはほとんどありません。採用で重視されるのは、年齢や卒業課程よりも、本人の技術力、人柄、そして「美容師になりたい」という熱意です。
通信課程で努力して国家資格を取得したことは、むしろ自己管理能力や意欲の高さの証明になります。就職サポートが手厚い学校を選んだり、在学中からサロンでアルバイトをしたりすることで、就職活動を有利に進めることもできます。 美容師の求人を探す際は、以下の記事も参考にしてみてください。
Q. アイリストやネイリストも目指せますか?
A. アイリスト(まつエク施術者)になるには、美容師免許が必須です。そのため、通信課程で美容師免許を取得すれば、アイリストとして働くことが可能になります。ネイルやエステに関しては必須資格ではありませんが、美容師免許を持っていることでお客様からの信頼度が上がり、活躍の場が広がります。
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