地域と連携した活動に参加し、長く愛されるサロンを目指したい【Cuem 店長 橋本佳奈さん】#2
専門学校時代の恩師がオーナーを務める、2022年3月に仙台でオープンしたばかりのサロン Cuem。店長を務める橋本佳奈さんがこだわった内装はお客様からも好評を得ており、集客にも繋がっているそう。そこで今回は、橋本さんなりの集客方法やお客様の傾向、今後仙台で愛され続けるサロンにするために心がけていることなどについてお伺いしました。
後編では、仙台のお客様の傾向や集客方法、今後地方でサロンを開業したい方へのアドバイスをお聞きします!
教えてくれたのは…
Cuem 店長 橋本佳奈さん
地元福島県の高校卒業後、ブライダル・美容について学ぶために仙台ビューティーアート専門学校へ入学し、卒業と同時に美容師免許を取得。卒業後すぐに仙台市内のサロンに就職し、3年目に副店長、4年目には店長を任される。退職後、2022年3月にオープンした恩師がオーナーを務めるサロン Cuemにて店長に。
SNSにデザインを投稿して発信することで円滑な施術が実現
――中心部のサロンの客層は、やはり若い方が多いのでしょうか?仙台でのお客様の傾向も併せて教えてください。
そうですね、若い方が多いと感じます。ご年配の白髪染めをする方でも「がっつり白髪染め」をご希望の方は少ない印象です。どちらかというと、白髪を活かすためにハイライトを入れてぼかしたり、デザインカラーを加えたりしていますね。
郊外ではまた違う客層で、やはりご高齢だったり、ファミリー層が多く見受けられますね。そうなると、中心部と比べてがっつり白髪染めをする方が多いので、違った技術が必要になってきます。
――立地だけで客層に差が出てくるのですね。では、中心部のサロンで働かれている橋本さんはどういった方法で集客をされていますか?
主に、インスタグラムを使用しています。お客様側も、#(ハッシュタグ)仙台 サロンと検索しているようなので、#をつけて投稿していますね。ご予約については、インスタグラムでサロンを見つけて、予約は大手広告サイトでお取りいただく方が多いです。
あとは、母校の学生さんにサロンモデルをお願いしているのですが、その際に宣伝したりすると来てくださることもありました。
――そうすると、お客様がご希望されるメニューもインスタグラムから選ばれているのでしょうか?
そうですね。サロンはインスタグラムから見つけていただけるのですが、予約についてはまだまだ大手広告サイトからが多いです。施術されるメニューについても、私のインスタを見て「この髪型、髪色にしてほしい」という感じです。
お客様のニーズに寄り添った地域の話題が集客やリピート率に繋がる
――業界的にインスタグラムが主流になっているようですね。橋本さんが特に得意としているのはハイトーンカラーのようですが、橋本さんがお客様から指名される理由は投稿しているヘアスタイルが気に入ったという理由が多いのでしょうか?
そうですね。加えて、お客様からすると自分と同じ雰囲気や似ている系統の洋服を着ているというところのポイントも高いと見受けられますね。私の場合は、内装にも取り入れるくらい韓国が好きなので、同じく韓国好きなお客様が来てくださることが多いです。
――なるほど。着ている洋服の系統なども集客のポイントになってくるんですね。お客様を集客するために工夫していることはありますか?
ブログの投稿にはこだわっていて、仙台で直近で行われるイベントやサロンに新しく入荷したトリートメントの話題を盛り込むようにしています。
――同じ地域に住んでいる人同士での話題だと、距離が深まりやすいと感じます。
その通りです。お客様とはSNSで繋がっているので、そちらでもたまにやりとりさせていただくことはあるのですが、実際にご来店された際の話題になります。特に、地域のイベントごとを投稿すると、会話が結構盛り上がりますね。
――仙台のサロンで働かれていて、「ここの地域ならではだな」と感じたことは何かありますか?
仙台の高校は毎年文化祭や何かの行事があるごとに、華やかな髪色にするという時期がありますね。ある大学のバレーボール部は毎年大会前になると染めに来てくださいます。地元の福島県ではそういった行事は特に見受けられなかったので当時はびっくりしましたが、今では毎年楽しみになっていますし、お客様の思い出の一部に力添えできるというところがとても嬉しく光栄に思います。
サロンの認知度を上げるために、地域との関わりを密に行う
――今後、地域で愛され続けるサロンにするために、何か取り組んでいることはありますか?
まずはサロンを地域の方々に多く知ってもらうことから取り組んでいます。地域周辺で多くの方に認知してもらえれば、知っていただくきっかけに繋がると思います。
――なるほど、地域内で「認知」してもらうことで「集客」に繋げるということでしょうか。
そうですね。最近ですと、私が以前通っていた専門学校の系列で特別支援の学校があるのですが、その学生たちの職場体験を引き受けました。微力ではありますが、そういった案件をいただいたら積極的に取り組むようにしています。
というのも、集客するためにはある程度地域での認知度が必要になってくるので、まずはその認知度を上げるきっかけ作りになればいいなという気持ちから、地域との関わりを密にしていきたいと考えています。
――地域と密接に関わり合っていて、良い取り組みだとお見受けしました。自発的に行なっている活動はありますか?
私が美容師として3年目の頃、ヘアショーやコンテストの開催をしたことがあります。当時の意図としては、若手の美容師が注目されるきっかけ作りや美容師同士の交流も含め、各サロンを認知してもらう機会にもなればいいなと思って考えた企画でした。結果は、思っていたよりも各所から反響をいただいたので、今後開催するとすれば、仙台の各サロンの認知度を上げる方向性で企画するヘアショーを開催してみたいと思います。
――どの宣伝方法よりも効果的に感じます。では、橋本さんの経験から今後地方でサロン開業をする方へアドバイスをお願いします!
まずは、「自分が何をしたいのか」を明確にすることが重要だと思います。自分の得意な分野を分析することで強みになりますし、自分を売り出す際の施術スタイルに反映されてきます。なので、オールマイティにこなせることが必ずしもいいとは限りません。例えば、ハイトーンカラーが得意な美容師がファミリー層やご高齢の方からニーズのある郊外でサロンを開業しても、ターゲット層と自分の得意な技術にズレが生じてきますよね。そういった意味でも、自分が見つけた強みが肝心になってきますし、サロンを開業する際にも土台となるはずです。その地域のターゲット層と自分の得意な技術をいかに擦り合わせるかが、開業する際のポイントとなると感じています。
地域で長く愛され続けるサロンにするために橋本さんが取り組んでいること3つ
1.地域に寄り添った話題作りで、お客様の興味を惹く
2.地域の行事などに積極的に参加し、「認知」してもらう
3.自分を分析し、得意なことに寄せたサービスを提供する
サロンを多くの方に知ってもらうために、地域との関わりを深めている橋本さん。スタッフの豊富な経験から作り上げられたサロンは今後も次々と新しいことに挑戦することで、地域の活性剤となるのではないでしょうか。
取材・文/東菜々(レ・キャトル)