コラム・特集 2018-12-28

私の履歴書 Vol.3【ヘア&メイクアップアーティスト・イガリシノブ】#2

美容業界で注目を集める方々の生い立ちを紹介する「私の履歴書」。今回は日本に留まらず海外でも人気を博すヘア&メイクアップアーティストのイガリシノブさんが登場。「フーミー 」を始めたきっかけやヘアメイク人生の転機などを伺っていく中で、彼女の強い想いが見えてきました。

イガリメイク誕生〜将来

メイクは顔の形を捉えて、錯覚と相乗効果を使うのがイガリ流

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イガリさんの独特なテクニックは、どのように生まれているのでしょうか。

そもそも私はメイクが上手くないと思うんですよ。上手い人ってすごく綺麗にメイクできるけど、上手くないからラフに仕上がる。それがいいんだと思う。他のヘアメイクさんは、私のメイクってどうやってできているかわからないし真似できないって、よく言ってます。

あと、私は顔の構造が好きなんですよ。メイクで顔を美しくするっていうよりも、顔の凹凸を見てバランスを考えるのが好き。メイクは錯覚と相乗効果だと思っているので。どっちかというと理系の考え方ですよね。絵を描くと上手いんだけど、色を塗ると下手だねってよく美術の時間に言われました。だからなんでヘアメイクをやっているんだろうって考えることも多い(笑)。

なるほど! 今年発売された書籍もイガリワールド全開でとっても面白かったです。

昔があるからこそ今があるっていう考え方が好きなんです。今回の本のアイディアは、まさにそこからきていて。ここまで面白い時代を築き上げてきたアラフォーとかアラフィフ世代の人たちが若かった90年代を一度見てみてよ、楽しいから!っていう気持ちでこの本を作ったんです。その面白さを若い人たちにもわかってほしくて。それに私のしてきたたくさんの失敗を教えるから、そこからみんな正しいことを学んでよ!って気持ちもあります。

ヘアメイクさんが出す本って基本的にはプロセスありきだけど、結局そのときに出ている化粧品って無くなっちゃうこともある。やったことあることをやるのも一つの方法だけど、そうじゃなくてもっとオリジナリティがあった方が面白いって思ってて。それに私はヘアメイクという職業に出会って人生がより楽しくなったから、夢中になれることに出会えると、もっともっと人生が面白くなっていくよってことも伝えたかったんです。

メイクを楽しむ女性をもっと増やしたい!

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コスメブランド「フーミー」にもそういう強いメッセージがあったりするんでしょうか。

そうですね。ヘアメイクとして自信を持っておすすめできるものを発信していかなきゃって気持ちがきっかけで作ったのが「フーミー」です。私がSNSで化粧品をアップして、そのコスメが売れる現象を「イガリ売れ」っていうらしいんですけど、私からしたら「嘘でしょ?」って感じ。例えば7000円の化粧品でも私が良いっていうとみんなそれを買っちゃう。若い子たちにとっては金銭的に厳しくないかな?って心配で。正直、広告タイアップでオススメしているものもあるので困惑してしまって。

だったら自分が心からオススメできる化粧品を作りたいって思ったんです。出すなら1アイテムだけじゃなくてラインで出したい。そうすればコスメ選びにみんな迷わなくなるんじゃないかと。メイクを指南できるようなものにしたかったので、リリースに教科書のような解説をつけて、購入してくれたみんながコスメを使いこなせるように工夫しています。価格設定も私のこだわりです。若い頃、私が思い切ってコスメやファッションに使えた金額がバイト2時間分くらいの金額だったので、フーミーもバイト2時間分で1アイテムっていう価格帯をベースにしています。若い子たちにも気軽に買ってもらえるように。無理させないで、メイクを楽しむ子が増えたらいいなって。

ヘアメイクとしての転機はいつですか?

情熱大陸に出たことは大きかったので、今年は転機の年かもしれないですね。街を歩いていたら声をかけられるようになったし、今までは若い世代の子が多かったけど最近は50代の方にも声をかけられるようになってすごく嬉しいです。情熱大陸は自分が大人になる大きな一歩だったなって感じます。「メイクするきっかけになりました」って子もいたり。誰かにきっかけを与えられたことで自分の存在価値も感じられました。

ヘアメイクとしてずっとやってみたいと思っていた電車ジャックの広告と109の看板広告を20代の中盤で叶えさせてもらって、それもひとつの転機だったと思っています。このお仕事は知り合いの方からいただいた話だったので、「どうせツテでしょ」って言われることもありましたが、そのツテだって結局自分で作るものだし。だからいろんな人に出会っておくことは、やっぱり大事だと思っています。

あとは夢や目標を周囲に話すことも大切。20代前半に出会った人に「やりたいことはどんどん喋った方がいい、やりたいことを黙っていたって進まないからね」って言われて。ヘアメイクのアシスタントがしたいと思っていたときにバーで出会ったヘアメイクさんに「アシスタントがしたいんです」って会うたびに言っていたら、拾ってくださった。自分の希望を人に話すようになったら自分も楽になりました。

人との出会いが大きなきっかけや原動力をくれた

 batch_04-min人との出会い、目標を話すことでチャンスの数が増えるということですね。

そうですね。出会いで言うと、梨花さんや加藤ミリヤさん、マリエさんに出会えたことはヘアメイク人生が飛躍する大きなきっかけだったと思っています。あと最近だとOCEAN TOKYOの高木琢也さんとの出会いは確実に影響がありましたね。今までヘアメイクってあんまり前に出ちゃいけないって自分では思っていたんです。前に出ることで一番好きな撮影の仕事も減っちゃうし。でも、フーミーを始めて前に出なきゃいけないときに、どこまで出ていい、とか、ここまで発言していい、ということを教えてくれて大きな気づきをくれたのが彼でした。この歳になってこんなにダメ出ししてくれたり、本気でケンカできたりする人に出会えたのは宝です。情熱大陸のあとには「感動しました」って言葉をくれて。いいと思ったこともよくないと思ったことも、全部正直に全力で伝えてくれる。だから一緒にいて学ぶことが多いと。人生の節々でそういう人に出会えているのって運がいいなと思います。きっかけや影響を与えてくれたからこそ、今度はその人たちにどうやって恩返しできるかなとか、もっと喜んでくれるかなってことを常に考えて今までやってきました。これもひとつの原動力ですね。

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「フーミー」のポップアップにて、大きな影響を受けているOCEAN TOKYOの高木さんと

今後の目標などはありますか?

2018年は情熱大陸に出て、フーミーのポップアップをやって、3年ぶりに本を出したので、2019年からは広げるというよりも今やっていることをしっかり固めて地に足をつけたい。フーミーももっと盛り上げていかなきゃだし、もっとひとつひとつを深く、内容を濃密にしていかなきゃいけないと思っています。

梨花さんに「30代の10年をどう送るかは20代の過ごし方で、40代は30代の過ごし方で決まる」って言われ続けていて。私は今が楽しければそれでいいって考えだったんですけど、この言葉で意識が変わりましたね。そしてこれから40代に突入するんですけど、40代はゆとりのある50代を送れるように過ごしていきたいなと思っています。

今まさに階段を登っている人たちに伝えたいことはありますか?

今、仕事をすぐ辞めちゃう人が多い気がするんです。でも、辞めるのって悪いことじゃない。しっかり見極めて決断できていれば。その代わり、辞めることに責任を持って欲しい。パワハラって言葉を最近頻繁に聞くけど、そういう言葉に甘えて自分を正当化する人も多い気がしていて、それが今の時代のよくないところだなと思うんです。だから辞めるならしっかり責任を持って、次のステップに進んでほしいですね。

 

強いメッセージとトレンドを発信し続け、新しい時代を作るイガリシノブさん。そんな彼女から今後も目が離せません。

取材・文/黒川香菜子(レ・キャトル)
撮影/石原麻里絵(スタジオバンバン)
協力/BRENTWOODTERRACE(03-6434-7686/http://brentwood-terrace.com/)

私の履歴書 Vol.3【ヘア&メイクアップアーティスト・イガリシノブ】#1・前編>>

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