人気ブランドは?色、質感はどうなる?春コスメのトレンドをチェック!
百貨店のカウンターに足を運ぶと、春の新色コスメがズラッと並んでいます。1年のなかでコスメ業界がもっとも華やかに彩られるシーズンです。私が担当している媒体でも、春コスメに関する企画を行いましたし、ビューティトレンドを紹介する連載ページを長年担当しているので、2019年の新色事情はもちろんのこと、注目すべきブランドも押さえています。このコラムを読んでいらっしゃる方は、とてもお忙しいと思いますので、たとえカウンターに行かなくても、トレンドがまるわかりできるようにお伝えします。
主役になるカラーはピンク! イエローの差し色も旬
まずはトレンドとなるカラーですが、ピンク、パープル、イエロー、オレンジ。この4色に注目しています。とくにピンクですが、カラーバリエーションが豊富で、たとえば80年代風の青みピンクもありますし、ビビッドなネオンピンクなどふり幅の大きさに圧倒されます。また、ピンクとパープルを混ぜたようなラベンダーカラーもあります。パープルは、ファッションにリンクされていて、深みのあるパープルというよりは、パステル系の清潔感のあるパープルカラーが多いですね。イエローは、さし色として仕込むだけで、旬のメイクがすぐにできるとても便利なカラー。たとえば、アイシャドウは目尻にポンッとのせるだけでいいですし、口紅の上にイエローのグロスを重ねると、透明感がでて春らしい唇に。指先をイエローにしても可愛いですね。オレンジは、春夏の太陽を感じさせるヘルシーカラーの代表格です。肌に透けるようなシアーなオレンジが流行りそうです。
質感重視! 定番色でも質感が異なると仕上がりに差がでる
春コスメは、色だけではありません。ポイントとなるのが、質感です。この質感を間違えると、いくらトレンドカラーを追っていても、古臭くなるので注意してください。よく、読者の方に取材をすると、「もう何年も同じブランドのアイシャドウを使っています」と聞きます。それだけ、そのコスメに愛情を注いでいるのはわかりますが、個人的な意見としては、同じ色でも新色は質感がまったく違います。たとえば、永遠の定番であるブラウンのアイシャドウ。ルナソルの春新色は、ブランド誕生20周年を記念して「The Beige」というコレクションを発表しました。ルナソル=ブラウンというほど、人気がありますよね。新作のなかで、10色セットのアイシャドウパレットがあるのですが、絶妙なグラデーションで、なおかつ1つひとつの質感が異なっているんです。質感にこだわることで、メイクに欠かせない、陰影、奥行きを引き出すことができます。マット、クリーム、シアーといったさまざまな質感を組み合わせることが、春新色には必要不可欠になります。
久しぶりのグロスが復活! チークにもスポットライトが
雑誌でメイクページをつくるとき、編集者と「切り口」について徹底的に打ち合わせをします。これは、誌面をつくるうえでとても大切なプロセス。しかも、読者の方にわかりやすく伝えなければなりませんから、できる限り、シンプルにわかりやすい表現やキーワードがポイントになります。いくつかの媒体で担当したなかで結論づけると、「リップメイクは質感が増え、目元はツヤ重視、ノーチークの時代は去る」。まず、リップですが、何シーズンかぶりにグロスが各社から登場しました。本当に久しぶりすぎて、グロスを塗ったら、少し恥ずかしくなってしまいました。マットリップばかり塗っていたので、グロスならではのツヤ感が新鮮すぎるかもしれません。でも、みずみずしいグロスを塗るだけで、一気に顔が春になるんです。グロス1本というよりも、口紅と重ねたほうが可愛い仕上がりなりますね。
一方で、マットリップも引き続き、新作が登場しています。マットリップは幅広い世代から支持されていますので、トレンドというよりは、もはや定番と言ってもいいでしょう。スリーのマットリップは、とくによかったですね! アイメイクは、さきほどお話したように質感がとにかく大切です。質感にこだわることで、濡れたようなツヤ、キラッとしたアイシーなツヤなど、さまざまな雰囲気を楽しむことがカギ。それを踏まえたうえで、カラーを考えましょう。セルヴォークやスックのアイシャドウがとても気に入っています。チークには大きな異変があります。ここ2年ほど続いているノーチークの時代がいよいよ終わりそうです。といっても、あくまでもチークは控えめな印象で、肌に血色を引き出す程度に過ぎません。でも、頬に色みを感じさせることで、パッと顔全体の印象が明るくなり、美人度が増します。
自分らしさを引き出すメイク=抜け感
1つひとつアイテムを掘り下げてきましたが、最後に、春メイクの全体のビジュアル、雰囲気についてお話します。キーワードとなるのが、「抜け感」です。この抜け感を引き出さなければ、どんなにすばらしいコスメを使ってもトレンドの顔にはなりません。先日、ヘアメイクさんとこの抜け感をつくるには、どうしたらいいのか取材しました。ひと言でいうと、「がんばりすぎないこと」。私はこの言葉にとても共感しました。メイクをがんばりすぎると、お面をかぶっているようになるんです。今の時代は、メイクに限らず、ライフスタイルも自分らしさを追求しています。メイクを完璧にしてしまうと、自分らしさが失われてしまうような気がしてなりません。自分らしさ=抜け感をつくることで、その人ならではの個性や美しさを引き出すことができます。たとえば、唇がチャームポイントだとすれば、リップメイクを主役にして目元と頰は引き算する。肌の美しさを際立たせたいなら、チークとリップだけにして、アイメイクはミニマムにするなど、メイクに強弱や濃淡をつくけることが大切ですね。
Profile
美容ライター/エディター 夏目 円(なつめまどか)
出版社勤務後、独立。美容ライター・エディターとしてのキャリアは20年以上になる。雑誌、広告、ウェブ媒体などさまざまなフィールドで旬な美容情報を発信する。主な雑誌媒体として、宝島社「GLOW」、「InRed」、「大人のおしゃれ手帖」、「sweet」、リクルート「ゼクシィ」、白泉社「KODOMOE」など。また、インスタグラムでは、発売前の化粧品、スキンケア、ヘアケア、発表会情報など、最新のトレンドを日々アップデート。趣味の海外旅行と美容をリンクさせ、さらにワールドワイドな情報を発信することを目標としている。
https://www.natsumemadoka.com/
Instagram:madoka_natsume